「自分らしさ」というテーマを扱った本作は、周りを気にして自分を見失ってしまった主人公がメイクをきっかけに立ち上がる物語です。自分が選んだ選択肢は誰のためのものなのか、人生に悩むすべての方にぜひ読んでほしい一作をご紹介!
コアミックスにて2020年~2023年に連載され、全8巻で完結済みの作品です。 「真っ赤な口紅塗ったら彼氏にクレンジングオイルぶっかけられた話」というタイトルでX(旧:Twitter)に投稿されたポストで大きな反響を呼び話題となった作品です。 メイクによって人生を変えるため奮闘する主人公の成長ストーリーで、モラハラやセクシュアリティなど現代社会の様々なテーマがかけ合わさった物語となっています。
本作のドラマが2024年7月13日(土)より放送されました。 主演は髙橋 ひかる(たかはし ひかる)さんで、SNSでも大反響を呼んだ本作の実写化に期待の声が多くあがっています。
百貨店の案内嬢としてはたらく柚原 美紅(ゆずはら みく)は童顔のため自分には派手な化粧が似合わないと感じていました。しかし職場の先輩にメイクが薄いと指摘されたことをきっかけに赤い派手なリップに挑戦します。ところがそれを見た彼氏のはるに「中学生の厚化粧」と痛言を受けるのです。「美紅には派手な色は似合わないからいつも通りでいてほしい」というはるの言葉に美紅自身も納得し、「自分の正しい顔とは」と悩みます。
ある日、勤務中にお客さんからセクハラを受けていた美紅は綺麗な女性に助けられます。美紅はその女性に感謝しながら、自分には不釣り合いな鮮やかな赤リップの似合う彼女をうらやましく思っていました。しかし会話を続けていくうちに、彼女は女装をした男性だということが発覚するのです。 男性がメイクでこんなに素敵になれているのに、自分は童顔だから似合わないというのは言い訳だと感じた美紅はその日、デパートへリップを買いに出かけました。
デパートの帰り道、美紅は偶然痴漢から助けてくれた彼と出会い、思わず声をかけてしまった流れでそのまま食事に出かけます。 彼の名前はイヴで、純粋にメイクが好きだからその日なりたい自分になるために化粧をして過ごしているのだと話します。美紅は自由に生きているイヴをうらやましく思いながら、はるに厚化粧といわれた出来事を話します。するとイヴは突然怒り出し、はるを見返すためにメイクを教えると言い出しました。 再びはるに何か言われるのではと怯えた美紅に対しイヴは、「万人に愛されるメイクはできないが自分も相手も好きなメイクを見つけたらいい」と励まします。 イヴの言葉に勇気をもらった美紅はいつもと違う華やかなメイクを施し、新しい自分の姿に心躍らせながら帰宅をします。
はるが帰宅し、気に入ってもらえるかとウキウキでメイクを見せた美紅ですが、はるの反応は想定外のものでした。「いいなんて言ってない。その顔どうしたの?」と不機嫌な様子を見せるはるに美紅は戸惑います。すると突然、「その化粧似合ってないから。汚い顔 綺麗にしてからもっかい説明して?」と美紅の頭の上からクレンジングオイルをかけだしました。 メイクを落としそのまま就寝した美紅ですが、昨日のできごとがひっかかっていました。そんな美紅とは裏腹にいつも通りの様子でいるはるを見て安心したのも束の間、やはりあのような化粧はやめてほしいと言われてしまいます。「俺の好きな美紅が変わってしまうのが怖い、これからも清楚でいてほしい」というはるの言葉に違和感を覚えながらも自分に言い聞かせ、はるに従うのでした。
はるの言う通り、自分に派手な化粧は似合わないと信じ込んでいた美紅の前に、再びイヴが現れます。昨夜のはるの反応を聞いたイヴは、メイクをやめるのは彼のためか自分のためかどっちだと問いかけます。 美紅は化粧をした時の喜びを思い出す一方、はるの顔がよぎるのです。そんな美紅を見かねたイヴは、、自分が化粧をするからいつでも会いに来てと言葉を残します。
翌朝、布団を干していた美紅にはるが声をかけます。「この布団ももう古くなったから今度の休みに新しいものを買おうか。これからずっと一緒にいるんだし」というはるの言葉で、二人の未来を考えてくれていることに舞い上がります。 はるのせっかくの休みを布団の買い物でつぶすのは可哀想だからと、美紅はその日布団を買って帰りました。帰宅し新しい布団があることに気づいたはるは「さすが美紅だね、美紅なら今日買ってくると思ったんだ。美紅が家にいると助かるよ」と言い放ちます。 期待通りに喜んでもらえたはずなのになぜかモヤモヤが残る美紅は、「これって彼の言いなりになってる犬みたいだ」と違和感を感じ始めます。
ある日、はるにクルージングに連れられた美紅はその場でプロポーズをされます。念願叶った美紅は泣いて喜びますが、その時イヴから連絡がきます。メッセージの通知をみたはるは、今すぐ彼の連絡先を消さないと結婚も取り消すと言い出し、仕方なく要求に応えます。 しかし後日、美紅の中で特別な存在になりつつあったイヴとの関係を後悔を抱えたまま終わらせたくないと思い直した美紅は、はるに内緒でイヴに会いに行きます。 イヴと本音で話し合っていくうちに美紅は、「これからは自分のなりたい自分になって、そんな私を彼にも愛してほしい」と決意します。 自分の気持ちを素直に伝えようとイヴに背中を押され、はると対峙する美紅でしたが…
最初は周りに気を遣い、周囲の顔色を常に窺ってしまう美紅でしたが、イヴとの出会いから自分のありたい姿をごまかさずに求め始めます。 また、そのうえで逃げずにありのままの自分を受け入れてもらおうとする姿勢をもち、それでも態度が変わらないはるに対してキッパリと別れを告げるまでに成長します。物語冒頭とは表情も打って変わり、凛々しくなっていく美紅を応援したくなります。
頭からクレンジングオイルをかけたり、夜に美紅を家から追い出したりなどモラハラまがいな行為が絶えないはるですが、そこには彼のトラウマが関係していました。 思春期時代に「化粧は女の武器だ」と、いつも派手なメイクをして仕事に出かける母を見てきましたが、家庭環境はいいものだとは言えませんでした。それでも頑張る母を応援していたはるですが、ある日そんな母親のとんでもない現場に遭遇してしまいます。 清楚な美紅にこだわるはるには彼なりの理由があったのです。
美紅の変わるきっかけとなったイヴも彼なりの想いを抱えている所がまた本作の見どころです。 はるに不当な扱いを受けてもなお、自分を卑下する美紅に対して厳しい言葉をぶつける場面もあります。しかしそれこそ、彼女を大切に思っていて本気で寄り添った結果なのです。出会ったばかりのころ、純粋に素直な気持ちを伝えてくれた時から美紅に惹かれ始めていたイヴの感情のうつろいも注目ポイントとなっています。
いかがでしたでしょうか! 現代社会に生きる若者が抱える生きづらさを乗り越えようと奮闘する登場人物たちのストーリーに目が離せなくなること間違いなしの本作、ぜひご一読ください!
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