BLマンガ「この恋、あたためますか？」のあらすじを解説

まずは『この恋、あたためますか？』の作品概要について解説します。作者の情報や作品の内容について見ていきましょう。

『この恋、あたためますか？』は舞木サチさんによるBLマンガです。舞木サチさんはBLマンガの作家で、他にも『今日からΩになりました』などの作品を描いています。 『この恋、あたためますか？』は全1巻の短編で、KADOKAWAから出版されています。ディープな描写などもなく、比較的ライトな内容なので、BL初心者にもおすすめできる作品です。

『この恋、あたためますか？』のあらすじを詳しく解説します。柳瀬と里中がどのように知り合ったのか、またコンビニ商品の開発というちょっと変わったテーマを主軸とした本作の魅力に触れてみましょう。

物語の冒頭は、里中（さとなか）と柳瀬（やなせ）がスイーツ祭をしているところから始まります。ですがこれは、単に娯楽やスイーツを楽しむことが目的ではなく、商品開発の一環として行っていたことでもありました。 主人公の里中は、あるコンビニ系列会社の商品企画部に所属しています。一方の柳瀬は、里中の会社があるビル1階のコンビニ店員です。里中は新商品を開発するために、柳瀬からアドバイスをもらっていました。

入社半年目で、初めて任されたバレンタインのスイーツ企画に悪戦苦闘していた里中を見かね、柳瀬が手伝ってくれたことから、二人の関係は始まります。 柳瀬は軽薄そうな態度とは裏腹に、的確でしっかりした意見をくれます。そうして過ごす中、二人は商品開発の仕事を通して、徐々に打ち解けていくのです。 コンビニ店員として働き始めた当初は"とっつきにくかった"と周囲から言われていた柳瀬も、徐々に明るい笑顔を見せるようになり、今ではすっかり朗らかな様子です。 一方の里中も、新入社員の頃とは違ってかなりしっかりしてきた様子でした。

ある日、いつものように里中が仕事をしていると、そこに柳瀬がやってきます。気の置けない様子で、里中も柳瀬に対して無邪気に笑いかけます。 いつもと変わらない二人の時間でしたが、突然柳瀬が里中にキスをします。動揺して声をあげる里中でしたが、柳瀬は平然とした様子で、里中の仕事をねぎらうと部屋を退室していきました。 柳瀬の唇の感触を確かめるように、里中は指先でそっと自分の唇をなぞります。

キスの一件以来、柳瀬のことが気になる様子の里中でしが、柳瀬に関してある情報を知ってしまいます。それは、柳瀬が里中が勤めている会社の次期社長だったという事実でした。 自分の商品開発に付き合ってくれたり、親しげにアドバイスをくれたのも、すべて仕事のためだったのかと、里中はショックを隠しきれません。 やがて里中は、柳瀬のことを避けるようになってしまいます。 一方の柳瀬は、そんな里中の事情を知らず、強引にキスをしたことで里中に「避けられているのでは？」と思い始めるのでした。その誤解は後に解消されますが、ますます二人はお互いの存在を意識するのでした。

TBSで2020年12月に放送されていた本作と同名のドラマがあります。設定も似ていることから話題になっていました。また、本作とドラマにはいくつもの相違点があります。 ドラマとマンガ、それぞれを楽しむためにも、相違点について見ていきましょう。

本作の主人公は森 七菜さん演じる井上樹木（いのうえ きき）で、女性です。スイーツの商品開発をテーマにした恋愛劇という点は似ていますが、カップルの性別が違います。 主人公が女性である点から、本作はBLではなくNLとなっています。また、登場人物の名前や設定なども、マンガとは大きく異なる点が多くあるのです。

マンガ作品では主人公が商品開発部の社員、パートナーはコンビニ店員で実は次期社長という設定でしたが、ドラマの方は違います。主人公はアイドルをクビになあったことがきっかけでコンビニで働くようになったコンビニ店員であり、パートナーの浅羽拓実（あさば たくみ）が、代表取締役社長という立場です。 また、本作の主人公である井上は、業界からも注目されているスイーツ批評のSNSアカウント"キキかじり"であり、スイーツに関してはかなり詳しく、浅羽の方から主人公に商品開発の協力を依頼する、というストーリーとなっています。 主人公とパートナーの立場がまったく異なるため、二人のやりとりや接し方もマンガとは大きく異なります。

『この恋、あたためますか？』はライトなBLで初心者にも読みやすい作品です。コンビニのスイーツ商品の開発をテーマにしているというのも、女性からすれば親しみやすい作品と言えるでしょう。 不器用ながらも真っすぐな里中と柳瀬の恋を、ぜひ堪能してみてください。