作ることと食べること、それぞれやりたいことに違いはあれど、料理への強い思いは共通している2人の女性を描いたマンガ『作りたい女と食べたい女』をご存じでしょうか?登場人物や見どころを解説しつつ、その他のおすすめグルメマンガも紹介していきます。
『作りたい女と食べたい女』はどんな話?
本作がどのような内容のマンガで、どういった賞に選ばれているのかなどを紹介しましょう。
『文春オンライン』などで取り上げられて話題に
タイトル通り、料理を作ることが好きな女性と、食べることが好きな女性が食事を通して仲を深めていくお話です。また、話の合間に女性ならではの大変さ、つらさも描かれており、女性が共感しやすい内容となっています。 作者はゆざきさかおみさんで、ComicWalkerにて連載されており、2022年1月時点で単行本は2巻が発売されています。 文藝春秋が運営するニュースサイト、『文春オンライン』でピックアップされるなど、話題を集めている作品です。
『次にくる漫画大賞2021』『このマンガがすごい!2022』にランクイン
ダ・ヴィンチとニコニコが創設したユーザー参加型のコンテスト、『次にくるマンガ大賞2021』のWebマンガ部門に本作はノミネートされています。 3582作品がエントリーされており、最終結果として、21885ポイントを獲得して見事12位にランクインを果たしました。 一般ユーザーが選んだ結果ですので、専門家よりも身近な目線で評価されている作品ということで、より一般層に受け入れられやすいマンガであるといえるでしょう。 また、各業界のマンガ好きが選んだランキング『このマンガがすごい!』では、2022年のオンナ編第2位にランクインしています。
『作りたい女と食べたい女』の魅力
本作の魅力を、ストーリー展開や主人公2人の描写、関係性などの面から解説していきます。
女性2人が楽しそうに作る・食べる姿
料理を作るのが好きなのに、たくさん食べることができず"作りたい"という思いを悶々と抱えた女性・野本と、好き嫌いなく何でもたくさん食べる女性・春日は、ひょんなことから知り合いになりました。 何でもおいしそうに全部食べてくれる春日を見て、野本は料理を作る喜びを解放していきます。活き活きと料理を作り続ける野本のテンションは、見ている読者側まで楽しくなってくることでしょう。 また、春日の食べっぷりも気持ち良く、大量の料理を綺麗に食べきる様子は爽快感を覚えるほどです。
女性だからこそ、好きに料理に関わるのが難しい
楽しく料理を作る・食べるだけではなく、彼女たちは女性ならではの悩みも抱えています。 たとえば、野本は異性からの好感度など関係なしに料理することが好きなだけなのに、それを「いいお嫁さんになる」などと周りの男性に評価されてしまうことに落ち込んでしまうのです。 また、春日にも悩みがありました。定食屋で普通の定食を頼んだにも関わらず、女性だからという理由で勝手にご飯を少なめにされてしまいます。 女性に対する世間のイメージだけで、望まれない扱いを受けることにストレスを感じる様子は、女性読者が共感を覚えるポイントでしょう。
対等な2人の関係
野本は春日に料理を作ること、春日はそれを食べることでお互いの作りたい欲・食べたい欲を満たします。 しかし春日は、材料費などを気にして、しっかりお金を払おうとするのです。一度は断る野本ですが、それは嫌だと春日が主張し続けたことで食費はきちんと受け取られ、2人の間には上も下もありません。 2人は、あくまでも自分たちの希望する形で食に関わりたいだけなのです。どちらかに利益が発生するような関係は好ましくないという、その律儀な関係性が読んでいて心地よく感じられます。
『作りたい女と食べたい女』キャラクター
本作に登場する主なキャラクター、野本と春日について、詳しく説明していきましょう。
野本
料理を作ることが好きな、社会人の女性です。SNSで料理用のアカウントを作っているなど、作りたい欲が強く、デカ盛りレシピ、ゲームに出てくる料理など雑多なジャンルの料理を作りたいと思っています。 しかし本人は少食で、一人暮らしのため一緒に食べる相手もおらず、作りたい欲を燻らせたまま暮らしていました。 春日と出会ってからは、彼女に料理を振る舞うことで欲を満たし、喜びを感じるようになります。 性格は明るく表情豊かで、思ったことをしっかり口にする素直な女性です。
春日
料理を食べることが好きな、社会人の女性です。体格が良く、食欲も旺盛ですが、外食では女性という理由で少なめに料理を出されたりすることに違和感を覚えています。 野本と出会って、彼女の作る料理を食べてからは、その見事な食べっぷりに野本が惹かれました。以降、頻繁に彼女とご飯を食べるようになっていくのです。 口数は少なく、表情の変化にも乏しい方ですが、主張することはちゃんと主張する意志の強さがあります。また、義理堅さや優しさも兼ね備えた性格です。過去の苦い思い出から、ビールに対しては少し苦手意識があるようです。
大人のグルメ好きにおすすめの漫画
グルメマンガは本作以外にも、数多くあります。その中でも、特に大人の読者がメインターゲットの作品をいくつか紹介しましょう。
孤独のグルメ
輸入雑貨商として働く井之頭 五郎(いのがしら ごろう)が、行く先々で食事をする作品です。出てくる料理のジャンルは和食・洋食・中華と幅広く、時にはコンビニフードなども対象となります。 男性1人がひたすら食事をするシーンが続くため一見単調に見えますが、五郎なりの食事に対するこだわりがあり、心理描写でそれが細かく描かれているところが面白い作品です。 ドラマ化されており、そちらはシーズン9まで制作されていて根強い人気を誇っています。主役の五郎を演じているのは、俳優の松重 豊さんです。
料理と女性を深く描いた話題作
『作りたい女と食べたい女』は、料理好きな野本と食べることが好きな春日、2人の女性の交流を描いています。 ジャンルとしてはグルメマンガですが、女性の苦悩やつらさもピックアップされており、女性読者が共感しやすい内容です。 料理が好きな人、女性というだけで勝手なイメージを世間から持たれモヤモヤを抱えている人などにおすすめできます。まだ読んでいない人は、ぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。