マンガ「ぐらんぶる」とは？破天荒な内容やキャラの魅力をチェック

『ぐらんぶる』のあらすじを簡単にまとめると、海の近くの大学に入学した主人公の、ハチャメチャなキャンパスライフを描いた作品です。 スキューバダイビングをテーマにしていますが、作品の笑いのほとんどがギャグと酒、そして男性の裸で占められます。ダイビングと恋を楽しむさわやかな青春マンガを期待して読むと大コケするため、注意が必要です。 まずは『ぐらんぶる』の序盤あらすじをざっくり紹介します。

4月、高校を卒業したばかりの伊織は伊豆のとある駅に降り立ちます。迎えに来てくれたのは約10年ぶりに会う叔父でした。 伊織は海に近い伊豆大学への入学が決まり、ダイビングショップ"Grand Blue（グランブルー）"を営む叔父の家に下宿をすることになったのでした。 店の目の前には海が広がっています。そして海辺では、ダイビングスーツを着た美女がニッコリ微笑んでいます。 「聞こえてくる潮騒と　照りつける陽射し　今までとは全く違う環境で　俺はどんな出会いをするのだろう…」 新生活への期待に胸を膨らませながら、伊織はダイビングショップのドアを開きます。

伊織が扉の向こうに見たのは、マッチョな男たちが、素っ裸で豪快に酒盛りをする姿でした。 彼らは伊豆大学のダイビングサークル"Peek a Boo（ピーカブー、略してPaB）"のメンバーたちで、伊織は抵抗もむなしくほぼ強制的に酒盛りに参加、そしてPaBにも入会することになります。 10年ぶりに再会し、一緒に住むことになったイトコの美人姉妹、そして酒とダイビングをこよなく愛し、やたらと脱ぎまくる屈強なメンズに囲まれつつ、伊織の大学生活はスタートしたのでした。

次は作品の要とも言える、濃すぎるキャラクターたちをチェックします。 主人公の回りには変人ばかりが集まり、常にハイテンションです。それぞれのキャラクターの味をじわじわと噛みしめながら、それぞれの場面を心から楽しみましょう。

主人公で、伊豆大学機械工学科の1年生です。親元を離れ、大学近くの叔父の家から通学することになりました。 大学では"男子校のノリ"から離れて、恋や友情などさわやかなキャンパスライフを夢見ていました。しかし速攻で時田や寿に捕まり、ほぼ強制的にサークルPaBに入会、裸と酒浸りの日々が始まります。 登場時はごくまともに見えたものの、実は時田と寿に"逸材"と言わしめるほどのノリとおバカぶりです。 水が苦手でカナヅチですが、仲間の助けを得ながらダイビングの魅力に徐々に魅せられていきます。

千紗の姉で伊織のイトコです。ダイビングショップ"Grand Blue"のインストラクターをしています。 腰まで届く長い髪と抜群のスタイルを持つ上、いつもニコニコ優しい癒し系の美女です。かなりまともなタイプかと思いきや、重度のシスコンで千紗の脱いだ上着のにおいをかいで悦に入ることもあります。 普段Grand Blueで見慣れているせいか、全裸で酒盛りをする男性陣を見ても平然としています。

伊織のイトコで、伊織と同じく伊豆大学機械工学科の1年生です。家がダイビングショップを営んでいることもあり、ほぼ成り行きでPaBに入会します。 学園祭のミスコンで優勝するほどの美少女です。主要登場人物の中で一番の常識人であり、伊織を始め乱痴気騒ぎをする輩をゴミのごとく蔑んでいます。 ダイビングを心から愛しており、たまに水族館でダイバーのデモンストレーションを手伝うほどの腕前です。

伊織の同級生で、伊豆大学機械工学科1年生です。見た目は金髪で人目をひく美形でありながら真正のアニメオタクで、美少女キャラのTシャツを着ています。 伊織に騙される形でPaBに入会しますが、こちらも時田・寿コンビから"逸材"のお墨付きをもらうおバカキャラであり、伊織とは絶妙のコンビです。

伊豆大学の3年生で、ダイビングサークルPaBの会長です。角刈りに太い眉、筋骨隆々といったゴツイ外見で、片手で伊織を抱えて運べるほどの腕力を誇ります。 いつも飲んだくれて裸で騒いでいるかのようでありながら、ダイビングに対しては真剣で、豊富な知識と経験を持って取り組みます。後輩の面倒見もよく、頼りがいのある先輩です。

