「さんかく窓の外側は夜」とは？実写映画にもなった実力派コミック

本作は、心霊現象を扱ったホラー作品でありながら、裏に潜む事件に迫るミステリー作品でもあります。そんな『さんかく窓の外側は夜』のあらすじを紹介しましょう。

幼い頃から霊が見えた男性"三角康介"と、除霊の力を持った男性"冷川理人"が出会ったことで物語は始まります。 二人は心霊現象が関わる事件を解決していくことになるのですが、その過程で互いに絆を深めたり、時には仲違いしたりという展開があり、バディものとしても楽しめるでしょう。 二人の過去や心境が明らかになっていくにつれて読み手側も気持ちが入り、つい二人を応援したくなる注目の展開が待っています。

2人が出くわす事件は、些細なものから凶悪な事件に絡んでいるものまでさまざまです。 ストーリーが進むと宗教団体なども登場し、事件の背後に関わっていたものが見えてきます。徐々に明かされていく真実と主人公たちの行く末に、思わずページをめくる手が止まらなくなるでしょう。

本作の登場人物の中から、物語と深く関わりのあるキャラクターの一部を紹介していきます。

幼い頃から霊が見えている青年で、日常生活の中で度々遭遇する霊の存在に悩みながらも、書店でアルバイトをしていました。勤務中に出会った理人にその才を見出され、除霊の仕事を手伝わされることになります。 怒ると手が出ることもありますが、基本的にはお人好しな性格です。目が悪く、普段は眼鏡を掛けていますが、眼鏡を外しても霊だけははっきりと見えるため、近づいてしまわないようわざと眼鏡を外していることもあります。

表向きは物件鑑定・特殊清掃を請け負っていますが、実際は心霊現象に悩む人々からの依頼を受け、除霊することでお金を稼いでいます。 特殊な力を持っており、霊的なものに触れたり、他人の魂のような部分に触ったりすることができます。言語力がたまに怪しくなる、善悪に頓着しない様子を見せるなど、常人とは異なる一面がありますが、それらは彼の過去に関係しているようです。

康介と理人が除霊の仕事をしていく中で、耳にした名前です。最初は正体が分かりませんでしたが、彼女もまた特殊な力を持った女子高生でした。 他人を呪うことができるようですが、なぜ呪うのかなどの目的は、物語が進むにつれ明かされていきます。

警視庁に勤める男性で、康介や理人とは度々事件で出くわします。霊の存在を一切信じておらず、そのため霊から干渉されることもないようです。 霊自体は信じていませんが、常識では到底説明できない事件が起きていることは認めており、そういった事件があると理人に話を持ちかけています。妻がおり、仲はとても良好です。

本作の見どころはたくさんありますが、ホラーやBL作品としての注目ポイントが多くありますので、詳しく解説していきます。

作中に登場する霊は、人の姿をしているものもあれば、そうでないものもあります。いずれも、霊の怖さがしっかり描写されていて、どきりとするシーンが多く用意されている点が見どころです。 また、霊以外に呪いなども登場し、その呪い自体ももちろんですが、人が人を呪うことの怖さなども描かれています。

理人が除霊を行う時、助手である康介と共に作業をするのですが、理人曰く「康介の力を借りると楽に除霊ができる」とのことです。 力を借りる、とは康介の魂的なものに触れ、康介の「霊を視る」力を借りることを指しています。その触れられるシーンがどこか官能的で、作中でも「夢精に似ている」などと表現されています。男性二人のそういった場面は、BL的要素も含んでいてホラー好き以外の層にも刺さることでしょう。

本作は、映画やアニメ化もされている人気作です。メディアミックス展開について簡単に紹介します。

理人役を岡田将生（おかだ まさき）さん、康介役を志尊淳（しそん じゅん）さんが演じ話題になりました。また、物語に深く関わる英莉可役は、平手友梨奈（ひらて ゆりな）さんが演じています。 当初は2020年に公開予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期され、2021年1月に公開されています。主題歌はずっと真夜中でいいのに。さんが歌う『暗く黒く』です。

『月刊マガジンビーボーイ』1月号にて、アニメが放送されることが決定しました。声優や主題歌は未定で、放送スケジュールも決まっていないようですが、今後の発表が楽しみです。 特に霊やホラーなどの描写がどのくらい恐怖感のある作画になるかや、除霊シーンの描かれ方に要注目です。

霊や人の怖さを描きながらも、主人公たちが巻き込まれていく事件には多くの謎が潜んでいて、サスペンス的要素もあります。 ストーリーの奥深さもありつつ、ホラーマンガとしても『さんかく窓の外側は夜』は楽しめます。まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください。