歴史の偉人たちの中でも特に人気の高い新撰組。結果的に歴史の表舞台に立つことは少なかったものの、鬼の副長と呼ばれた土方歳三や短命の剣豪沖田総司、多摩時代から新選組を率いた近藤勇をはじめとした隊員たちの生き様は幕末ならではのロマンがあってとてもドラマチックですよね。彼らをテーマにした漫画も定番の作品から少女漫画やグルメ漫画など多種多様。そんな新撰組をテーマにした漫画の中から特に面白いものを紹介します!
ちるらん 新撰組鎮魂歌 1巻
少年・青年マンガ幕末に維新を3年遅らせた「冷酷無比な人斬り集団」としてその名を馳せた新撰組。その真実が生き残りである永倉新八によって語られます——。農家の四男として生まれた土方歳三は家業の薬を売り歩くかたわら、道場破りをして剣の腕を磨いていました。「ちるらん 新八鎮魂歌」は土方が、後の新撰組隊長近藤勇が道場主を務める試衛館道場を訪れることから始まります。史実をアレンジして土方を主人公に描かれるストーリーは、歴史漫画でありながらかっこいいヤンキー漫画のような面も持っています!イケメンキャラクターがたくさん登場するので歴史漫画に苦手意識のある人にも読みやすく、読む人それぞれに新しい新撰組の魅力が見つかるのではないでしょうか?
アサギロ~浅葱狼~ 1
少年・青年マンガ白川藩江戸屋敷の足軽の少年沖田惣次郎、のちの沖田総司。齢十二にして既に剣術の腕前は抜きん出ていた。そのうわさが伝わり行われた剣術指南役の村上との御前試合に勝利し、少年の運命が動き出す——。沖田総司が主人公のこの作品では、従来よく描かれる剣術の天才、はかなげな美少年といった沖田総司像とはすこし違います。普通の少年らしさ、人間らしさを持ち歴史を変えていく様々な出来事に翻弄されながらも成長していく姿を見せてくれる等身大の少年として描かれています。もちろん沖田だけでなく、彼を取り巻くそのほかの人物も素朴でありながら魅力的でそれぞれの人物に共感できる部分があります。新撰組漫画を沢山読んできた人にこそ読んでいただきたい作品です!
壬生義士伝 1
少年・青年マンガ名だたる剣豪のそろう新撰組で平隊士ながら幹部にも一目置かれた剣の使い手・吉村貫一郎。守銭奴、出稼ぎ浪人と呼ばれながらも武士として生き抜いた吉村の人間ドラマ——。新撰組を題材とした作品は土方歳三や沖田総司、斎藤一といった幹部隊員を主人公としたものが大多数。ですが平の隊士であった吉村貫一郎を主人公に置き、各章ごとに違う人物の視点から新撰組、吉村の活躍を見ることができます。原作は浅田次郎さんの歴史小説です。そのため小説ならではの丁寧で緻密な描写が、ながやす巧さんのリアルで美しい絵とマッチして原作の魅力を最大限に引き出しています!TVドラマや映画にもなった歴史小説好きにこそ読んだもらいたい作品です!
風光る 1
少女・女性マンガ新選組をテーマにした数ある漫画作品の中でも、珍しい長編少女漫画である「風光る」。既に40巻以上刊行されている名作漫画なので知っている方も多いと思います! 性別を偽り、男性として新選組に入隊した少女が主人公の物語です。少女漫画ですが、新選組ファン、幕末ファンの方も楽しめること間違いなし!沖田総司との恋愛模様が時間をかけて描かれながらも、幕末に活躍する新選組の物語もしっかりと進んでいきます。この作品の沖田は人間臭いところもある魅力的な人物として描かれています。新選組、そして主人公の恋の相手である沖田総司の悲劇的な結末を知っているからこそ、先の展開を予想して胸が痛くなります…。
誠のくに
少女・女性マンガ「誠のくに」は「北走新選組」「凍鉄の花」と同じく菅野文先生の新選組作品です!こちらは戊辰戦争後も生き残った隊士のひとり、斎藤一が主人公として描かれており、会津藩を脱藩したところから物語が始まります。土方歳三率いる隊が北へ敗走する中、会津に残り、会津戦争を経て西南戦争に至るまでの話を斎藤一の視点から語られ歴史の勉強にもなると思います◎イラストも繊細で美しく殺伐とした物語ですがとても読みやすいです。菅野先生の新選組作品すべてに共通することですが、幕末に生きた彼らがどんな人物であったかがていねいに描かれ、「北走新選組」「凍鉄の花」も併せて読むと視点によって歴史は変わるというのがよくわかります…!
壬生狼ヤングゼネレーション 1
少年・青年マンガ新選組【隊中美男五人衆】の日常を描いたコメディ作品です。人気のある土方歳三や沖田総司、斎藤一などの幹部隊士にスポットを当てた作品は数多く存在しますが、実在した「マイナー」隊士の彼らを主役にした作品はあまりないのではないでしょうか?歴史の表舞台に立った幹部隊士たちのようにはなれなかったものの、若い5人の若者らしい青春の日々はまぶしく、悲しい運命を迎える新選組隊士としてのシリアスなドラマが対照的で切ない気持ちになります…。幕末という動乱の時代に新選組という組織にいる以上、5人ずっと一緒にいるというのは無理だとわかってしまうからこそ、この短い青春がとても貴重なものに思えますよね。
だんだらごはん(1)
少女・女性マンガ「新撰組×グルメ漫画」という新しいタイプの作品です!主人公は山口(斎藤)一と沖田総司。試衛館道場時代の、のちの幹部隊士たちの日常が描かれています。新撰組の中でも年の近い二人の会話は、幕末という血なまぐさい時代の中でもどこかのんびりとしていて青春を感じさせます。それでも新撰組の結末を知ったうえで読むと儚さや切なさを感じる人も多いはず。江戸時代の食事も案外私たちにもなじみのある食材を使ったものばかりでさっそく真似してみたくなります。さらに料理だけでなく江戸の文化の描写が随所にちりばめられているので江戸の生活を身近に感じられるのも魅力の一つ。やわらかいタッチのイラストで料理の描写もリアル過ぎず、とっても食欲をそそりますよ!