勇者ではなく村人が主役の異世界転生ファンタジー、『村人ですが何か?』をご存じでしょうか?一度失敗した転生をやり直すというユニークな始まり方が特徴で、”村人”のまま強くなろうとする主人公を描いています。あらすじと共に、魅力を解説しましょう。
「村人ですが何か?」の概要
本作が生まれた経緯や、いつコミカライズされたかなど、基本的な情報について紹介していきます。
小説家になろう発の異世界転生物
『村人ですが何か?』は白石新さんが原作の物語で、小説投稿サイト『小説家になろう』で連載されている作品です。 ジャンルとしては異世界転生物で、現代日本で死亡した主人公が異世界で新たな生を授かり生きていきます。 小説家になろうの方では2016年から連載が開始され、電子版を含めシリーズ100万部を突破してます。
ドラゴンコミックスエイジにてコミカライズ
2017年には、鯖夢さんによるコミカライズがスタートしました。キャラクター原案は白蘇ふぁみさんです。 原作で登場しているかっこいいキャラクターや可愛いキャラクターが、マンガになりより躍動感溢れる活躍を見せており、小説とは少し違った展開も盛り込まれたマンガ版も要注目です。
「村人ですが何か?」あらすじについて
本作は、主人公が勇者ではなく村人です。村人が強くなっていく過程を描いており、そこが魅力といえます。序盤のあらすじを、簡単に紹介していきましょう。
異世界転生するも最適職業は「村人」
主人公のリュートは、異世界に転生した後、村人の職業を授かります。最初こそ「どうしてただの村人なんだ」と考えていましたが、開き直り、村人として普通の暮らしを楽しもうとするのでした。 転生したリュートには二人の幼なじみがいましたが、その二人の職業は村人ではなく、非常に強力な能力を持っていました。一人は勇者としての使命を受けた女性コーデリア、もう一人は賢者としての適性が高いモーゼズです。 二人との力の差に、時折肩身が狭い思いもするリュートでしたが、それでも大事な友人だとリュートは笑顔で二人と接し続けます。
モーゼズの罠により再び転生
ある日、村の外に出た三人は、魔物と遭遇してしまいます。驚くリュートをよそに、コーデリアは一撃で魔物を討伐、そこでリュートはなぜ村の外に連れてこられたかを知るのです。 リュートが好きなコーデリアは、村で見せることのない戦う姿を見せようと意図していました。これから騎士団に入り、長い訓練期間を過ごす彼女は、リュートに会いにくくなることを寂しがっていたのです。 リュートはその意図を汲み取ることができませんでしたが、その時モーゼズが彼を呼び、その場からリュートは離れます。水辺で洗い物をしていたモーゼズは、手伝ってほしいとのことでリュートを呼び出したのでした。 しかしそれはモーゼズの罠で、麻痺する薬を仕込まれていたリュートは体が動かなくなってしまいます。モーゼズは、村人のリュートがコーデリアと仲良くしていることが許せず、凶行に及びます。リュートは水の中に落とされ、その後命を落としました。
スキルを駆使し村人のまま最強に
しかしリュートは、転生特典スキル”死に戻り”のおかげで、転生前の状態にリセットできました。神様にスキルを選び直すよう言われたリュートは、”不屈” ”農作物栽培”の二つを選び、生まれるところから転生をやり直します。 転生し直したリュートは、同じ失敗をしないよう、計画的に強さを手に入れようと画策します。その第一段階が、幼少期からの魔力鍛錬です。MPが枯渇するまで魔力を発し続けることで、拡張率の高い幼少期のうちにステータスを伸ばそうと考えたのでした。 毎日MPが枯れるまで魔法を使い続けることは激しい頭痛を伴いますが、肉体負荷・精神負荷を軽減するスキル”不屈”のおかげでリュートはそれを乗り越えます。そうして強大なMPと魔力を手に入れたリュートは、村人という職業のまま、コーデリアを守るため最強を目指すのです。
主要人物たちを紹介
本作には魅力あるキャラクターが多く出てきます。その中から、物語の序盤に登場する人物たちを、主人公のリュートを中心に紹介していきます。
リュート・マクレーン
本作の主人公で、村人として異世界に転生した男性です。一度目の転生ではモーゼズの罠にかかり死亡してしまいますが、転生時に得たスキル”死に戻り”のおかげで二度目の転生を果たします。 二度目の転生では、幼少期からの魔力鍛錬と不屈スキルのおかげで、一度目よりも大きな力を手に入れました。 村を襲ったゴブリンたちからコーデリアを守った後は、縁のあったドラゴンと共に龍の里に行き、そこで修行を積むことでさらなる強さを手に入れます。
コーデリア・オールストン
リュートの幼なじみで、勇者としての素質を供えています。リュートとは小さい頃からの仲で、好意を抱いており、誕生日に髪飾りをもらった時には彼にキスをしています。 性格は明るく元気で他人を思いやれる優しさを持っていますが、勇者としての重圧に苦しんだり、周りからの期待に応えられない自分にもどかしさを感じたりするなど、責任感の強さゆえに辛い思いをすることもあるようです。
モーゼズ
リュートの幼なじみで、賢者の職業適性がある男性です。眼鏡をかけて、敬語で話す一見大人しそうな風貌ですが、性格は歪んでおり、「勇者であるコーデリアの隣にふさわしいのは自分だ」という考えから、リュートを一度殺害しています。 リュートを殺害する直前、自らを転生者だと名乗っており、リュートと似た立場であることが物語序盤で示唆されています。
リリス
リュートが案内された龍の里にある、”龍王の大図書館”で司書を務めていた女性です。龍王に会いたいというリュートの願いを最初は断っていましたが、彼のステータスを知ると態度を変え、謁見の手続きをしてくれました。 リュートと龍王が会って少しした後、身元保証人が亡くなったという理由で里を追い出されそうになりましたが、リュートが命を張って身元保証人となったことで事なきを得ました。 リュートが起こす無茶な行動に驚いたり呆れたりしつつも、彼を信頼し、身元保証後もリュートと行動を共にしているようです。性格は最初こそ心を開かず静かな印象でしたが、徐々に心を開いていきました。泣き虫な一面もあるようです。
一所懸命だから応援したくなる!見どころ
戦闘シーンや登場人物など、本作の見どころは多くあります。それらを詳しく説明していきましょう。
迫力のバトルシーン
数々の魔物や敵が登場し、リュートたちは時に武器を使い、また時に拳や魔法を使ってバトルを行います。どれも迫力満点で、一部過激とも思える表現は戦闘の生々しさを伝えてくれます。 また、強い敵に対しては頭脳戦を仕掛ける場面もあり、単純な肉弾戦以外も楽しめる点も魅力でしょう。
女性キャラクターも魅力的
幼なじみのコーデリアや、リュートと途中から行動を共にするリリスなど、本作には魅力的な女性キャラクターが多く登場します。 凜々しさを持っていたり、また不意に見せる可愛さだったりと、場面ごとに見せる表情につい惹かれてしまうこと間違いなしです。 物語が進んでいくと、さらに多くのキャラクターたちが登場し、リュートを通してその魅力が存分に表現されていきます。
モブ役にスポットが当てられた作品
『村人ですが何か?』は、勇者よりも圧倒的に不利な状態で成長していく村人がメインの物語です。 一度失敗した転生を教訓とし、どうすれば強く成長できるかを考えながら、二度目の転生で奮闘する主人公の様子は、思わず応援したくなります。そんな本作、まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。