アニメ制作会社、Studio五組が制作するオリジナルアニメ『結城友奈は勇者である』は、2014年にアニメ1期が放送されて以来、定期的に新シリーズが放送される人気のアニメです。今回はそんな人気アニメのコミカライズ版を紹介します。
『結城友奈は勇者である』の基本情報
コミカライズ版の『結城友奈は勇者である』の原作となったアニメ版は、どのようにして人気になったのでしょうか。あらすじや登場人物を紹介する前に、原作となるアニメの概要をお伝えします。
2014年に第1期がアニメ化した人気作
『結城友奈は勇者である』は『つよきす』や『君が主で執事が俺で』などを手掛けたことで知られるシナリオライター、タカヒロが展開したタカヒロ4プロジェクトの4つ目の作品として発表したオリジナルアニメです。 2014年にアニメ第1期が放送されると、日常系アニメと見せかけて実は変身バトルヒロイン系のダークファンタジーだったという、意外なストーリー展開が話題となり大きなヒットとなった作品です。 日常系のようなゆるい描写に、常に付きまとう不穏な雰囲気や、先が読めない展開が見どころです。タカヒロのシナリオライターとしての腕が光る作品といえます。
2021年10月に第3期が放送
2014年にアニメ第1期が放送されたあと、2017年に第2期が放送され、2021年には第3期が放送されました。 アニメーション制作はStudio五組が行い、監督は『Angel Beats!』や『暗殺教室』を手掛けたことで知られる岸 誠二が担当したことでも話題です。 豪華声優が集まっており、主人公である結城 友奈(ゆうき ゆうな)役を照井春佳、東郷 美森(とうごう みもり)役を三森すずこが演じました。 また、『結城友奈は勇者である』のアニメ以外にも小説やマンガ、ゲームなどさまざまなメディアで展開され、ファンからは『勇者であるシリーズ』と呼ばれています。
『結城友奈は勇者である』はどんな話?
先の読めないストーリー展開や燃えるバトルが見どころといわれる本作は、どのような話なのでしょうか。すこし複雑な本作のあらすじを確認してみましょう。
本物の勇者に選ばれた勇者部の女子中学生たち
『結城友奈は勇者である』は、遠い未来の四国地方に暮らす女子中学生たちの戦いや日常を描いた作品です。 結城 友奈たちは"みんなのためになることを勇んで実施するクラブ"という、ボランティアサークルのような部活・勇者部で穏やかな日々を過ごしていました。 しかし、平和な日々はある日突然現れた"バーテックス"の襲撃により崩壊します。この世界は、四国以外の土地が死のウイルスで壊滅しており、ウイルスから人類を守る神樹がバーテックスに破壊されれば世界が終わってしまう過酷な世界だったのです。 そして、勇者部の女子中学生たちは、人類の敵であるバーテックスと戦うための選ばれた人間”勇者”だということが判明します。
人類の敵"バーテックス"と戦う
平和な日常から一転、絶望的な事実と自分たちが戦うために選ばれていた存在であることが明らかになり、勇者部のメンバーは困惑します。 しかし、メンバーが困惑する中、結城 友奈は「勇者部の活動目的の通り」と語り、バーテックスと戦う決意をするのです。 変身できるアプリを使用し、勇者となった結城 友奈とメンバーの一部はバーテックスと戦い、無事に倒し世界の滅亡を防ぎました。 世界を守ったことを喜ぶメンバーですが、翌日再びバーテックスの襲撃が発生し戦いに臨むことになります。こうして戦いを続けるうちに、次第にバーテックスと戦うことが日常となっていき、平和だった勇者部の関係は少しずつ変化することになります。
敵を倒すも、戦いの代償がむしばむ
学校生活をしながら世界を守るいびつな日常を送る一方で、友奈は新たな仲間として加わった三好 夏凜(みよし かりん)と交流を重ねたり、メンバーと共にでかけたりと、比較的平穏な生活を過ごしました。 しかし、ある日友奈たちの前に非常に強力な"巨大バーテックス"が現れ、世界が滅亡の危機を迎えます。世界が終わる危機的状況をひっくり返すため、メンバーたちは勇者に与えられた強力な切り札、”満開”を使用しました。 満開のおかげで勝つことができた勇者部のメンバーですが、その代償は大きく、友奈は味覚を失い、勇者部のメンバーも体に異常が発生してしまいます。 戦えば戦うほど自分たちが壊れていくが、敵の勢いは止まらないという絶望的な状況で、友奈の親友・東郷はとある決断をします。その決断を経て物語は佳境へと向かっていくのです。
『結城友奈は勇者である』の登場人物
『結城友奈は勇者である』は絶望的な状況とそれを乗り越えていく登場人物たちが織りなすストーリーが魅力の作品です。ここからはストーリーの魅力を際立たせている登場人物を紹介します。
結城 友奈(ゆうき ゆうな)
本作の主人公で勇者部所属の、中学2年生の少女です。 明るく活発であり、バーテックスとの過酷な戦いでも、仲間を守るために必死に頑張る優しい性格です。勇者部の活動に真面目に取り組んでおり、さまざまな意味で勇者であることを誇りにしています。 普段は短めのポニーテールですが、戦うために変身すると桜の花をモチーフにした衣装となり、桃色のロングツインテールになります。 過酷で残酷な現実と向き合いながら、諦めることなく戦っていく姿が魅力です。
東郷 美森(とうごう みもり)
勇者部に所属する黒髪の少女で、友奈の家の隣に住んでいます。まじめで清楚な雰囲気を持つ少女です。 中学に入る前の事故の影響で一部の記憶と両足の自由を失っており、普段は車椅子を使っています。 変身時は青を基調とした衣装となり、巨大な銃を使いながらメンバーをサポートしていきます。戦いの際は車椅子を使わず立っているように見えますが、足は不自由なままで衣装を触手のように操ることで移動しているのです。 友奈とは親友と言える関係で、バーテックスとの戦いでは互いに支え合いながら過酷な運命を歩むことになります。
