『このマンガがすごい! 2022オンナ編』や『マンガ大賞2021』にもランクインした注目の漫画、『女の園の星』をご存じでしょうか?女子校で働く星先生の目線で、日常を面白おかしく描いています。星先生のエピソードと共に、魅力をお伝えしましょう。
連載雑誌についての情報や作品の基本情報、また、どのような賞を取っているのかについて紹介していきます。
作者は和山 やま(わやま やま)さんで、漫画が掲載されている雑誌は祥伝社の『FEEL YOUNG』です。 2020年2月号から連載がスタートし、2021年12月現在も連載中となっています。単行本は、2巻まで発売中です。 『このマンガがすごい!2021オンナ編』第1位 『このマンガがすごい!2022オンナ編』第5位 『「ダ・ヴィンチ」BOOK OF THE YEAR 2021 コミック部門』第6位 『マンガ大賞2021』第7位 『出版社コミック担当が選んだおすすめコミック』第1位 など、多くの賞を受賞しており、非常に注目されています。
本作の内容について、どのような漫画で、どのようなキャラクターが登場するのかなどを解説していきましょう。
話の舞台となるのは、どこにでもあるような普通の女子校です。そこに教師として勤めている、星(ほし)先生の目線で物語は進みます。 特に変わった校風の学校でもなく、破天荒な先生なども出てこないため、描かれるのはあくまで先生と生徒の日常です。 しかし、細かい言い回しが面白かったり、日常に潜んでいるちょっとしたおかしな場面に焦点を当てていたりと、淡々としたユーモラスさがあります。
女子校の教師、星先生はちょっと抜けているところもありますが、基本的には真面目で冷静、常識的なキャラクターです。 しかし、遊び心がないわけではありません。表面上は普通にしていても、周囲で起こった少しおかしな出来事に対して、冷静・的確にツッコミをしている場面などもあります。 また、酔っ払うと普段は見せないような笑い方や泣き方をするため、いつもの落ち着いた雰囲気とのギャップが魅力です。
どのような部分が見どころで、注目を集めている理由は何なのかを、キャラクターや作品の雰囲気などの観点から解説していきましょう。
物語は星先生の目線で語られることが多く、大抵は何ごともない日常の話です。しかし、日誌に奇妙な絵が描かれていたり、校内のベランダに犬がいたりと、少しだけおかしな場面に遭遇することがあります。 そういった時に、星先生は真面目に、いたって真剣に事態の解決を図ろうとします。内心では、そのおかしな場面に対して芸人かのようなツッコミを披露したり、シュールなボケを見せたりするのです。 そんな、表面上は真面目にも関わらずおかしなことを考えている星先生のキャラクターが、魅力の一つでしょう。
舞台となっているのは女子校で、たくさんの女子生徒が登場します。放課後の一コマや授業中の一コマなど、随所に女子高生の日常が描かれているのですが、ある生徒は担任の観察日記をつけていたり、またある生徒は少し変わった漫画を描いていたりと、どこか"おかしい"ところがあります。 一方で、授業中にメモを回したり、自習中に騒がしくしたりと、女子高でよく見かけるようなシチュエーションも描かれているのも特徴です。あるあるなのにどこかおかしい、という不思議さがズレを生み、笑いになっています。
星先生の同僚には、小林先生や中村先生などの男性教師がいます。彼らもまた、何か変なところがあるわけではなく、実際の教師としていそうなキャラクターになっているため、リアリティを感じられるでしょう。 たとえば、小林先生はいつもポロシャツで勤務しているため、生徒たちから服装にちなんだあだ名を付けられています。それもポロ、などそのままのあだ名ではなく、"ポロシャツアンバサダー"、またはそこからさらに発展し"大使"などと呼ばれているのです。 先生に好き勝手あだ名をつける現象自体は学生あるあるですが、細部に少しだけおかしな部分があるというのが本作の魅力です。
本作に収録されているエピソードの中から、1巻の序盤で描かれる二つのエピソードを紹介しましょう。
