ドラマ化やアニメ化などで話題になった『のだめカンタービレ』。クラシックをテーマにしたこのマンガは、クラシックに知識がある人もない人も楽しめる作品となっています。クラシックが身近なものとして感じられる『のだめカンタービレ』を紹介していきます。
「のだめカンタービレ」ってどんなマンガ?
最初は、『のだめカンタービレ』の概要やメディアミックスについての紹介です。
2001年から『Kiss』で連載
『のだめカンタービレ』は、2001年から2010年まで、約9年のあいだ『Kiss』で連載していました。 2006年、2008年にはドラマ化して千秋 真一(ちあき しんいち)役を玉木 宏さんに、”のだめ”こと野田 恵(のだ めぐみ)を上田 樹里さんが演じています。2009年と2010年にはドラマの続きとして映画化もされ、話題になりました。 また、2007年、2008年、2010年にはアニメ化もされている大人気作品です。
ドラマはスペシャル版が放映されるほど人気
2008年1月4日と5日には、2日間にわたってスペシャルドラマが放送されました。タイトルは『パリだ!プラハだ!ぎゃぼー!!!』で、DVD化もされたほどの人気作です。 このドラマは二部制となっており、第一夜では国際指揮コンクールに初めて挑戦する千秋の姿をメインにしています。 第二夜では、自分と指揮者としての道を着実に歩む千秋と自分を比べて焦りを感じるのだめが、伯爵家の元貴族に演奏者として招かれ自分の活路を見出していく様子を描いています。
『のだめカンタービレ』の魅力
この作品の魅力は、クラシックを楽しめる描写と登場人物たちの個性です。クラシックという格調高いテーマですが、登場人物の個性と合わせてとても分かりやすく描かれています。
クラシックの造詣が深い
テーマであるクラシックは難しい、とっつきにくいテーマだと思われがちですが、作品を楽しむために音楽の知識は必要ありません。『のだめカンタービレ』は、ギャグ満載の明るい雰囲気で、気軽にクラシックを楽しめる作品となっています。 また、登場人物が楽曲を解説するシーンもあり、千秋が指揮者志望のためか親しみやすい交響曲もたくさん出てきます。
音楽に一途なキャラクターたち
『のだめカンタービレ』には中華料理屋の一人息子でエレキバイオリンを使っている峰 龍太郎(みね りゅうたろう)や、女好きのドイツ人指揮者のシュトレーゼマンなどの個性豊かなキャラクターが登場します。 堅苦しさのないユーモラスな人物が多いため、クラシックに携わる人たちのイメージががらりと変わるでしょう。ギャグシーンも多い本作ですが、彼らの音楽活動は丁寧に描かれており、全員が真剣に音楽と向き合っているのが伝わります。
ヒロインらしからぬのだめの魅力
掃除ができない、料理ができない、不潔など、のだめはヒロインらしからぬズボラな性格です。 しかしピアノについては天才的な才能があり、一度曲を聞けばすぐ弾くことができるのですが、のだめ本人はそれに全く気が付いていません。
『のだめカンタービレ』のキャラクター
『のだめカンタービレ』には多数の個性的なキャラクターが登場します。その中でも、主役の千秋とのだめ、そして千秋の師匠シュトレーゼマンについて紹介します。
千秋 真一(ちあき しんいち)
