『うるわしの宵の月』は『次にくるマンガ大賞2021』の14位に選出された、今話題の恋愛少女漫画です。恋愛に奥手なイケメン系女子と、グイグイ来る王子系男子が特徴の物語が注目を集めています。あらすじや登場人物の魅力、見どころなどを紹介します。
『うるわしの宵の月』の概要
『うるわしの宵の月』とはどんな漫画なのでしょうか。ここでは『うるわしの宵の月』の基本情報を紹介していきます。
講談社の漫画誌『デザート』で連載中
『うるわしの宵の月』は『モエカレはオレンジ色』や『ゆびさきと恋々』などの話題作が連載されている、漫画雑誌『デザート』にて連載されています。 『デザート』にて好評連載中の『うるわしの宵の月』は、2021年12月現在3巻まで発売されており、待望の4巻は2022年5月頃の発売予定です。 なお、漫画の続きが待ちきれない人は、デザートの最新号をチェックするとよいでしょう。
作者はやまもり三香氏
『うるわしの宵の月』は『シュガーズ』や『椿町ロンリープラネット』などの作品で知られる、やまもり三香が原作の漫画です。 やまもり三香の代表作といえば、シリーズ累計発行部数250万部を記録した『ひるなかの流星』です。生徒・教師・同級生の三角関係を描いた『ひるなかの流星』は、女子中高生の間で"初恋のバイブル"として注目されました。 『ひるなかの流星』は2017年に映画化も果たしています。主役の女子高生は永野芽郁、主人公が恋をする担任役に三浦翔平、主人公に思いをはせるクラスメイト役を白濱亜嵐が演じました。
『うるわしの宵の月』のあらすじ
本編を読む前に知っておきたいあらすじを紹介します。あらすじをチェックしてから本編を読めば、よりスムーズに物語の世界に没入できるでしょう。
”王子”と呼ばれる女子高生・滝口 宵
本作の主人公は、同級生や上級生から"王子"と呼ばれる女子高生・滝口宵(たきぐち よい)です。彼女は男子も顔負けの端正な顔立ちと、少女漫画に出てくるヒーローのような言動から、"王子"と呼ばれていたのでした。 そのルックスから異性よりも同性に憧れられるケースが多く、女の子からプレゼント攻撃を受けることもしばしばです。 宵自身も、自分にはお姫様よりもヒーローか王子の方が似合っていると自覚しています。しかし、それと同時に、王子ともてはやされる現状に違和感も持っていました。
市村に男と間違えられる
そんな宵の日常を変えたのは、宵と同じく"王子"と呼ばれる男子生徒・市村琥珀(いちむら こはく)との出会いでした。 校内で宵とぶつかりそうになった市村は、謝るや否や「あんためちゃくちゃ美しいな」とつぶやきます。突然投げかけられた言葉に、宵はただただ呆気にとられてしまうのでした。 一方の市村は、ジャージのズボンをはいていた宵を男性と間違えてしまいます。その後市村は友人から宵の性別を教えられ、初めて宵が女子だと気付くのでした。
市村に助けられ、つきまとわれることに
宵と市村が出会った日の放課後、コンビニに立ち寄った宵は酔っ払いに絡まれている女子店員を発見します。宵は店員を助けようとしますが、逆に酔っ払いに胸ぐらをつかまれ、すごまれてしまいます。 ピンチに陥る宵を助けたのが、そこに偶然居合わせた市村でした。 コンビニからの帰り、酔っ払いに果敢に立ち向かおうとする宵の姿に「めちゃくちゃときめいたし」と話す市村は、お姫様扱いされた経験がないという宵を突然お姫様抱っこします。 突然の出来事に戸惑い、赤面する宵に目を奪われた市村は、その日から宵につきまとうようになるのでした。
初めて「かわいい」と言い寄られ...
ある日の昼休み、宵と市村は、思いがけず2人きりで昼食を取ることになります。 何気なく交わされる会話の中で、市村は宵に「かわいい」と発言します。初めて投げかけられた「かわいい」の一言に困惑する宵をよそに、市村は積極的に距離を詰めようとするのでした。 自分にはヒロインは似合わないと、市村の言動に期待しないよう努める宵は、どうせみんなに「かわいい」と言っているのだろうと考え、心の平穏を保とうとします。
『うるわしの宵の月』の登場人物
本作に登場するキャラクターを紹介します。本編を読む前に、登場人物たちの情報をチェックしておきましょう。
滝口 宵(たきぐち よい)
本作の主人公です。女性でありながらすらりとした体格で、親譲りの男顔を持っているため、同級生や上級生に"王子"と呼ばれています。その見た目から、男性に間違えられることも日常茶飯事です。 加えて、運動会で転んだ女子を救護したり、酔っ払いに絡まれる店員を助けたりするなど、"正義の味方"を連想させる言動が多いため、少女漫画のヒーローのようなポジションとして扱われています。 そのルックスゆえ「かっこいい」と言われた経験はあっても「かわいい」と言われた経験はありません。そのため、宵を「かわいい」と評して言い寄ってくる市村に、ただただ困惑してしまうのでした。
市村 琥珀(いちむら こはく)
宵と同じ高校に通う男子高校生です。宵にとっては一学年先輩にあたります。 明るい髪色にピアスという出で立ちが印象的なイケメンで、その整ったルックスから、宵と同じく"王子"のあだ名で呼ばれています。 当初市村は、宵を男子だと思っていました。宵が女子だと分かってからは、何かに付けてちょっかいを出すようになります。思ったことをストレートに表現する性格のため、何気ない一言で宵を困惑させてしまう場面が多々あります。 祖父が社長をしているため、市村の実家は絵に描いたような大豪邸です。その事実を知ってか知らずか、学校では"父親が大富豪で会社を2~3個任されている"との噂が立っています。