星先生の担当するクラスには、変わった習慣がありました。それは、学級日誌の備考欄で絵のしりとりが行われているというものです。 元々はその日のクラスの様子を日直の生徒に書いてもらうためのスペースでしたが、途中から絵を描く生徒が現れ、それを皮切りになぜかしりとりが始まってしまいます。 しりとりになっていることは星先生も理解しており、いつの間にかしりとりの答えを当てるのが密かな楽しみになっていました。 ところが、ある日提出された日誌のイラストには、奇妙な人物が描かれていたのです。前日の絵から最初の文字を想像し、さらに一旦答えを保留して次の日に提出された絵から最後の文字を想像します。 星先生は果たして答えにたどり着けるのか、小林先生をも巻き込んだ小さな謎解きが始まるのです。
ある日の授業中、星先生が板書をしていると、生徒が外を見て「犬がいる」と騒ぎ出します。 校庭に迷い込んだのだろうかと星先生も外を覗くと、校庭ではなくベランダに犬がいたのです。しかも、なぜかリードにつながれ、上階からつるされているという意味不明な状態でした。 上階の担任が諸事情で犬を預かったことがそもそもの原因だったようですが、なぜ上階から階下につるされていたのか、犬のその後はどうなるのか、それは話が進むにつれ明らかにされていきます。 物語の途中からは、さらに事情が変わって星先生のクラスで犬を預かることになるのですが、そこでまた一騒動が起こります。 一匹の犬が巻き起こす小さなトラブルがどんな結末を迎えるのか、それは実際に読んで確かめてみてください。
本作は女子校が舞台ですが、学校が舞台となっている漫画はたくさん存在します。その中から、同じコメディジャンルのものをいくつか紹介しましょう。
坂本ですが? 1
少年・青年マンガこの物語は、とあるクール、いや、クーレストな高校生・坂本の学園生活を綴ったものである――。入学早々、クラスの、いや学校中の注目を集める一人の生徒がいた。その名は坂本(さかもと)。彼にかかれば、ただの反復横跳びは、秘技「レペティションサイドステップ」へと変貌し、上級生からの「パシリ」は、「おもてなし」へとクラスチェンジする。そんな彼のクールな一挙手一投足から、目が離せない。漫画誌ハルタで熱い注目を浴びる人気連載がついに単行本化! 端整な絵柄で本物の笑いを生み出す新鋭・佐野菜見のデビュー作。肩パッドを巡る熱いほとばしりを描く読切「肩幅ひろし」を特別収録!
クールな外見の男子高校生・坂本(さかもと)が、スタイリッシュに高校生活を送る物語です。読書や食事など、日常の中で当たり前に行われる行動すべてが格好良く、周囲の生徒たちを魅了していきます。 女子からの人気も高く、それゆえ時折嫉妬を買い、いたずらをされることもありますが、それすらもスタイリッシュに回避していくのです。 どんな状況でもばっちりと決めてみせる坂本は確かに格好良いのですが、「そんな時でも!?」と思わず読者がツッコミたくなるような面白さがあります。
文武両道ながらも友達の少ない本田 華子(ほんだ はなこ)と、外人だが日本育ちで英語より国語が得意なオリヴィア、真面目だが暴力的な一面もある野村 香純(のむら かすみ)、3人の女子中学生が過ごす日常を描きます。 ふとしたことがきっかけで、遊ぶことを目的とした"遊び人研究会"を結成することとなった彼女たちは、あらゆる遊びをして放課後を楽しみます。 あらすじと、かわいらしい表紙だけを見るとほのぼの系の癒し漫画に思えますが、激しい顔芸やシュールギャグ、暴力など癒しとはかけ離れた内容になっており、そのギャップがとてもユニークな作品です。
『女の園の星』は、女子校を舞台に星先生と生徒たち、そして周囲の先生たちの日常を描いたギャグ漫画です。 淡々と進む日常の中で、ちょっとした笑いどころや不思議な事柄を掘り下げ、優れた言い回しや小ネタで笑いをもたらしてくれます。 派手でハイテンションなギャグ漫画よりもシュールよりの、じわじわくるタイプのコメディが好きな人におすすめです。