テレビドラマになっただけでなく、映画化もされた人気作品『きのう何食べた?』がどんなマンガなのか、気になってる人も多いのではないでしょうか?この記事では本作の概要や登場人物、見どころを解説します。映画館に足を運ぶ前にマンガの内容を知っておくと、より深く楽しむことができるでしょう。
『きのう何食べた?』はどんな漫画?
『孤独のグルメ』や『ワカコ酒』など、大人でも気軽に楽しめるグルメマンガは多くあります。『きのう何食べた?』は、そんなグルメ要素に加えて大人の人間関係を楽しめる作品です。まずは連載雑誌やメディアミックスなど、本作の基本情報について紹介します。
モーニングで2007年から連載
『 きのう何食べた?』は2007年から講談社の大人向け雑誌『モーニング』にて連載されており、2021年11月12日には単行本が19巻が発売されます。 モーニングは『クッキングパパ』や『焼いてるふたり』など、料理をテーマにした漫画も多く、また『課長島耕作』や『働きマン』など、大人のライフスタイルを扱った漫画も数多く連載しています。 『きのう何食べた?』は、大人のライフスタイルと料理の両方を楽しめる、モーニング読者にぴったりのマンガなのです。
ドラマ版も大人気
2019年4月から6月まで 、本作のドラマがテレビ東京で放映されました。主役の筧史朗(かけい しろう)役には西島秀俊さん、矢吹 賢二(やぶき けんじ)役には内野聖陽さんが抜擢され、この2人が男性同士のカップルを演じるという点でも話題になった作品です。 本作の魅力の一つに、史朗が作る料理の数々が挙げられます。ドラマでもしっかりと料理が描かれており、しかも料理の手順までわかりやすく解説してくれているので、料理を学びたいという人にもおすすめのドラマです。 ドラマは好評で、2020年正月には三夜連続のテレビ東京のグルメ系人気ドラマに本作が抜擢され、スペシャル版が放映されました。東京ドラマアウォード2019の連続ドラマ部門の優秀賞をはじめ、数々の賞も受賞しています。
2021年11月に劇場版が放映予定
2021年11月に映画版も公開されています。監督と脚本はドラマ版と同様に、監督・中江 和仁さんと脚本・安達奈緒子さんのタッグが務めます。 主役の西島秀俊さんと内野聖陽さんももちろん続投です。その他、本編で人気だった個性豊かなキャラクターや、劇場版からのゲストキャラクターも続々と登場します。 劇場版では、原作8巻のエピソード”京都旅行編”が描かれるため、自宅ではなく旅行先の2人の姿が楽しめるでしょう。
『きのう何食べた?』のストーリー
『きのう何食べた?』原作のストーリーラインを紹介します。史朗と賢二の2人がどのような関係なのか、本作のストーリーを見ていきましょう。
ゲイカップルが2人で暮らす様子を描く
本作には2人のメインキャラクターがいます。1人目は筧 史朗で、都内の弁護士事務所に勤務しています。仕事仲間との付き合いもそこそこに仕事を切り上げてスーパーに向かった史朗は、今晩の料理について考えを巡らせていました。 43歳という年齢ですが、一見すると30代にしか見えません。職場では熱々の彼女がいると噂されていますが、その実態については誰も知らないのです。なんと史朗が付き合っているのは男性で、史朗はそのことを周囲に隠していました。 そのお相手が、本作のもう1人の主役である矢吹 賢二で、”フォーム”という美容店で雇われ美容師を10年続けています。 彼はクレーマーや注文がやたらとうるさい面倒な客に対応する"爆弾処理班"として、頼りにされていました。 "爆弾処理班"の賢二にかかればどんな面倒な人でも機嫌良く帰って行くというエピソードから、人柄の良さがうかがえます。 そんな2人はカップルとして支え合い、ときには喧嘩し、仲良くご飯を食べながら暮らしています。
毎話、おいしそうなレシピを紹介
本作はゲイカップルの暮らしを描くとともに、もう一つ別のテーマがあります。それが”料理”です。 第一話から毎話、史朗が料理を作る様子を描いています。 その料理のレシピは細かく、またできあがりもとても美味しそうで、バリエーションも豊富です。リアルな手料理を同棲している賢二と食べる様子も、この作品の見どころであるといえるでしょう。
『きのう何食べた?』の登場人物
本作の登場人物について掘り下げて紹介します。 主役の2人とともに、2人と関わりの深い人物をチェックしていきましょう。