『うるわしの宵の月』見どころ紹介
ここからは、本作の見どころを紹介します。見どころを事前に知っておけば、いろいろな側面から作品を楽しめるでしょう。
タイプの違うイケメン2人
『うるわしの宵の月』は、タイプの違うイケメンにキュンキュンしたい人におすすめの少女漫画です。 正確には正真正銘のイケメン・市村と、イケメンと間違われがちな美麗女子・宵の2人ですが、話の流れや絵柄を考慮すれば"2人のイケメンが楽しめる"と言っても過言ではないでしょう。 女性ながら"王子"と呼ばれる宵は、市村の言動に終始困惑するばかりの悩み多きイケメン女子です。市村に振り回される宵は、作中でさまざまな表情を見せてくれます。 一方の市村は、気になる女子にはグイグイとアプローチする、少女漫画では王道のイケメン王子です。つかみどころがなく、主人公を予測不能な振る舞いで翻弄します。
宵の心の動き
市村と関わり変わっていく宵の心も本作の見どころです。宵は、王子扱いされる現状に複雑な思いを抱えていましたが、「お姫様というよりヒーローか王子の方がしっくり来る」とその境遇を受け入れてもいました。 そんな宵の心を揺さぶるのが、宵に「美しい」「かわいい」と言う市村琥珀です。王子っぽさも含めて自分を肯定してくれる市村に、宵は心をざわつかせます。それと同時に、体験したことのない心の動きに戸惑ってしまうのでした。 市村と交流を重ねていくうち、宵は自分でも気付かぬうちに市村に心惹かれていきます。
2人の恋の進展
『うるわしの宵の月』最大の魅力は、2人の恋の行方でしょう。 男性に言い寄られた経験のない宵は、市村のアプローチにどう反応していいか分からず、そっけない態度を取ってしまいます。時にははっきり物を言う市村の、何気ない一言に困惑したり、引いてしまったりする場面もあります。 しかしそれでも、宵は市村との交流を重ねる中で、市村の気遣いや優しさに気付き、感情を揺さぶられてしまうのでした。 1巻の最終盤、2人の関係性を大きく変える出来事が起こります。真正面からアプローチしてくる市村と、それを素直に受け入れられない宵の恋模様に目が離せなくなるでしょう。
イケメン女子が登場する漫画
『うるわしの宵の月』と同様に、女性が憧れるイケメン女子が登場する漫画は他にもあります。本作でイケメン女子に魅了された人に次に読んでほしい、イケメン女子が活躍する漫画を紹介します。
俺の執事(♀)がイケている
お金持ちの執事となり、男装して男子校に通うことになった主人公の、刺激的すぎる生活を描いた作品です。 父親の借金のためちょっと怪しいバイトにチャレンジした女子高校・類(るい)は、客とトラブルを起こしてしまいます。そんな類を助けたのが、お金持ちの高校生・祷真(とうま)でした。 執事を探している祷真は、類に自分の執事になるよう命令します。加えて"女とばれずに翌年の3月まで過ごせたら1000万円をあげる"という条件付きで、男装して男子校に通えと強要するのです。 お金に困っている類は祷真の提案に乗り、執事として、そして男子高校生として生活を始めるのでした。本作はすでに完結しており、全7巻のコミックスが発売中です。
おとなりコンプレックス
見た目が真逆の男女の恋愛を描いた作品です。 主人公の女子大生・あきらは、ボーイッシュな見た目と服装から、男子によく間違われていました。そんなあきらの幼なじみは、美少女顔の女装男子・真琴(まこと)です。あきらは自分よりも女性らしい真琴に、尊敬と羨望を抱いていました。 一方の真琴は、あきらに密かな恋心を抱いています。そんな真琴は、自分の気持ちを隠してあきらと接していました。 2人の関係を変えたのは真琴の告白です。突然の出来事に戸惑うあきらでしたが、真琴の告白をきっかけに、自分の気持ちを確かめていくのでした。2021年9月現在現在4巻まで発売中の本作は、pixivコミックで連載されています。
偽りのフレイヤ
小さな町に住む少女が王子と入れ替わり、国を守るために奮闘するファンタジー作品です。 大国・シグルズの支配が迫る小国・テュールに住むフレイヤは、病弱な母と2人、騎士となった幼なじみのアーロンとアレクシスの帰りを待っていました。一時帰郷した2人が知らせたのは、シグルズがフレイヤたちの住む村を明け渡すように要求しているとの事実でした。 再び任務に戻る2人を見送るフレイヤは、偶然、敵国の監督官からテュールの王子が瀕死の状態であること、そしてアーロンの命が狙われていることを知ります。 アーロンの命を助けるべく城に潜り込んだフレイヤが出会ったのは、自分と瓜二つのテュール国王子・エドヴァルドでした。フレイヤは瀕死の王子に代わり、国を守ると心に決めます。 『偽りのフレイヤ』は漫画誌『LaLa』にて連載中です。単行本は2021年12月現在7巻まで発売されています。
イケメン女子が初めて男子にときめく瞬間
『うるわしの宵の月』は、恋愛経験ゼロの女子に王子と呼ばれるイケメンが熱烈にアプローチする、王道の恋愛漫画です。 しかし本作は、アプローチされる側の女子もイケメンという点で、他の恋愛漫画と一線を画しています。「かわいい」と言われた経験のないイケメン女子が初めて男子に受け入れられる瞬間は、キュンキュンすること間違いなしです。 一味違う王道少女漫画を楽しみたい人は『うるわしの宵の月』を読んでみてはいかがでしょうか?