『私たちはどうかしている』は、2020年に浜辺美波さんと横浜流星さんの主演でドラマ化もされた人気マンガです。あらすじや見どころ、原作とドラマの違いなどを解説していきます。愛憎渦巻くミステリー作品としての魅力と、結末に注目です。
作品の概要
『私たちはどうかしている』はどのようなジャンルの作品で、見どころはどこにあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
愛憎劇とミステリーを楽しめる人気作
老舗の和菓子屋で起きた殺人事件をきっかけに、お店で働いていた主人公の母親は犯人として逮捕され、主人公自身も店を追いやられてしまいます。しかし、母が当時書き残していた「私はやっていない」という手紙を見て、主人公は真相を知ろうと動き出します。 事件の真犯人は誰なのか、なぜ事件が起きたのか。それを推理するミステリー要素と、登場人物たちの複雑に絡み合った愛や憎しみの感情を描いた作品です。
着物や和菓子などの美麗な表現が魅力
和菓子屋を舞台にした物語のため、作中にはたくさんの和菓子が登場します。さらに設定上、登場人物たちが着物を着ていることも多く、和の世界観が存分に表現されているため、日本ならではのビジュアルの美しさを味わえます。 特に和菓子に関しては、一つ一つに込められた意味や、作り手の思いなどが丁寧に描かれており、読み応え充分です。和菓子が好きな人であれば、なおさら作品の世界に入り込めるでしょう。
「私たちはどうかしている」のあらすじ
主人公たちの出会いから、和菓子屋で起きた事件、さらに偽装結婚するに至った経緯など、序盤のあらすじをまとめて紹介していきます。
老舗和菓子屋で幼い頃の七桜と椿が出会う
主人公、大倉七桜(おおくら なお)が5歳の頃、和菓子職人である母親は住み込みで老舗和菓子屋"光月庵(こうげつあん)"にて働くことになりました。それについてきた形の七桜は、光月庵の跡取り息子である高月椿(たかつき つばき)と出会います。 七桜の字を見て「さくら」と呼ぶようになった椿は、七桜との仲を深めていきました。七桜にとっても同様で、明るく人懐っこい椿に幼いながらも惹かれていたようです。
若旦那が殺害され、七桜の母が逮捕される
しかし幸せな日々は続かず、ある日、七桜は和菓子屋の若旦那、高槻樹(たかつき いつき)が死んでいるのを見つけます。そばには、椿もいました。 なぜ樹が死んだのか、殺されたとしたら誰のせいなのか、周りが慌てふためく中、椿が驚きの証言をします。それは、七桜の母親が樹の部屋から出て行くのを見た、という内容でした。それにより、七桜の母親は殺害容疑で逮捕され、同時に七桜も光月庵から追い出されることとなりました。
15年後に再会した七桜と椿は偽装結婚することに
事件から15年が経ち、七桜は光月庵ではない和菓子屋で働いていました。しかし、殺人犯の娘という話が店に伝わり、解雇されてしまいます。 途方に暮れる七桜のところに、「母親のお菓子のファン」を名乗る男性が訪れ手紙を渡します。それは裁判中に亡くなった母親からでした。男性は、七桜が20歳になったら渡すよう頼んでいたようです。 手紙には「私は何もやってない」と無実を主張する一文が書かれていました。同時期、彼女の元に結婚の引き出物として和菓子を作ってほしいという話が飛び込んできます。ただし、相手方の希望もあるため、両家がそろう場で双方の和菓子を出し、食べ比べて決める形でというものでした。 相手方が希望していた和菓子の作り手と会うことになった七桜。それは、奇遇にもかつて光月庵で共に時間を過ごした椿でした。15年振りの再会でしたが、椿は七桜を覚えていない様子です。対決は光月庵をむげにできないという理由で七桜の和菓子は選ばせません。落胆する七桜の前に現れた椿は、突然彼女に対し「結婚しない?」と持ちかけました。
七桜は光月庵で働きながら事件の真相を探る
