復讐にとらわれた主人公・ケヤルが、魔法によって人生をやり直す物語、『回復術士のやり直し』をご存じでしょうか?癖の強い登場人物や、周りのキャラクターによって歪んだ性格になってしまった主人公が特徴の本作について、あらすじや概要を紹介します。
『回復術士のやり直し』が何の雑誌で掲載されている作品か、また作者はどんな人物かなどを紹介していきます。
元々は『小説家になろう』という小説投稿サイトにて連載されていた小説です。原作者は月夜涙さんで、他にも何作かのライトノベルを手がけています。 コミカライズ版の作者は羽賀ソウケンさんです。 Web公開の『ヤングエースUP』にて2017年から連載されており、現在も連載中です。単行本は2021年8月時点で、9巻まで発売されています。
作品のテイストや主人公の情報、またどんな特徴を持ったマンガなのかを解説していきましょう。
主人公のケヤルが、今まで自分を苦しめてきた者たちに復讐していくというストーリーです。人々のため、正義のために戦うといった王道タイプの主人公ではありません。 時には平気で他者を殺害したり、他人に残虐な行いを繰り返したりする、ダークな世界観が持ち味です。 また、主人公以外の登場人物も癖のあるキャラクターが多く、人を見下したり虐げたりする歪んだ人物が多く登場するため、明るい雰囲気より暗い雰囲気の作品が好きという人におすすめです。
"癒"の勇者として選ばれた主人公・ケヤルは【回復】(読み:ヒール)という勇者にのみ許された回復魔法が使えますが、その代償に回復対象の記憶・経験を自身が受けなければいけません。 それには激しい痛みや苦しみが伴うため、ケヤルは魔法の使用を拒みますが、【回復】を求める王国の者たちにより薬漬けにされ、強制的に魔法を使用させられます。 とある力により憎しみを引き継いだまま時間を巻き戻したケヤルが、王国への復讐を開始するというストーリー展開です。復讐が目的だったものの次第に後悔する、などということはなく、清々しいまでに復讐で己の願望を叶えていく様子が、振り切っていてユニークです。
ダークな世界観ゆえか、性的な描写も多く、対象年齢層は高めになっています。たとえば復讐の一環として相手を屈服させる、などの描写があります。 また、勇者と交わることで強くなれるという設定のため、強さを求めて勇者と交わろうとするといった展開でアダルト描写があるケースも。過激なお色気シーンが好きな人には喜ばしい特徴です。
物語がどのような世界設定で、主人公がどのように復讐を始めるかといった経緯を解説します。
何人かの勇者がいる世界で人類は魔族と戦っており、物語は魔王との戦いから始まります。勇者パーティーには"砲"の勇者、"剣"の勇者、"術"の勇者などがおり、主人公のケヤルは"癒"の勇者としてパーティーに加わっていました。 しかしケヤルは、【"回復】ヒール"しか使えない存在で、回復薬がなくなった際の予備程度の者として扱われていたのです。その【回復】でさえも、対象の肉体に染みついた経験が自身に流れてくるため、壮絶な苦痛を伴うというデメリットがありました。 ケヤルは【回復】を拒む度に周囲から拷問を受け、中毒性のある薬を投与され、【回復】を使うよう肉体と精神を調教されていたのです。 魔王との戦いは勇者たちが有利に進むかに思われましたが、魔王の反撃で一行はピンチを迎えます。ケヤルに【回復】させようとしますが、彼は長期間の薬物投与で耐性ができており、正気を取り戻していました。 ケヤルは勇者たちを見殺しにし、これまで蓄積させた経験で魔王軍を撃退します。魔王を倒したケヤルは、体内から魔力を増幅させる道具、賢者の石を入手しました。ケヤルはそれを用いて、時間を【回復】させて勇者たちに出会う前から人生をやり直そうと計画したのです。
時間逆行に成功し4年前へと戻ってきたケヤルは、復讐するため、1回目の世界で手に入れた経験、知識を活用します。 薬物への耐性を早く付けるためあえて毒キノコを摂取したり、薬漬け状態で投獄されたときも脱走のため兵士たちの慰め者になったりと、茨の道ではありますが下準備を整えるのです。 やがて薬物耐性を得て、憎悪から自身の意志も取り戻したケヤルは、"術"の勇者であるフレアを辱め、復讐します。
フレアを嬲った後、ケヤルは【回復】の力を用いて、彼女の記憶だけを消し、知識だけを残した状態へと変えます。見た目も変えられ、別人のようになったフレアは、ケヤルのことを互いに愛し合っていた従者だと思い込まされます。 そんなフレアにケヤルは自身の名をケヤルガだと偽り、さらなる復讐のため共に旅をすることになるのです。
ケヤルを虐め、苦しめていたのはフレアだけではありません。"剣"の勇者、そして"砲"の勇者にも1回目の世界では散々な目に遭わされたため、彼は復讐の続きを計画します。 そのためにフレアに調教をほどこし、さらに味方を増やすため奴隷を買い、自分を追ってくる王国の者たちを撃退しながら、復讐の準備を整えていくのです。
多くのキャラクターが登場する本作の中で、物語に深く関わってくる勇者たちの詳細を解説していきましょう。
本作の主人公で、ケヤルガは仮の名前です。1回目の世界での名前はケヤルで、他の勇者たちから奴隷・遊び道具として扱われていました。そのため性格が歪み、他者への復讐に執着するようになっています。 2回目の世界では復讐を目的として動き、フレアの記憶を消した上で自らの従者として服従させています。 【回復】の力は体力の回復だけに留まらず、相手の技を模倣したり、相手を好きな形状に変えたりといった応用が可能です。
魔術の使用に長けた勇者で、外見は美しく凜とした女性です。人当たりがよく周囲からも慕われている様子が窺えますが、それは取り繕われたもので、実際は他人を見下したり、平気で自分だけ抜け駆けしたりするような性格をしています。 1回目の世界ではケヤルを犬のように扱っていましたが、2回目の世界では逆にケヤルに記憶を消されて従者となり、彼の望むままに付き従います。
剣の扱いに長けた勇者で、ボーイッシュな外見の女性です。男性、特にケヤルに対しては暴力的な面を見せ、1回目の世界では乱暴な言葉を浴びせたり、ぞんざいに扱ったりしていました。 一方で、女性を好む性質を持っており、フレアに対しては強い好意を持っている様子が覗えます。1回目の世界では、対魔王戦で魔王の反撃に遭い倒れています。2回目の世界でもケヤルの復讐対象として狙われているようです。
砲撃の扱いに長けた勇者で、体格が良いスキンヘッドの男性です。倒錯した愛情をケヤルに見せ、1回目の世界では性のはけ口としてケヤルを辱めていました。 少年のみを愛するという歪んだ性癖の持ち主であり、そのためには非道な行いも行う人物です。一方で諜報活動や知略に優れた面もあり、その頭脳を発揮して行動しています。
『回復術士のやり直し』は、復讐のため2回目の人生をスタートさせる主人公ケヤルの物語であり、王道から外れたストーリー展開が見どころです。 過激なお色気シーンも多いため、対象年齢は高めですが、ダークな世界観が好きな人におすすめです。