「今日は疲れてるから。」このワードにドキッとした貴方に。深刻化する日本の夫婦の性事情。開き直りが必要?性欲は外で発散?残された道は不倫?話し合って解決できる問題でもなく、何が正解かわからない。『あなたがしてくれなくても』はそんなパートナーとの関係について悩める全ての男女に読んでもらいたい。
『あなたがしてくれなくても』とは
結婚して5年 レス歴2年・・・―――。 夫がしてくれない。 でも不倫が したいわけじゃない 夫婦のセックスレスをテーマに描かれたこの作品の全貌を示す、帯に書かれた言葉。 ただパートナーに「女」として見てもらいたい、求められたい。心も体も満たされたい、そう思うことは贅沢?その無言の圧力を空気を通して男性に重くのしかけ、プレッシャーを与えてしまい、歯車が狂いはじめる。 「1122」「情熱のアレ」などの作品と同様に、女性・男性の両方の目線でリアルに心情が描かれている。心当たりがあるアナタも、自分には無縁だと思ってるアナタも読んで損なし!
あらすじ
吉野みち、32歳、既婚。夫とは仲が悪いわけではないが、ただひとつ”セックス”だけが足りていなかった。会社の先輩・新名誠(36歳)と飲むことになったみちは、つい酒の勢いでセックスレスの悩みを打ち明けてしまう。すると新名は驚いた顔をして、「うちもレスなんだよね…」と寂しそうに笑った——…。
登場人物
吉野 みち
32歳OL。約2年夫とのセックスレスに悩む。 新しい下着を調達したり、フェロモン香水をネットで購入したりと夫の陽一をその気にさせるために努力をしてみるが、ことごとく打ち砕かれる。 お酒で酔った勢いで会社の先輩である新名に自身がセックスレスで悩んでいることを打ち明けてしまう。ところが新名も同様にセックスレスで悩む既婚者男性だった。夫の陽一が理解してくれない部分を新名は真っ直ぐに受け入れてくれる。同じ悩みを持つ同士、励まし合っているうちに少しずつ距離が縮まっていく――。
吉野 陽一
みちの夫。ゲームが大好き。 子供は欲しいと言いつつも、言葉と行動が伴わない。 いつの間にかみちのことは恋人から家族愛へと変わっていっていた。みちも同じ気持ちだと勝手に思っていた。
新名 誠
みちの会社の先輩。 みちと同様に妻とはセックスレス。妻の楓はバリキャリのため、仕事の事で頭が一杯で誠の誘いを拒否していた。いつしか楓の顔色ばかり窺うようになった。 誠は“男として必要とされている自信”が欲しかった。
三島
陽一の会社の同僚。34歳の誕生日の日に喫煙所で煙草を吸いながら涙しているところを陽一に見られる。普段、他人に関心のない陽一だが、一度扉を閉めたあとにビールを持ってきて三島に声をかける。陽一自身がみちに対してモヤモヤしていたこともあり、次第に会話する機会が増えていく...
新名 楓
誠の妻。仕事優先で自立したキャリアウーマン。家事全般を誠が行っているが、夫は自分のことを理解してくれていると思ってる。
見どころポイント
夫の言い分
「味も臭いも全部わかってるアイスコーヒー」と表現される夫の気持ち... みちのことは嫌いになったわけではないし、離れるなんて考えてない。でも己がその行為を欲していないのです。 ネット上でこの作品のレビューを読むと男性側の意見として「アイスコーヒーの表現、すごいわかる...」という内容が多く見られます。のどは渇いてないけど、とりあえず。とりあえず...。こんな風に思われてしまうと思うと心が壊れてしまいそうです...。 そして男性のずるいところ。陽一は追い詰められたその場から逃げたくて、どうしようもない嘘をついてしまいます。
妻の言い分
自分のことを求めてくれない、理解してくれない夫に対し、ついイライラしてしまいあたってしまうみち。同じ家族でもセックスは夫婦じゃないとできないこと。それって特別なことじゃないの? 女として終わりなのかなーと絶望感をまとったり、いやいや相手に求めてばかりではいけないと自分を奮い立たせたり。「自分が変わらなくては」と思いながら自然と日常の中に変化を取り込んでいこうと努力をしてみるのですが、陽一にとってはそんなみちの無言の行動がプレッシャーになってしまい、悪循環に陥ってしまいます。
傷ついた心を救ってくれたのは、同じ気持ちの夫じゃない人
好きだから 求めたくなる でもそれは叶わない あきれる嘘をついた陽一に対して、みちはスッと何かが冷めた気がした。自分では楽になったと思っていたはずでした。 後日、会社の飲み会で誠が隣に来た際に、みちは“夫とヤバめのケンカをしてしまったが、逆にさっぱりして楽になった”とあっけらかんと話しながらお酒を飲んでいました。 そんなみちを見て誠は「楽になったって本当ですか?全然そんな風に見えなかったので」とみちの意表を突くのです。 みちは耐え切れず、涙が勝手に溢れてきてしまう。 「夫に期待しなければ、自分が傷つかずに済むと思った」と涙するみちを、誠は思わず抱き寄せてしまうのです。 期待しなければ 傷つかないなんて嘘 拒否されて 無視されて 逃げられて 心はもう壊れる寸前で
2組の夫婦。今後の展開は...?
みちが求めることに応える自信がない陽一。 会社の同僚、三島の涙を見たことから関係がほぐれはじめ、二人の関係に魔が差してしまう ないものねだりで、誠と陽一を比較してしまうみち。でも結局陽一が好きだと確信しながら、何かを誠に期待してしまう。 結婚記念日のお祝いをしようと誠に誘われ、絶対にその日は時間を作ると約束した楓。当日に後輩のミスのフォローで仕事を優先し、ディナーをドタキャンをしてしまう。 ディナーをドタキャンされ、予約していたホテルでも疲れていると拒否される誠。誰もいない家に帰りたくない、そう思った時にふと脳裏に浮かんだのは優しい笑顔のみちだった――。 不倫ってどこから―――?
メディア化情報
夫婦間のリアルな性事情を描いたストーリーが衝撃の実写化となり大きな反響を呼んだ、ドラマ「あなたがしてくれなくても」。主人公の吉野みち役を奈緒(なお)さん、夫の吉野 陽一役を永山 瑛太(ながやま えいた)さん、新名 誠役を岩田 剛典(いわた たかのり)さん、新名 楓役を田中 みな実(たなか みなみ)さんと、豪華キャストが集結! また、ドラマ最終回は原作とは違った結末となり一時話題となりました。原作はまだ連載中なのでどういった展開を迎えるのか今後も目が離せません!
まとめ
いかがでしたでしょうか!この作品は何度読んでも胸がイタイ...。 続きが気になるけど、どう転んでもツライ。でも見たい!を繰り返しながら読み進めてます。 暴力をふるったり、借金をしたり、保証人になったりしてるわけではないのです。みんなそれぞれ自分の性格、思考、周囲との調和を考え、自分の生き方をまっすぐ生きているだけなんです。誰しもがこの場面に直面し「あなたならどうする?」となると意見は賛否両論だと思います。完全なる悪者がいない本作。最終的にお互いをゆるし、分かち合うことができるのか...? なかなか人には言えない「セックスレス」「浮気」「不倫」のお話。 夫や彼氏、妻や彼女に対して何かしら悶々としていることがあれば、ぜひともこの1冊をさりげなくテーブルの上に置いておくといいかもしれません...。 『あなたがしてくれなくても』を読んで共感し、発散してみてください。