イケメンで181cmと日本人ながら高身長であり、大学内でも有名な人物です。12歳の時に両親が離婚したため、ウィーンから母親の実家がある神奈川に引っ越しました。在学中はマンションに住んでおり、隣にはのだめが住んでいます。 3歳でバイオリンとピアノをはじめ、8歳でウィーンへ家族と移住しました。特にバイオリンの腕がよく、ウィーンのジュニアコンクールで優勝したほどの腕前で、のだめのピアノにも合わせられるほどです。また、海外生活をしていたため日本語と英語を合わせて4か国語を話すことができ、作中ではイタリア語も勉強し始めました。 帰国後、大学でシュトレーゼマンに振り回された千秋は、シュトレーゼマンが特別編成したオーケストラの指揮を担当することになりました。 全員癖のある人物で、オーケストラとして楽曲を奏でられずイライラしているところに、シュトレーゼマンが現れます。彼がオーケストラをまとめ上げたことから刺激を受け、シュトレーゼマンの弟子として彼の教えを受けることになりました。 弱点は虫と納豆で、苦手なのは水泳と飛行機です。特に飛行機がダメで、理由は日本に帰国する際に胴体着陸を経験したためです。そのこともあり、海外に出られないと嘆いています。
野田 恵 (のだ めぐみ)
即興での自己流作曲が得意なピアニストです。技術力やセンスがあり、耳がよく一度聞いた楽曲は即興で弾けてしまうほどの腕前です。反面、楽譜を覚えて弾く習慣がなかったため、楽譜を覚えて正確に弾くことが苦手です。 千秋に出会い、彼との連弾を通して恋に落ち、幼稚園か小学校の先生になろうかと思っていた彼女の心境に変化が現れました。彼女自身もピアニストとして成長しようと奮闘しています。 ピアノは天才的ですが、料理を焦がす、千秋が掃除をしても一週間で汚部屋になる、風呂は1日おきなどズボラな部分が目立ちます。
シュトレーゼマン
ドイツ人男性で、世界的に有名な指揮者です。来日した際は”ミルヒ・ホルスタイン”の偽名を使っており、のだめにもミルヒーと呼ばれています。千秋とのだめが通っている大学の学長と旧知の仲で、1年間だけの特別講師として来日しました。 千秋を弟子として指名し、自身が目を付けた生徒を集め特別編成のオーケストラを作りました。そのオーケストラを千秋がまとめているのを聞いて、満足そうな笑顔を浮かべていました。 音楽家としても指揮者としてもすぐれていますが、女好きで暇さえあれば練習を途中で切り上げクラブに通うほどです。のだめを気に入っており、のだめのピアノの才能も評価しています。
『のだめカンタービレ』のここに注目
クラシックをテーマにしているこの作品ですが、肩ひじを張らずに読みすすめることができます。のだめと千秋の関係性など、見どころについて紹介していきます。
のだめと千秋の気になる関係
二人の出会いは、酔いつぶれた千秋をのだめが見つけたことがきっかけでした。のだめの個性的なピアノで目を覚ました千秋ですが、あまりの部屋の汚さに自身の部屋と逃げ帰ってしまいます。しかし翌日には同じ大学だと判明し、さらに二人の担任教師が同じだったため、交流が始まりました。 千秋が音楽への向き合い方に悩みベランダに出た際には、目に入った隣ののだめの部屋があまりに汚いため、彼女の部屋に突撃し掃除を行います。その様子を見ていたのだめが即興で曲を作り、千秋が指示する形でのだめがピアノを弾くなど、二人は少しずつ交流を深めていきました。後日、二人の担任教師が連弾を提案して、そこから二人の関係が変化していきます。 序盤はのだめが振り回していますが、徐々に千秋ののだめに対する気持ちが大きくなっていきます。
クラシックに詳しくなくても楽しめる
クラシックは敷居が高いイメージですが、登場人物が解説をしたり、コマ外で一言説明が入るのでクラシックがわからなくても楽しめます。 音楽用語にもルビで説明がついており、”コンフォーコ”は火のようにや”カンタービレ”は歌うようにと、音楽初心者でもわかりやすく、読みやすい構成になっています。
クラシックの楽しさにはまれるマンガ
『のだめカンタービレ』は、クラシックを身近に感じることができるマンガです。音楽に関する知識がなくても楽しめますし、クラシックの知識があればより深く楽しむことができるでしょう。この機会に、ぜひ『のだめカンタービレ』を読んでみてはいかがでしょうか。