異世界転移ものでありながら、チート分野が農業という異色のマンガ、『異世界のんびり農家』をご存じでしょうか?万能農具で何もない状態から村を作っていくお話で、まったり読み進められます。見どころやキャラクター紹介など、詳しく紹介していきます。
「異世界のんびり農家」概要
あらすじや見どころの前に、本作が誕生した経緯や、作者やキャラクター原案を行っているのはどんな人かなどの概要を紹介していきます。
2016年から「小説家になろう」で連載
元々は小説が原作で、小説投稿サイト『小説家になろう』に連載されていた作品です。2017年に剣康之(つるぎ やすゆき)さんの作画でコミカライズされました。 コミカライズされた単行本の第1巻は、書籍版の第2巻と同時に発売されています。本作はシリーズ累計で100万部を突破している人気作で、2021年6月時点でマンガは7巻まで発売されており、現在も連載が継続中です。
シナリオライター「内藤騎之介」氏の作品
原作者は内藤騎之介(ないとう きのすけ)さんで、2016年から連載を開始、現在も継続して連載中です。 なお本作には可愛い女性キャラクターが多く登場しますが、キャラクター原案は別の方で、やすもさんという方が担当しています。
農業チート?「異世界のんびり農家」あらすじ
『異世界のんびり農家』のタイトル通り、本作はスローライフがテーマです。なぜ主人公が異世界で農業を営むことになったのか、その物語の導入部分について説明していきましょう。
ブラック企業勤めで体を壊した主人公
主人公は大学卒業後に就職しますが、その会社がブラックで体を酷使させられます。二十代をその状態で終えた彼は、無理がたたり、三十代のほとんどを病院で過ごすことになってしまいました。 そのまま命を失ってしまい、39歳という若さで命を落としてしまいます。そんな彼の元へ神様が現れ、異世界に転移させるという話を聞くところから物語は始まります。 しかも、異世界で何か使命を負わされるなどもなく、第二の人生を好きにスタートさせてよいと神様は告げるのでした。しかも、転移の際はあらゆる病魔を取り払い、年齢もいくらか若返らせた上で行ってくれるというのです。
異世界でのんびり農業を始める
転移させる際、神様は主人公の願いを叶えてくれます。主人公は健康な肉体と人の少ない場所への転移、そして農業がしたいと答えました。 神様は高性能な万能農具を与え、主人公はこれをさまざまな道具に変えたり、自由に出し入れしたりできるようになります。 万能農具を受け取った主人公は、転移先で土地を耕しながら、食料を手に入れたり、その土地の生き物と交流を深めたりしていくのです。 何もないところから畑をつくり、家を建て、水路を確保していくなど生活基盤を整えていく様子を、わくわくしながら読み進められます。
盛りだくさんな登場人物と種族
『異世界のんびり農家』にはとても多くの種族やキャラクターが登場します。主人公を始めとして、序盤から主に登場するキャラクターを紹介しましょう。
街尾火楽(まちお ひらく)
主人公の男性で、異世界転移前はブラック企業で社会人として働いていました。体を壊し39歳で他界し、神様の手によって万能農具を得て異世界で第二の人生を送ります。 基本的に来る者拒まずの姿勢で、村をつくった後は訪れた者を度々住まわせるなど、優しい性格です。ただし、村に危害を加えようとする者に対してはしかるべき対応を取る面もあります。 物語が進んでいくと、村に住む女性との間に子供が生まれ、親バカな一面を見せることもあるようです。ユニークなキャラクターが多い村においては、村長としてまとめ役を担う一方で、つっこみ役として度々他人の言動に慌てる場面もあります。
インフェルノウルフ種族代表「クロ&ユキ」
火楽の作っていた畑に現れたウルフ族で、火楽に食事や寝床を提供されたことで懐き、彼と行動を共にするようになります。 クロが雄で、ユキが雌であり、ユキの方は火楽と出会った時点で出産を控えた体でした。やがて4匹のインフェルノウルフが生まれ、それぞれ健やかに育っていきます。 村においては、警備や見回り、また火楽の護衛を務めていることが多く、火楽のことは主として認めているようです。
ザブトン
デーモンスパイダーという種族の蜘蛛で、高い戦闘力を持っているようですが、争うことはほぼなく、温和な性格です。 クロとユキの子供たちの導きで村を訪れ、布製品が上手に作れず苦労していた火楽を、巧みな裁縫技術で助けました。それ以降、互いが気に入ったため村に住み着いています。 布関係の加工を担当しているほか、害虫駆除、村の警備などを務めることもあるようです。なお特徴的な名前は、火楽が最初に姿を見たとき、座布団のような形に見えたことからつけられました。
吸血鬼種族代表「ルールーシー=ルー」
