マンガ『本好きの下剋上』が面白い。内容や読む際の注意点を解説

マンガ『本好きの下剋上』が面白い。内容や読む際の注意点を解説

『本好きの下剋上』は異世界転生ものでありながら主人公が能力を手に入れたり戦闘をしたりすることがなく、転生前の記憶だけを駆使して行きていく物語です。本を愛するマインが友達や家族と困難に立ち向かう作品、『本好きの下剋上』について解説します。

  • 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 「本がないなら作ればいい! 7」

    少女・女性マンガ
    3.7
    640

    家族は、私が守る! 累計75万部突破人気WEB小説『本好きの下剋上』がコミック化! 7巻も描き下ろし特別漫画と、原作・香月先生の書き下ろしSSをW収録。 ボリュームたっぷり! 第30話から第33.5話までを収録 【あらすじ】 魔術具により、死の淵から脱却したマイン。しかしあと1年ほどでまた命の危機が訪れるという。マインは残り1年、家族と生き、朽ちる道を選んだ。 一方ルッツは、商人になるのを反対する母親に、「オレは必ず商人になる」と強い決意を見せる。 そうして、洗礼式の日まで紙作りをしながら過ごすマインとルッツだが、ある日、フリーダから身食いについて話があると呼び出される――。 本好きのための、本好きに捧ぐ、ビブリア・ファンタジー! 第1部完結巻 著者について ●鈴華 サウンドノベル『葬送鬼レギナルト』のコミカライズ連載や、オリジナル恋愛漫画『平安トラベラー』連載などを手掛ける。その他ゲーム系アンソロ・ガイドブックなどにイラストとマンガを多数執筆。

    『本好きの下剋上』ってどんなマンガ?

    突然の地震がきっかけで、日本の女子大生本須 麗乃(もとす うらの)は病弱な少女マインの体に転生します。本を愛する少女が異世界で活躍する、『本好きの下剋上』の概要を解説します。

    異世界転生としては異色の作品

    異世界転生ものと言えば、剣や魔法で戦うファンタジーな世界を冒険したり、かわいい女の子とハーレムを作る、といったストーリーが王道です。しかし『本好きの下剋上』には戦闘シーンがありません。主人公にチート能力はないし、冒険もしないのです。 異世界転生ものでは、主人公が転生後すぐに貴族になったり、ダンジョンを攻略してお金持ちになったりするのが王道パターンです。しかし、主人公マインにそのような経済力は与えられることはなく、彼女は自身の持つ知恵と行動力を駆使しながら異世界で生きていくことになります。

    アニメ3期も放送予定

    小説を原作としたアニメが放送されており、2022年の春にはアニメ第3期の放送が決定しているなど、作品の人気の高さがうかがえます。 第1期、2期ともに過激な表現の多い深夜アニメの一つとして放送されていましたが、『本好きの下剋上』にはきわどい表現などはありません。 主人公マインの声優は、第1期、2期と同じ井口裕香さんに決定しました。マインと彼女を取り巻く人々の新たな活躍に注目です。

    『本好きの下剋上』の見どころ

    『本好きの下剋上』の人気の秘密はどのような点にあるのでしょうか。細部まで作り込まれた世界観や魅力的なキャラクター、冒険しないのにハラハラするストーリーなど、次々と読み進めたくなってしまう見どころを紹介します。

    世界観が丁寧に作られている

    『本好きの下剋上』には、現代日本の生活の知恵がたくさん出てきます。主人公はアボカドに似た植物から植物油を採取して石けんを作ったり、レース編みの花で髪飾りを作ったりするのです。 舞台となるエーレンフェストの文化レベルは、中世ヨーロッパと似ています。汚物やゴミは窓から捨ててしまったり、鶏や豚は斧や槍で捌かれたりする様子を見て、マインとなった麗乃は生活レベルの違いに戸惑いました。 冬を越す準備をする様子や通貨の価値感など、マインの身の回りはどこまでもリアルに作り込まれています。世界観が丁寧に描写されているからこそ、現代とのギャップが鮮明に浮き上がり、より物語に引き込まれるのです。