伊豆大学の3年生で、伊織と同じ機械工学科の先輩です。ツンツンとした金髪ヘアが特徴で、鋼のような筋肉ボディを持っています。PaBの主要メンバーでもあり、時田とつるんでいることが多いです。 時田と同様に普段は酒と裸三昧ですが、ダイビングに関しては真摯な姿勢を見せます。

青海（おうみ）女子大学の3年生で、あっけらかんとしたナイスバディ美女です。インカレサークルであるPaBに参加しています。 全裸の男子に混ざって雑魚寝したり、下着のままミスコンに参加しようとしたりと、女性らしい羞恥心を持ちません。変人揃いのPaBにしっかり馴染んでいます。 バイセクシャルであり、伊織も同じ性的嗜好だと勘違いしており、伊織と耕平をくっつけようと応援します。

青海女子大の1年生です。最初に登場したときは金髪の長いツインテール（実はウィッグ）と舞台女優並みの厚化粧という風貌だったため、伊織と耕平から"ケバ子"と呼ばれていました。 大学でのリア充生活を目指し、テニスサークル"ティンカーベル"に入会したものの、ネタ枠としてバカにされ惨めな結果に終わります。その後伊織と耕平に出会いPaBへと移籍するのでした。

『ぐらんぶる』での伊織の日常は、夢に描いていたようなリア充キャンパスライフとはかけ離れていますが、皮肉なことにそこが作品の魅力となっています。 またギャグ三昧の一方でダイビングの描写にはかなりの真剣さと情熱を感じさせます。 弾けるところは思いっきり弾け、引き締めるところはしっかり引き締める、そんなギャップや絶妙なさじ加減も、読者をグッと惹きつけるのかもしれません。 以下では作品の魅力についてまとめました。

たまに出てくるダイビングのシーンでは、透き通った水中空間やきれいな魚たちなど、海の中の様子が美しく幻想的に表現されており読者のロマンを誘います。 さらにはダイビングの知識を学べたり、伊織を通じて初心者がダイビングに親しんでいく様子も垣間見られたりするため、このマンガによって「スキューバダイビングを始めてみたい」と思う人も少なくないでしょう。

『ぐらんぶる』では、酒・裸のマッチョマン・乱痴気騒ぎがガンガン繰り広げられます。 ウォッカ9とウイスキー1を混ぜたものを"ウーロン茶"として飲ませたり、洗面器やバケツに酒を注いで一気飲みしたりと、酒の量もテンションの高さも突き抜けており、それがとにかく面白いのです。 体育会系をさらに誇張したような、非現実的な飲みっぷりとバカ騒ぎっぷりが鮮やかで、かえって清々しさすら感じるかもしれません。 また伊織をはじめとするキャラクターたちの、怒涛の”顔芸”も見逃せないポイントです。

『ぐらんぶる』は、2018年にはテレビアニメ化、2020年には実写映画化もされました。 ここではそれぞれの作品についてサクッと紹介します。ほかのメディアではこの作品がどう表現されているのか、比べてみるのも楽しいでしょう。

2018年、夏のシーズンに放映されたアニメ版『ぐらんぶる』では、テンションの高さはそのままに、より鮮やかでカラフルな海の情景と、動く酒盛りのド迫力さを楽しめます。 また湘南乃風さんが歌うキャッチーな主題歌『Grand Blue』も、夏気分を一気に盛り上げてくれました。「海に行きたい」「潜ってみたい」と思わせるテーマソングです。

裸の男性ばかりが登場するため、コンプライアンスの面から「実写化は不可能では」という声が大きかったようですが、そんな懸念をよそに監督・英勉（はなぶさつとむ）さんによって見事に完成されました。 裸の懸念を逆に活用し、W主演の竜星涼さんと犬飼貴丈さんは最初から最後まで"ほぼ裸かダイビングスーツ"という徹底ぶりです。 そのためPG12指定となりましたが、イケメンの肉体美が堪能できるうえ、とことん笑える仕上がりとなっています。

『ぐらんぶる』は、酒と乱痴気騒ぎと裸の男たちが大部分、ダイビング少々のギャグマンガです。 とことん突き抜けた笑いに徹しており、ストーリーをじっくり追うよりもむしろ頭をカラッポにして楽しみたい作品といえるでしょう。 ちょっと嫌なことがあったときには『ぐらんぶる』を読んで、悩を吹っ飛ばしてしまいましょう。