将棋は昔からマンガのテーマとしてよく取り上げられています。将棋のルールを知っている人はもちろん、わからなくても楽しめるため、現在でも多くの将棋マンガが連載中です。数ある将棋マンガから、今読んでおきたい10作品を紹介します。
3月のライオン
羽海野チカさんの『3月のライオン』は、アニメや実写映画になったため、知っているという人も多いのではないでしょうか。白泉社・ヤングアニマルで2007年から連載が続いており、単行本も2021年現在、15巻まで発行されています。 主人公の桐山 零(きりやま れい)は、将来を嘱望される17歳のプロ棋士ですが、幼い頃両親を亡くし、身寄りもないためか、盤上でも日常生活でも深い孤独を感じています。 しかし、ひょんなことから知り合った川本家の三姉妹や、同じ研究会の二海堂、先輩棋士たちとの関わりの中で、棋士としても人間としても成長していきます。 悩みを抱え、それに立ち向かっていく主人公の姿に共感し、勇気づけられる人も多いでしょう。また、プロ棋士・先崎 学さんが監修しており、将棋の場面も読み応えがあります。
リボーンの棋士 1
少年・青年マンガ敗北は逆転の母!挫折の底は再生の胎内!! プロ棋士養成機関・奨励会で、四段に上がれないまま26歳になった安住浩一は、年齢制限の掟により退会させられ、プロへの道を閉ざされた。 そこからは、人から距離を置かれ、年下からも見下される日々。 それでも安住は、明るく笑顔で前向きに振る舞った。 嫉妬は、湧いてもそれをかき消した。 そうしているうちに、眩いほどのプラスオーラが身についた。 将棋を忘れて、この生き方でいいはずだ、とも一時は思った。 しかし、人生から将棋を切り離せなかった。 アマ棋士としてのリスタートを決意する、安住。 その棋風は以前とは違う、まったく新しいものに進化していた。
リボーンの棋士
主人公・安住 浩一(あずみ こういち)は、年齢制限のためにプロ棋士になることを断念せざるを得ませんでした。夢を諦め、カラオケ店で働いていますが、アルバイト仲間に誘われた将棋イベントで、将来を嘱望される中学生棋士・明星(あけぼし)六段と対戦します。 指導対局とはいえ、ハンデなしで勝ったことで、安住は将棋への情熱を取り戻します。『リボーンの棋士』(全7巻・完結済み)は、安住が同じく年齢制限に引っかかった土屋(つちや)とともに、プロ編入を目指してまい進する物語です。プロになれるのはほんの一握りという厳しい世界に、一度は挫折した二人が再び挑んでいくさまは、諦めないことの大切さを教えてくれます。
宗桂~飛翔の譜~(1)【電子限定特典付き】
少年・青年マンガ●安永四年(1775)、江戸――実在した将棋指しの物語。 江戸には代々、将棋で俸禄を得る「将軍家将棋指南役」、つまり幕府公認の将棋指しがいた。実在した「将棋御三家」である。この物語は、御三家筆頭・大橋本家当主にして、後に八世名人を襲位する「九代目大橋宗桂」と、彼を巡る将棋指したちが織りなす葛藤と真剣勝負、夢と情を描いた本格将棋ドラマである。 ●星野泰視だから描けるひりつく勝負、渡辺明だから成り立つ唯一無二の精巧な将棋図面。 指さない「観る将」でも将棋の内容が分かる! 本作で指される将棋は、現存する江戸時代の棋譜をベースにしたものはもちろん、それとは別に約半数は将棋界を代表するトップ棋士・渡辺二冠(棋王・王将)の手で初手から投了まで組み立てたオリジナルのもので構成。そこに『哲也-雀聖と呼ばれた男-』を大ヒットに導いた星野泰視による、濃密なキャラクターと心理戦が加わり、さらに史実も絡んだ深みのある「本格将棋エンターテインメント」に仕上がっています。さらにそれに留まらず、渡辺二冠による書き下ろし解説コラムを一話一話に追加!「将棋をしっかり描いている」のに「初心者も理解できる」、新しい将棋漫画体験がここに! ※電子版にはおまけマンガ2ページを収録。
宗桂~飛翔の譜~
『宗桂~飛翔の譜~』(全3巻・完結済み)は、『哲也~雀聖と呼ばれた男~』で麻雀の世界を描いて大ヒットした星野 泰視さんの作品です。 主人公が生きる江戸時代に実在した棋士・9代大橋 宗桂(おおはし そうけい)が、さまざまな棋士と切磋琢磨しながら、初代宗桂の散逸した棋譜を探し求める物語です。 作品中、対局で登場する盤面は、現存する江戸時代の棋譜をベースにしています。また、『将棋の渡辺くん』のモデルでトップ棋士でもある渡辺 明さんが、初手から投了まで組み立てたという完全オリジナルの棋譜を使っていることでも話題になりました。 リアリティあふれる将棋ドラマは、江戸時代が舞台ということを忘れてしまいそうです。
将棋指す獣
「女流棋士はいるが、女性棋士はいない」ことをご存じでしょうか。“女性棋士”とはいわゆるプロの棋士を指します。奨励会に入り、四段になる必要がありますが、2021年現在、奨励会で三段を持つ女性はいるものの、四段を取り、棋士になった女性はいないのです。 『将棋指す獣』(全4巻・完結済み)は、初の女性棋士となった弾塚 光(だんづか ひかり)が、アマチュア三段からプロ棋士に至る過程を描いた作品です。主人公は架空の人物ですが、男性以上にプロ棋士は狭き門であること、アマチュアとはいえ、女性が勝ち抜いていくことの厳しさが伝わってきます。 そんな中、光の“友達を失くす”、“ケダモノ”と呼ばれる超攻撃的な棋風が、名前の通り強い光を放ち、勇気づけられます。
永世乙女の戦い方
作品の主人公・早乙女 香(さおとめ こう)は、将棋一筋の女子高校生です。朝食をとりながら棋譜並べをしているうちに昼になってしまい、遅刻することもたびたびというほど、打ち込んでいます。 その根底には、デビュー戦で敗北した角館 塔子(かくのだて とうこ)に勝つことや、女流棋士の世界に絶対女王として君臨する天野 香織(あまの かおり)に追いつくことへの情熱と執着があります。 “将棋バトルマンガ”と呼ばれるように、対局の場面で彼女たちが見せる獰猛な表情や不敵な笑みは、将棋の世界に男性も女性もないのだと感じさせてくれます。 2019年から『ビッグコミックスペリオール』で連載がスタートし、2021年現在も継続中です。単行本は5巻まで刊行されています。
今熱い将棋マンガをチェックしよう
対局に臨む棋士たちの脳内では、数百手も先の盤面が展開していると言われています。一見静かなようで、実はスポーツや格闘技にも劣らない、熱い戦いが繰り広げられているのです。 そんな将棋をテーマとしたマンガは、ルールを知らなくても楽しめるのが魅力です。また、分かる人ならよりリアルに感じられるでしょう。 マンガがきっかけで将棋を始めたという人もいるほど、将棋マンガは昔から多くの人を魅了してきました。そして、今また何度目かのブームが来ている将棋マンガの話題作をぜひチェックしてみてください。