吸血鬼の女性で、吸血姫の異名を持っています。高い戦闘力を持っていますが、ティアに追われたことでダメージを負い、さらに逃走中出会ったクロらに撃退されているところで、火楽と出会います。 ルーが侵入者でないと判明した後は、火楽が自らの血を与えて回復させ、村の住人として迎え入れられました。後に、火楽の妻となり子を産みます。 吸血鬼族の代表として、村では火楽を補佐する役目を負っているようです。火楽のことは旦那様と呼び、慕っています。
天使族種族代表「ティア」
天使族の女性で、普段は敬語で話す礼儀正しい性格です。ルーとはライバル関係だったらしく、当初は彼女を追いかけて火楽の村へとやってきました。 しかしルーと同様にクロたちにやられているところを火楽に助けられ、同じような流れで村で生活することに。一人では体が持たない、というルーの思惑によって、火楽の2番目の妻となります。 物語が進むと、結婚に関する問題で別の天使族が現れ一騒動起きますが、火楽の活躍で無事収束します。
ハイエルフ種族代表「リア」
火楽たちの村よりも北で生活していたエルフ一族ですが、人間の戦争に巻き込まれ住処がなくなり、放浪していたところをティアに連れてこられました。 リアを含め最初は7人のハイエルフがやってきて、後々さらに追加で定住者が増えることになります。最初の7人のうち、リアが最高齢で400歳を超えているようですが、見た目は若い女性の姿です。 建築、採掘など生活基盤を整えることに優れ、火楽らの力となりました。狩りも上手で、弓を使って獲物を仕留めることもあります。なお、種族のためという名目で火楽に夜這いをかけることもありました。
鬼人族種族代表「アン」
ルーの従妹、フローラが連れてきたメイドたちが鬼人族で、その代表がアンです。最初、フローラがルーを取り戻すため村へ単身訪れたのですが、事情を把握した後は自身も村へ住むことを決意し、身支度のため一度帰り、再度来た時に一緒だったのがアンたちです。 一本ないし二本の角を生やしており、火楽の世話を第一に考え行動します。村へ来た際には牛を引き連れ、乳製品の確保に貢献しました。 家事全般が得意ですが、料理だけは知識不足により不得手でした。しかし知識を身につけた後は、他の家事同様に得意分野となったようです。
「異世界のんびり農家」の見どころ
本作ではスローライフを送る主人公がさまざまなことに挑戦しています。のんびりとした生活の中で、見どころとなるポイントを紹介します。
着実な村の発展が面白い
異世界に転移させられた主人公が最初に降り立った場所は、辺り一面が森でとても快適な生活を送れる環境ではありませんでした。 しかし、木を削って寝床を確保したり、土を掘って湧き水を手に入れたり、土地をならして畑を作っていったりと、少しずつではありますが、着実に生活環境を整えていきます。 そこに派手な展開やドラマチックなシーンはありませんが、何もなかった場所が段々村の形になっていく様は見ていて楽しく、わくわくさせられます。 最初は狼や蜘蛛だけだった住人も、やがて吸血鬼や天使、エルフなど多くの種族が居着くようになり、立派な村として成長していく様子も見事です。また、村として周囲が認知し始めると、他の領地との交流なども生まれます。それに伴い主人公が人として成長していくのも、見どころであるといえるでしょう。
丁寧な行動描写が魅力
何をどうすれば不便なく生活が送れるようになるか、火や水を手に入れるにはどうすればよいか、といった疑問に対して、主人公は一つ一つ問題を丁寧に解決していきます。 魔法で何でも解決、という展開はなく、作物一つを育てるにも色々なやり方を試し、どの方法なら効率的に収穫できるか調べていきます。異世界ではありますが、まるで本当に現実の世界で農業に挑戦しているような主人公の行動は、現実味があって感情移入もしやすくなるでしょう。 また、たとえばエルフなら一般的なイメージで森と共に暮らすため火を嫌う、などの性質を連想しがちですが、本作ではエルフも生活のために火を活用していますし、ファンタジー世界ではドワーフなどが担当しがちな鍛冶も行います。あくまで基本生活がベースに考えられているリアルさが、本作の特徴です。 とはいえリアル一辺倒なわけでもなく、前述のように吸血鬼、天使、エルフなどファンタジー世界に登場するような種族も多く出てくるため、異世界ものとしても楽しめる作品になっています。
ゆったり気分でマンガを楽しむならコレ!
ハラハラドキドキの連続だと読むのに体力が必要で疲れてしまう、という人にはぴったりのマンガが、この『異世界のんびり農家』です。タイトル通りのんびりと農業を進めていく様子が中心に描かれているため、楽な気分で読み勧められます。 さらに、村を訪れる女性キャラクターたちがどれも魅力的なので、色々なキャラクターに癒されながら楽しむこともできるでしょう。 現実が忙しくて疲れている時にぴったりな作品ですので、まだ読んでいない人はぜひこの機会に読んでみてください。