女性漫画誌としてトップクラスの人気を誇る『Kiss』を紹介します。雑誌『Kiss』のもつ特徴や掲載されていた漫画、そして現在も連載中の漫画をチェックして、『Kiss』の魅力に触れてみてください。
のだめカンタービレ
二ノ宮知子さんが描くクラシック音楽コメディ作品です。2001年に連載が開始され、2010年に完結しました。コミックスは本編を描いた23巻と番外編を収録した2巻の計25巻が発売されています。 エリート音大生の千秋 真一(ちあき しんいち)は指揮者を目指して努力を続けていましたが、次第に音楽との向き合い方に行き詰まりを感じるようになりました。そんなある日、千秋は魅力的かつ個性的なピアノを弾く野田 恵(のだ めぐみ)と出会います。 一度音を聞けばその通りの演奏ができるという天才的なセンスを持つ恵でしたが、彼女は掃除や風呂を嫌う不潔であることに加え、千秋に対して異常なほどの恋愛感情を持つ変態だったのです。 女性漫画として抑える所は抑えていますが、主人公が変態なため、中々恋愛に発展しない点が特徴です。そのため恋愛色が薄いので、男性が読んでも楽しめる作品であるといえるでしょう。
逃げるは恥だが役に立つ
海野なつみさんが描く社会派ラブコメディです。2012年に連載が開始され、一度終了したのち2019年に再び連載が開始され、2020年4月号まで連載されました。コミックスは全11巻まで発売中です。 求職中の森山 みくり(もりやま みくり)は父親の計らいで、独身の会社員である津崎 平匡(つざき ひらまさ)の家事代行として働くことになります。 両者ともに快適な関係を築いていましたが、みくりの実家に起こったある事情により、彼女は仕事を辞めなければいけなくなりました。現状を維持したい二人が導き出した結論は、なんと契約結婚でした。 本作は劇的な展開や壮大なラブストーリーなどではなく、地に足のついた大人の恋愛を描いた作品となっています お互いの恋愛に対する慣れのなさや、ぎこちなさが丁寧に描かれているため、二人の恋愛模様を応援したくなる作品です。
パーフェクトワールド
有賀リエさんが描く切ないラブストーリーです。2014年から連載が開始され、2021年に終了しました。コミックスは全12巻まで発売中です。 インテリ会社に就職した川名 つぐみ(かわな つぐみ)は飲み会で高校時代の思い人である鮎川 樹(あゆかわ いつき)と再会しますが、彼は車椅子に乗る障害者となっていました。 本作は健常者と障害者の恋愛をリアルに描いた作品です。車椅子生活となった恋人との恋愛を描きながらも、働くこと、生きること、幸せとは何かを問いかける内容となっています。 また、『パーフェクトワールド』は車椅子に乗る人物が登場するため、本作を読んでいく中でハンディキャップを持った人への理解を深められるでしょう。
きみはペット
小川彌生さんが描く大人向けのラブストーリーです。2000年に連載が開始され、2005年まで連載されていました。 また、本作は2003年に小雪さん、松本潤さんが主演でTBSでドラマ化されていますが、2012年に入山法子さん、志尊淳さん主演でフジテレビにて再びドラマ化されました。 才色兼備のキャリアウーマンである巌谷 澄麗(いわや すみれ)は見た目や周囲の評判とは裏腹に、恋愛に不器用で繊細な女性でした。トラブル続きの日々の中で、澄麗はある日ダンボールに捨てられていた合田 武志(あいだ たけし)と出合います。 ひょんなことから澄麗は武志を拾い、昔飼っていたペットと同じ"モモ"という名前をつけ、彼を飼うようになりました。 本作はイケメンをペットとして飼うという過激な設定ながらも、可愛くてピュアな恋愛模様から、大人びた雰囲気のラブストーリーまで幅広い胸キュン要素が詰まった作品です。
カカフカカ
石田拓実さんが描くHで複雑な大人向けラブストーリーです。本作は2013年から2021年1月号まで連載されていました。 コミックスは全12巻まで発売されています。また、本作は『カカフカカ-こじらせ大人のシェアハウス-』というタイトルでMBSでドラマ化されました。主演は森川葵さん、中尾暢樹さんです。 就活に失敗し、現在フリーターの寺田 亜希(てらだ あき)は同棲していた彼氏に振られてしまい、友人が住むシェアハウスで暮らすことになりました。亜希はそのシェアハウスで、中学時代のクラスメイトであり、亜希の初めての相手である本行 智也(ほんぎょう ともや)と再会します。 本作は、亜希がふとしたはずみで智也と秘密の添い寝関係を始めるというエロ要素を含んだ作品です。 体だけ、心だけ、と割り切れない歪な恋愛模様が特徴で、可愛い絵柄からは想像がつかないほど登場人物の様々な気持ちが丁寧に描かれています。
東京タラレバ娘 シーズン2
『東京タラレバ娘』の続編にあたる東村アキコさんの最新作です。正統な続編ですが、登場人物が一新されているため、今作から読み始めても問題なく読み進められるでしょう。2019年から連載が始まり、コミックスは2021年8月の時点で5巻まで発売されています。 主人公、廣田 令菜(ひろた れいな)は三十歳のフリーターです。夢や人生の目標、彼氏もいなければ好きな人もいない彼女は、年号が令和に変わったことを期に自分自身も変わろうと奮闘します。 本作は令和を生きる現代女子の夢とリアルを描いた作品です。アラサーという人生の過渡期の中で夢や、人生、そして家族について真っ向から向かいあう姿に注目です。
涙雨とセレナーデ
河内遙さんが描くタイムスリップロマンです。2015年から連載が開始され、コミックスは2021年8月の時点で8巻まで発売中です。 現代の日本で暮らす片桐 陽菜(かたぎり ひな)はある日音楽の授業中に明治40年の世界にタイムスリップしてしまい、そこで本郷 孝章(ほんごう たかあき)という男性に出合います。 本作は上流階級のイケメンと女子高校生の恋愛を描いた作品です。タイムスリップというSF的な要素を含めながらも、恋愛を主軸にした内容に注目です。
『Kiss』ってどんな雑誌?
女性漫画誌として知名度の高い『Kiss』ですが、本誌に掲載されている作品は知っていても、雑誌そのものについて知っていることは少ないという方もいるのではないでしょうか。まずは『Kiss』についての基本的な情報を解説していきます。
講談社の女性漫画誌
『Kiss』は1992年に講談社から発行された『mimi』という漫画雑誌の別冊として刊行されました。「読むと恋する」をキャッチフレーズとして、大人の女性漫画誌を目指して作られています。 対象年齢は20〜40代で、働く女性のリアルや本音を描いた作品が多く掲載されています。本誌の特徴としてはコンペで連載枠を採用するパターンが多いことが挙げられ、年間3〜4作品ほどはこの方式で連載が決定したものです。 また、本誌はコンテンツの数を増やすことにより単行本や電子書籍での売り上げを伸ばすため、2014年10月号からはリニューアルが施され、ページ数が420Pから500Pまで増えました。
大人も楽しめる恋が満載
『Kiss』は大人の恋愛を描いた作品を多く掲載していますが、あまり現実を描きすぎないよう工夫が施されています。というのも、読者の中には現実逃避のために漫画を読んでいる方もいるためです。 フィクションを上手に入れつつ、大人のリアルな恋愛を描ききっている点が『Kiss』の最大の魅力といえるでしょう。そんな大人のオアシスである漫画雑誌『Kiss』をぜひご覧ください。