    大人顔負けのマインの交渉力

    転生先の世界でも大好きな本を作るため、マインは草木や石を活用して文字を刻んだり、紙の作り方を模索します。しかし紙を作るにも材料や道具が必要で、力もお金もないマインは大人たちの力を借りなくてはなりません。 そんなとき、マインは必ず相手が断りにくい利益を交渉材料にします。情報や知識など、形のないものも巧みに取引材料にするさまは、まさに大人顔負けです。 物語の中盤になると、マインの知識に目をつけた大人たちの協力を得て、商人のノウハウを学びます。見た目は小さな少女でですが、中身は女子大生の麗乃であるため、マインは大人相手にもまったく臆することなく商売人として成長していきました。 話術を駆使するだけでなく、ときには父ギュンターにかわいくおねだりするなど、女の子らしい「かわいらしさ」で勝負する知恵も持ち合わせているのが、マインの魅力といえるでしょう。

    立場の違うさまざまなキャラクター

    作品をより奥深く魅力的に彩るのは、主人公以外のキャラクターたちの活躍です。転生前の主人公は22歳の女子大生でしたが、生まれ変わった先の少女マインは非常に病弱な女の子でした。 マインは最初、自室の扉を開けるのにも苦労するほどに虚弱でした。そんな彼女を、マインの家族をはじめ、幼馴染のルッツや頼れる大人ベンノといった、個性的なキャラクターたちが助けてくれます。 周りの協力が絶対的に必要なマインだからこそ、サブキャラクターたちの必要性や魅力がぐっと輝くのです。

    『本好きの下剋上』のあらすじ

    『本好きの下剋上』は、マインが本に囲まれる生活を夢見て、本作りに奔走する物語です。本好きの女子高生が異世界で本を求めて走り回ることになるまでの、簡単なあらすじを紹介します。

    主人公が本の下敷きになり死んでしまう

    大学卒業を控えていた本好きの女子大生、麗乃は、突然起きた地震で自宅の本に押しつぶされて死んでしまいました。夢だった図書館の司書に就職が決まった、まさにその日のことでした。 落ちてくる本の山を前に、麗乃は死を覚悟して意識を手放します。しかし彼女が次に気付いたときには、自分の体はマインという小さな女の子の姿になっていました。

    転生してマインという女の子に

    麗乃は何の特殊能力も持たない女子大生です。そんな彼女は、虚弱体質ですぐに倒れてしまうマインの体に転生したことで、自身の無力さに絶望を感じていました。一つ年上の姉と違って、無理をするとすぐに熱を出してしまうマインには、町の外まで歩くことさえ難しかったのです。 転生した理由もわからず、思うように体を動かすこともできず、本どころか字を書く道具もないと知ったマインは「本が読めないなら死んでもいい」とまで考えます。

    この世界に本がないことを知って絶望

    死ぬ間際に願った「どうか生まれ変わっても本がたくさん読めますように」という願いも虚しく、転生したのは皮肉にも「本が高級品でほとんど読めない世界」でした。 マインが転生した先の家族は、平民の中でも裕福な方ではありません。羊皮紙1枚が門番である父親の給料1ヶ月分にもなることを知り、本はとても作れないと絶望します。 人々の識字率も低く、マインの家族のような貧民は自分の名前すら満足に書けません。しかし、そんな状況でもマインは諦めませんでした。転生前に本で読んだ知識を使って、なんとか本を作ろうとする奮闘が始まります。

    本を作るために奮闘する

    とにかく寝ても覚めても本が大好きなマインですが、この世界の本はとても高価なものでした。とても一般市民が買えるものではありません。雑貨屋で質草に置かれていたたった一冊の本にも、平民であるマインは触ることができなかったのです。 本が簡単に手に入らないものとわかると「自分で作るしかない」と自分をふるい立たせます。そのためには字を書くための筆記用具、紙を作るための道具など、さまざまなものが必要でした。 マインは異国であるエーレンフェストの文字や数字を教わりながら使いこなし、紙をいちから作り、商人となって普及させていきます。マインの「本が好き」というシンプルな気持ちが、世界を動かしていくのです。