椿がなぜ突然そのような提案をしたかは分からない七桜でしたが、母親の無実を証明し、真実を見つけるには、光月庵に戻らなければいけないことを悟り、提案を受けます。 指定された日時に七桜が光月庵を訪れると、椿は結婚式の最中でした。依然彼の真意が読み取れないままですが、このまま引き下がれないと式に飛び込みます。式が中断する中、椿は七桜と結婚することを宣言し周囲を驚かせるのでした。 こうして椿の目的が分からぬまま、七桜は光月庵で働きながら事件の真実を見つけ出そうと動き出します。
原作マンガとドラマとの違い
原作の人気を受け、ドラマ化された本作ですが、マンガとドラマでは異なる点がいくつかあり、驚いた方も多いようです。その一部を紹介します。
ドラマ版はミステリー要素強め
『私たちはどうかしている』のドラマを手がけたスタッフは、2019年に放送され話題となった、人気ミステリードラマ『あなたの番です』と一部同じです。 ゆえに、原作よりもミステリー要素が増えた演出になっていたと感じた方もいるようでした。 さらに、大筋は原作通りに進んだものの、細かい描写の中にはカットされた箇所もあります。なおドラマ開始前は、コロナの影響でキスシーンが減るのでは?と心配する声もあったようですが、実際は原作同様にしっかりキスシーンも演出されていました。
結末はドラマ独自のもの
ドラマ化の時点で、原作はまだ完結しておらず、結末がどうなるか視聴者は分からない状態でした。ドラマ化にあたり、オリジナルの結末が用意されたため原作ファンも新鮮な気持ちで作品に入る込めるでしょう。 ドラマの方は最終回を迎えているため、犯人や動機も明らかになっています。今後原作の方でどのようなストーリーが展開していくのか、犯人はドラマと同じか、それとも別になるのか。そういった点にも注目です。
「私たちはどうかしている」の見どころは?
ドロドロの愛憎劇であったり、推理要素のあるミステリーだったりと、本作の見どころはいくつもあります。その中から特に注目してほしいポイントを紹介していきます。
七桜と椿の恋の行方
幼い頃は仲良く、惹かれ合っていた七桜と椿でした。しかし光月庵の若旦那が殺され、七桜の母親が犯人だと椿が証言したことをきっかけに、2人は憎しみ合うようになります。 15年の時を経て再会した2人は、偽装結婚という形で光月庵にて仮の夫婦暮らしを始めますが、七桜は憎んでいたはずの椿と接するうち、気持ちに変化が起こっていくのを感じるのです。 七桜と椿の関係がどうなっていくのか、周りの人間関係も含めて大きな見どころとなっています。
殺人事件の真相を追うミステリー要素
15年前に起きた殺人は、謎が多い事件でした。七桜の母親がやったとされていますが、本人は無実を主張する文を残しています。 本当に七桜の母親が加害者なのか、違うとすれば真犯人は誰か。なぜ若旦那は殺されたのか。また、序盤で謎多き行動を取った椿の真意や、七桜に度々協力する謎の男の正体など、気になる伏線がたくさんです。 いくつもの謎を解き明かすため、七桜は懸命に光月庵で真相を探ります。そういったミステリー要素も、先の展開が気になる注目ポイントの一つです。
光月庵の跡継ぎ争い
跡取り息子として育てられた椿ですが、物語が進むと跡を継ぎたいと宣言する人物がほかに登場し、争いが起こります。 もちろん和菓子屋の跡継ぎを決める戦いのため、対決の内容は和菓子作りです。物語にも深く関わってくる、この跡継ぎ争いに関しても目が離せません。
複雑に絡み合う謎と恋の行方が気になる
『私たちはどうかしている』は、過去に老舗の和菓子屋で起こった殺人事件の謎を探るミステリー要素と、七桜と椿を取り巻く人々の愛憎劇に目が離せません。 真犯人は誰なのかも気になりますが、次第に惹かれ合う七桜と椿の気持ちやすれ違いにももどかしさを覚え、夢中になって読み進めてしまうでしょう。 ミステリーと共に、美しい和菓子の世界も楽しめる物語をぜひ堪能してください。