筧 史朗(かけい しろう)
本作の主人公の1人で、都内の弁護士事務所に勤務している男性です。見た目が30代に見えるほど若々しく、芸能事務所に所属しているのではないかと評されるほどに整ったルックスをしています。 職場の人間とはあまりプライベートな付き合いはなく、自分のことを滅多に話さないために無愛想な人間という印象を持たれています。 母親はゲイであることに理解を示しているものの、一方的な勘違いも含まれており関係はギクシャクしている様子です。趣味の料理を生きがいにしていて、料理を作るために仕事は定時退社すると公言しています。
矢吹 賢二(やぶき けんじ)
もう1人の主人公で、”フォーム”という美容店で働いています。史朗とは対照的で人当たりが良くて明るく、面倒な客であっても器用に裁ける高いコミュ力を持っています。 史朗が几帳面に家計を記録しているのに対し、賢二はお金に関しては無頓着な様子です。そのため、周囲からは美容師として独立を勧められるものの、「経営は向いていない」と断っています。 ゲイであることは周囲に公言していて、史朗のことも、問われれば恋人として紹介します。人当たりのよい人物ですが、史朗が女性の悪口を言うことを喜ぶなど、独占欲を見せるシーンも多く描かれています。
富永 佳代子(とみなが かよこ)
史朗の料理仲間です。 スーパーの店先でスイカをひと玉買おうか悩んでいたところ、その場に偶然居合わせた史朗とスイカを分け合ったことをきっかけに交友関係を持ちました。史朗がゲイであることを知っている数少ない人間の1人です。 父親と娘がいて、3人あわせて史朗とは家族ぐるみで交流し、相談に乗ったり食材を分け合ったりしています。
小日向 大策(こひなた だいさく)
芸能プロダクションで仕事をしています。彼本人はゲイであり、普段は無表情ですが恋人の前では表情や態度が一変して、ベタ惚れ状態になります。 佳代子の夫とはテニスサークル仲間で、その縁から史朗を紹介され、知り合いになりました。社内でもゲイということは隠していません。
『きのう何食べた?』を楽しむポイント
本作を楽しむポイントを紹介します。 漫画を読む上で、また映画を見る上でもぜひ押さえておきたい見どころをチェックしましょう。
家庭でも再現できるおいしいレシピ
本作に登場するレシピは、一般人には手が届かないような高級料理や技巧を凝らしたものではありません。スーパーの材料さえあれば、再現可能なものばかりです。 1話で史朗が作っていた"鮭とごぼうの炊き込みご飯"ももちろん再現可能です。作り方は丁寧に解説されていますし、実際に買い物をするシーンもあるのでおおまかな予算についても考えやすいでしょう。 今日の献立に困ったら、本作のレシピを参考にしてみてはいかがでしょうか。
ゲイカップルの悩み
ゲイカップルという関係は、社会の誰もが受け入れてくれるわけではありません。特に本作では、史朗の家族関係にたびたび焦点が当てられます。 史朗の母親は、高校生の頃に史朗がゲイであることを知ってしまったショックで数日寝込んでしまい、新興宗教に走ってしまいました。そのことがきっかけで史朗は母親を避けており、またゲイを公言することも嫌がっているのです。 一方の賢二はゲイをカミングアウトしているなど楽天的な様子が目立ち、悩んでいる素振りもあまり見せません。そんな2人のバランスが良いのも本作の特徴です。
時間経過がリアル
本作は時間経過がリアルに描かれています。物語が進むにつれて、40代前半だった史朗は50歳を超え、賢二は店長になっていたり、イメチェンをしたりしています。 佳代子の娘も30歳となり出産し、佳代子にも孫ができています。季節ごとのイベントでは去年と比較してどうだったかといった話題を口にすることもあり、まるで作品の登場人物たちと一緒に歳をとっているような感覚を味わえるので、よりキャラクターに親近感を覚えるでしょう。
おいしいレシピを楽しめる男の2人ぐらし
本作はゲイカップルの微笑ましい日常と料理の二つが魅力です。リアリティのある生活感は、まるで自分自身が彼らと知り合いになったかのように錯覚してしまいます。 マンガはドラマや映画よりもエピソードが豊富ですし、何より料理のバリエーションもたくさん紹介されています。ドラマと映画ではまった人はもちろん、大人のスローライフが好きな人は、ぜひ本作を読んでみてください。