    『本好きの下剋上』の登場人物

    マインが本を作るという目的のために奔走する『本好きの下剋上』のストーリーを盛り上げる、個性的な登場人物について紹介します。

    マイン

    本好きの女子大生、麗乃が転生した少女です。虚弱体質で体が小さく、無理をするとすぐに熱を出してしまう病弱な女の子です。 しかし本への情熱は誰にも負けません。本を作ることが相当困難だと気づいたり、発熱の原因を告げられたりしても、負けずに明るく笑う強い精神の持ち主でもあるのです。 マインを支えたのは、本への愛と家族をはじめとするたくさんの仲間たちとの絆でした。周りを巻き込み、世界に巻き込まれながらも、マインは力強く進んでいきます。

    ルッツ

    マインの家のご近所さんで幼馴染のルッツは、マインの面倒をよく見てくれる心優しい少年です。街の外に出ることを夢見ており、商人を目指すためにマインと協力することになります。 本のない世界に絶望したマインの「生きるための希望」になったり、虚弱なマインを助けたりと、マインにとってかけがえのない仲間になっていきます。

    ベンノ

    ギルベルタ商会の店主であるベンノは、マインの商人時代の師匠でもあります。服飾や装飾を行うギルベルタ商会で、マインの作ったさまざまなアイテムを商品として売っています。 マインの才能を高く買っており、マインの異質な能力をいち早く見出した人物です。第二の父のようにマインを見守りながらも、商人として対等に交渉できるマインを認めています。商売になりそうな物を見つける勘が鋭く、やり手の商人でもあります。

    トゥーリ

    マインの実の姉で、ときおり本への愛で暴走しがちなマインのストッパー役になっています。幼い頃からマインの面倒を見ているだけでなく、自由に歩き回れないマインにかわって本を作るための材料を集めるなど、マインを妹として愛していることが伺えます。 その一方で、なんでも器用にこなすマインに一時期は嫉妬のような感情を抱いたこともありました。しかし後にマインの才能と能力を誇りに思うようになり、仲の良い姉妹としてマインを優しく見守っています。

    フェルディナンド

    貴族出身の神官長です。本を読みたいという不純な動機で巫女になろうとしたマインの教育係であり、魔術具を通して麗乃の記憶を見た"秘密の共有者"でもあります。 厳しい教育にも文句を言いつつしっかりついてくるマインを、胸の内では高く評価しています。 無表情でいることの多かったフェルディナンドですが、マインが持ち込むさまざまな騒動に関わっていくうちに彼女の明るさに触れ、少しずつ表情豊かになっていきます。

    マンガは読む順番に注意

    『本好きの下剋上』は、原作が小説です。コミック版はストーリー順に発売されたわけではないので、読む順番には注意が必要です。

    ナンバーの早いシリーズから読めば問題なし

    『本好きの下剋上』は現在第4部まで販売されています。しかし、第2部より先に第3部が発売されたために、発売順序がストーリーの順と異なっています。 第1部が物語の始まり・村での暮らし(商人のはじまり)編で、第2部はマインが神殿で巫女として働く模様を描いています。初めて手に取る際は、ナンバーの早いシリーズから順に読み進めましょう。

    普通の女の子が世界の常識を変える

    巨大な世界を相手に、人一人ができることなどちっぽけで何もないと思ってしまうかもしれません。しかし、マインは少しの勇気と本への一途な愛で、世界を少しずつ変えようとしていきます。 異世界転生ものでは珍しく、戦闘シーンがないのが『本好きの下剋上』です。本好きな少女が世界の常識を変えていく少し珍しい世界転生もの、『本好きの下剋上』を、この機会にぜひ手にとってみてください。

  • 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 「本がないなら作ればいい! 1」

    少女・女性マンガ
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