『東京卍リベンジャーズ』などヤンキー漫画が根強い人気を誇る中、「次にくる漫画大賞2021」で20位にランクインした『WIND BREAKER』をご存じでしょうか?既存のヤンキーものとは違う『WIND BREAKER』のあらすじや登場人物を解説します。
WIND BREAKERの概要
『WIND BREAKER』が掲載されている媒体の情報や、コミックスについての情報をまとめました。作者情報もあわせてチェックしましょう。
講談社の『マガジンポケット』にて連載中
『WIND BREAKER』は、2021年1月に漫画アプリ『マガジンポケット』で連載が開始され、現在も連載中です。 作者はにいさとるさんで、バドミントンを扱ったスポーツマンガ、『男子バド部に女子が紛れてる シークレットバドミントンクラブ』を描いていた経歴もあるマンガ家です。 『WIND BREAKER』は「次にくる漫画大賞2021」の20位にランクインして、注目を集めました。
発行部数も好調の話題作
コミックスは2022年1月時点で5巻まで発売されています。1巻が発売されたのは2021年5月で、発行部数は6月時点で初版の300%を記録しました。 完売している書店もあるようで、重版のペースは2週間に1回とも言われています。話題作『東京卍リベンジャーズ』と近いジャンルということが、人気の後押しになっているという見方もあります。
アニメ化情報
2024年4月よりTVアニメ第1期がスタートし、全13話で終了。 第一期は原作マンガの5巻までの内容となっていました。 また、一期の放送終了後、二期の放送が発表。 2025年放送予定となっています。
WIND BREAKERってどんな漫画?
『WIND BREAKER』のジャンルや特色、また同ジャンルのマンガとはどのような違いがあるのかなどを解説しましょう。
不良のイメージを覆すヤンキー漫画
『WIND BREAKER』はいわゆるヤンキー漫画に該当しますが、一般的なヤンキー漫画とは毛色が異なります。 ヤンキー漫画の多くは不良が周りから恐れられたり、不良たちが互いに強さを求め合って喧嘩をする様子が描かれますが、『WIND BREAKER』はその逆の展開を楽しめるのです。 物語の舞台、まこち町のヤンキーたちが集う風鈴高校の生徒たちは、実は街の治安を守る存在として住民たちから頼られています。そこに通うことになった主人公の桜も、最初は強さを誇示するために戦いますが、次第に戦う意味について考え始めるのです。
万人受けしやすいビジュアル
『WIND BREAKER』の特徴として、ビジュアルの良さも挙げられるでしょう。細部まで描かれた背景描写や、今時の若者らしいファッションも没入感を増してくれます。 癖がなく、読みやすい絵柄ですので、若者から大人まで、さらに男女問わずに手に取りやすい作品です。絵の好き嫌いが分かれやすい人にもおすすめできます。 もちろん、癖がないからといって作品の内容そのものが薄いわけではありません。魅力的で濃いキャラクターや、先が気になるストーリー展開で読者をわくわくさせてくれます。
WIND BREAKERのあらすじ
本作がどのようなストーリーでどんなキャラクターが出てくるか、序盤である1巻の内容を中心に紹介していきましょう。
絡まれている女性を助ける桜
主人公、桜 遥(さくら はるか)は、まこち町の東風商店街を歩いていました。彼は、不良数人に絡まれている1人の女性を発見します。 不良たちは女性の腕を掴み、力で従わせようとしますが、桜はその間に割って入り、あっという間に不良たちを殴り倒してしまいました。 女性は橘 ことは(たちばな ことは)と名乗り、助けてもらったお礼に自らの店で料理を振る舞います。お礼を言われたり、ご馳走されたりすることに戸惑う桜に、ことははこの街のことや、風鈴高校のことを伝えました。
大勢の不良に報復される
ことはの店を出た桜は、先ほど自分が殴り倒した不良たちと出くわします。彼らは桜への報復のため、人を集め、大人数で桜を倒しに来たのです。 1人対多人数でも暴れ回り、立ち回っていた桜でしたが、不良たちの1人が、様子を見に来たことはを人質に取ろうとします。 ナイフまで持ち出した不良たちに怒りを露わにした桜はより闘志を燃やしますが、ことはを庇いながらの戦いで全力が出せません。一瞬の隙を突かれた桜は、足を刺され、壁際に追い詰められてしまいます。