犬吠埼 風(いぬぼうざき ふう)
勇者部に所属する中学3年生の少女で、サバサバした性格をしています。 勇者部のメンバーをまとめ、引っ張っていく威勢のいい姿が特徴的なキャラクターです。両親をバーテックスからの襲撃の影響でなくしており、唯一の家族で妹の樹をかわいがっています。 物語開始前からバーテックスや世界のことを知っている唯一のキャラクターです。 妹との掛け合いが見どころで、特に中盤以降は彼女は妹のことで葛藤することになります。
犬吠埼 樹(いぬぼうざき いつき)
勇者部に所属する中学1年生で、部内では最年少となる少女です。 サバサバした姉と異なり、おっとりとした内気な性格をしており、両親をなくしてから面倒を見てくれた姉を信頼しています。 歌が得意でしたが、中盤以降は”満開”の代償で声が出なくなってしまい、姉の風との関係性が変化していきます。
三好 夏凜(みよし かりん)
主要メンバーの中で唯一、勇者部ではなかった少女が三好 夏凜(みよし かりん)です。 原作となるアニメでは3話、マンガ版では1巻の終わりに登場する少女で、この世界を守る大赦から送られて来た新しい勇者として登場します。 当初は勇者部のメンバーと馴染めなかった彼女ですが、戦いや日常を共に送ることで、次第に仲間となっていく姿が見どころのキャラクターです。 巨大バーテックスと戦った際、メンバーの中で唯一”満開”を使用しなかった人物で、このことが中盤以降の盛り上がりに関わってきます。
『結城友奈は勇者である』用語解説
『結城友奈は勇者である』は複雑で先が読めないストーリー展開が面白い作品ですが、いくつかオリジナル用語が登場します。今回は物語を追いかける上で知っておきたい用語を解説します。
大赦 (たいしゃ)
世界を守る”神樹”を祀り、それを守るための活動を行っている組織です。 相当な権力や発言力を持っている上、この世界では一般的となっている神樹信仰を管理しています。宗教施設と行政、軍と研究機関がまとまった、この世界を管理している組織といえるでしょう。 また、世界の敵であるバーテックスに対抗する勇者を支援・管理しており、結城友奈たち勇者部のメンバーが変身するときに使う”勇者システム”を開発した機関でもあります。 秘密主義で宗教的な大赦が、本作の不穏で先が見えないストーリーを作り上げる一端を担っていると言えるでしょう。
満開 (まんかい)
世界の敵バーテックスと戦う勇者の切り札とも言える存在が”満開”です。 圧倒的な力を発揮することができる一方、満開を使用すると、体の一部機能が神に捧げられ正常に動かなくなるという代償を払うことになります。 物語中盤では、この”満開”の代償が大きなポイントとなっており、本作の世界観を作っていると言える重要な要素です。 アニメ版では勇者システムと共に詳細に描写されていますが、マンガ版では細かな描写や設定が省かれています。原作となるアニメ版の”満開”発動シーンは迫力があるので、マンガ版で興味を持った人はアニメもチェックしてみましょう。
『結城友奈は勇者である』関連漫画作品
オリジナルアニメである『結城友奈は勇者である』はさまざまなメディア展開を行っている作品です。今回紹介した、アニメのストーリーをコミカライズしたマンガ版の他にも関連マンガ作品がたくさんあります。今回はおすすめの2作品を紹介します。
結城友奈は勇者部所属
結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-(1)
少年・青年マンガ神世紀298年。小学6年生の鷲尾須美、三ノ輪銀、乃木園子は「勇者」に任命される。勇者のお役目はただ1つ、天から舞い降りてくる異形の敵・バーテックスの襲撃から人類を守ること。最初はバラバラだった3人も、しだいに息の合った連携を見せて、バーテックスの撃退に成功する。しかし、次々と新たなバーテックスが出現し、彼女たちは1人、また1人と傷ついていき――。
『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章』は電撃G'sコミックにて2017年から1年間連載されていました、全2巻の作品です。 本編となるTVアニメ1期の2年前、結城友奈と出会う前の東郷美森の過去を描いています。 作品の世界観を深堀りする作品となっており、東郷美森が車椅子に座っている理由や、大切にしているリボンの謎、中盤に登場するある人物との関係が判明します。 『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章』を読むことで、アニメ1期やコミカライズを違った視点で見ることができるでしょう。 内容はアニメに準拠しており、本作を読むことでアニメのストーリーをわかりやすく追うこともできます。
日常と非日常を行き交う女の子たちの戦い
日常系を思わせるビジュアルでありながら、ダークファンタジーよりの過酷な戦いと残酷な現実を描いた『結城友奈は勇者である』は多くの人を惹きつけた人気作です。 日常と非日常が行き交い、先が読めないストーリー展開は非常に熱く、引き込まれる作品となっています。 今回紹介したコミカライズ版は、原作となるオリジナルアニメ1期の内容を全5巻にまとめたものです。ストーリーの大切なところを抑えながら、非常にコンパクトにまとまっています。 アニメのファンはもちろん、気になっていたけど、シリーズが複雑で手が出せなかったという人には特におすすめの作品です。気になる方はぜひ手にとってみてください。
結城友奈は勇者である(1)
少年・青年マンガTVアニメ「結城友奈は勇者である」公式コミカライズ第一巻。アニメのストーリーを漫画で再現!作画はしっとりとした絵柄とストーリー構成に定評のある人気作家・かんの糖子が手がける。