BL作品でありながら、同時に作家の苦悩も描いている『ポルノグラファー』をご存じでしょうか?映像化もされるほど人気が高く、官能小説家・木島とその手伝いをする大学生・久住の関係を細やかに描いています。あらすじと共に、見どころを紹介しましょう。
ポルノグラファーの概要
本作の基本的な情報や、ドラマ化・映画化についての情報をまとめましたので、そちらを紹介していきます。
大学生と官能小説家のBLマンガ
2015年から2016年にかけて、『on BLUE』にて連載されていた作品で、作者は丸木戸 マキ(まるきど まき)さんです。 ある事故がきっかけで、官能小説家である木島と、大学生の久住が出会ったことから物語が始まります。ジャンルとしてはBLなのですが、細やかな心情描写により、作家側の苦悩なども描かれています。
FODでドラマ化後、劇場版も公開
原作の人気を受けて、2018年、実写化されドラマになりました。FOD(フジテレビオンデマンド)で先行配信され、その後地上波でも放送されています。 2019年には続編も配信・放送され、役者やスタッフはそのままで制作され、前作と共に人気を呼びました。主役の二人を務めたのは、竹財 輝之助(たけざい てるのすけ)さんと猪塚 健太(いづか けんた)さんです。 さらに2021年には映画化もされ、こちらも主演の二人が続投しました。主題歌は鬼束 ちひろ(おにつか ちひろ)さんが歌う『スロウダンス』です。
作品の見どころ
本作の見どころは、ただのBLでは収まらないストーリー展開や繊細なキャラクターにあります。それらを解説していきましょう。
シリアスで切ない展開
木島に怪我を負わせたことがきっかけで、久住は木島の仕事を手伝うことになるのですが、最初はただ仕事での繋がりだけでした。しかし、関わっていくうちに久住は木島の今まで知らなかった面を次々と知っていきます。 なぜ木島が久住に仕事を手伝わせていたのか、木島の隠れた意図が明らかになっていくにつれ、シリアスの度合いが増していくのです。クライマックスのシーンでは木島の感情が激しく吐露され、切ない展開が待ち受けています。
木島のキャラクター
官能小説家として活動している木島は、普段飄々とした振る舞いで沈着冷静な人物として描かれています。しかし、感情的な人間味溢れる部分がたまに表れると、そのギャップが大きくて読者はどきっとさせられます。 弱い部分や、作家としての苦悩、純粋な久住に対する態度の変化を見ていくと、木島の内に秘めた思いが垣間見え、表面にはなかなか表れないその部分が見どころです。
スピンオフ作品も登場
時系列として本作より過去を描いた作品『インディゴの気分』というスピンオフも発売されており、木島の若い頃が描写されています。 スピンオフでは、木島のパーソナルな部分によりフォーカスが当てられ、実家についてのエピソードや、『ポルノグラファー』にも登場する編集者、城戸との関係性もより細かく描写されています。本作だけなく、スピンオフを読むことでさらに物語の世界観を楽しめる点も見どころでしょう。
ポルノグラファーのあらすじ
本作のあらすじについて、序盤の展開を中心に説明していきます。物語は、どのように始まっていくのでしょうか。
官能小説家の木島を骨折させた大学生の久住
自転車に乗っていた大学生、久住は、偶然木島にぶつかってしまい、全治1ヶ月半の怪我を負わせてしまいます。 病院で久住の学生証を見て、「学生さんなんだ」と話す木島に、久住は「保険とかにも入ってないけど、ちゃんと働いて治療費を返します」と告げました。 すると木島は唐突に「漢字は得意?」と尋ねます。偶然にも漢検1級を持っていた久住はそれを伝えると、木島は早速働かないかと持ちかけます。詳しく話を聞くと、木島は小説家で、〆切が近い作品を書きたいけれど、手が使えないため、声に出して読む文章を原稿に書き取ってほしいとのことでした。
久住は木島の代筆を引き受けることに
前のめりで「やります」と引き受けた久住は、早速木島の家へと招かれます。木島に言われた通りの文章を原稿用紙に文字を書いていく久住ですが、その内容に驚かされました。普通の小説ではなく、木島の小説は官能小説だったのです。 知らない世界に戸惑ったり、聞き慣れない用語が漢字で書けなかったりと、久住は四苦八苦します。それでも仕事の手伝いを続けたり、勉強のため木島のこれまでの小説を借りて読んだりするうちに、少しずつ彼の内面を理解してきます。 過去に木島と何かあったことを匂わせる編集者、城戸の登場や、木島が心の内に秘めた思いなどにより、久住の心には変化が現れていくのでした。
ドラマや映画と合わせて楽しもう
ドラマ、映画にもなりヒットしたマンガ『ポルノグラファー』は、官能小説家である木島と、大学生である久住の絶妙な関係性を描写したBL作品です。 細やかな心理描写と読者の想像力をかき立てる展開は、ヒューマンドラマとしても読み応えがあります。まだ読んでいない人は、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。