助けに来たのは風鈴高校のヤンキー
バットで殴られそうになった次の瞬間、桜と不良の間に割って入ったのは同じ風鈴高校の制服を着た男子でした。 柊(ひいらぎ)と呼ばれたその男は、3人の仲間と共に不良たちと対峙します。人数では4人対大勢と不利なままでしたが、彼らはその圧倒的な力で、次々と不良たちを撃退したのでした。 彼らの姿、そして戦いを終えた彼らに街の人たちが上げる歓声に桜は再び困惑します。それを見たことはが、風鈴高校は街を守るために喧嘩する者たちの集まりだと告げました。 同時に桜は、彼らが街の治安を守る"防風鈴(ボウフウリン)"と呼ばれていることを知ります。
"防風鈴"でトップを目指す桜
底辺だったはずの者たちが街のヒーローとして愛されていることを知った桜は、『不良イコール恐怖の対象・避けられる者』という価値観を揺さぶられます。 それは、今まで避けられ続けてきた桜には受け入れられない価値観でした。しかし、同時に憧れていたものでもあったのです。 喧嘩をするためにこの街へ来たはずの桜は、街の人や風鈴高校の生徒たちと関わる中で、戦う意味を見つめ直すことになります。そしてくせ者・強者揃いの風鈴高校に入学した桜は、トップを目指し活躍するのでした。
WIND BREAKERの主なキャラクター
個性豊かなキャラクターが多く登場する本作の中で、序盤に多く登場するキャラクターをまとめました。
桜 遥(さくら はるか)
本作の主人公で、物語の舞台となる風鈴高校に入学することになった高校一年生の男子生徒です。 髪の毛と目の色が右と左で異なるという変わった外見をしており、そのことで気味悪がられたり否定されたりしてきた過去があるようです。 喧嘩が強く、自分1人で物事を解決しようとしたり、他人を近付かせまいとしたりする面がありますが、風鈴高校の人々と関わる中で変化が生まれていきます。人に親切にされたりお礼を言われたりすることに慣れておらず、赤面する一面もあります。
橘 ことは
まこち町東風商店街で、喫茶店を営んでいる女性です。不良に絡まれていたところを桜に助けられたことで、彼と知り合います。 勝ち気な性格で、男勝りな面もありますが基本的に面倒見が良く、風鈴高校の生徒たちからも慕われているようです。 梅宮とは同じ施設で育った仲であり、可愛い妹として溺愛されています。そのため、ことはが危険な目に遭ったりすると恐ろしい怒りを買うことになる、という暗黙の了解があるようです。
梅宮 一(うめみや はじめ)
風鈴高校の3年で、防風鈴の総代を務める男子生徒です。外見はオールバックの髪型と垂れ目が特徴で、朗らかな笑みを浮かべていることが多く親しみやすさがあります。 植物を育てるのが好きだったり、気さくで後輩みんなを弟と思っていたりと、周囲に安心感を与えてくれる存在です。 しかし仲間が傷つけられるなどの事態になるとまとう雰囲気が一変し、強烈な威圧感を放ちます。
杉下 京太郎(すぎした きょうたろう)
高身長と長い髪の毛がトレードマークの男子生徒で、桜と同じクラスの1年生です。 中学時代から風鈴高校に出入りしており、その情熱と才能が認められ、唯一入学前から防風鈴を名乗ることを許された人物です。 総代である梅宮を狂信しており、梅宮に対して歯向かう者や敬意を示さない者には容赦なく攻撃します。てっぺんを取ると宣言した桜に対しても、初対面で殴り合いになるなど危ない面を見せました。 しかし、善悪の判断がないわけではなく、あくまで梅宮を崇拝する気持ちからの行動のようです。
人情に厚いヤンキーたちの活躍を見届けよう
不良同士の抗争ではなく、街を守る不良たちの活躍を描いた『WIND BREAKER』は、これまでのヤンキー漫画とはひと味違った面白さがあります。 イラストも万人受けしやすい画風ですので、今までヤンキー漫画にあまり触れてこなかった人にもおすすめできる作品です。まだ読んでいない人はぜひ、この機会に手にとってみてはいかがでしょうか。