話題の人気BLマンガ『ララの結婚』をご存じでしょうか?妹の身代わりとなった兄が、嫁ぎ先の跡取り息子と結ばれてしまうという、驚きの展開から始まる物語です。作品と基本情報、登場人物紹介と併せて、見どころを解説します。
ララの結婚のあらすじ
妹の代わりに嫁いだ兄ラムダンと、ラムダンを求め続けるウルジ。二人がどのようないきさつで交わり、その後どうなっていくのか、序盤の展開を紹介していきます。
双子の妹の身代わりに男へ嫁ぐラムダン
物語は、富豪の跡取りであるウルジの婚儀から始まります。ララという美しい娘が富豪に嫁いだことで村は安泰だと、周囲は騒ぎ立てました。しかしこの婚儀には偽りがあったのです。 ウルジの元へ嫁いだのは、ララとそっくりな双子の兄・ラムダンでした。妹には既に愛する者がいることを知っていたラムダンは、一時の身代わりとなり、隙を見て逃げ出そうとしていました。 しかし初夜、ウルジはラムダンを酔わせて抱いてしまいます。驚きと羞恥で混乱しながら、ラムダンは果てたのでした。
一度は逃げ出すものの再びウルジの元へ
ララが相手ではないと分かっていて行為に及んだことを、ラムダンはウルジから知らされます。ウルジの意図が分からぬまま戸惑うラムダンの元に、幼なじみであるタシが現れました。事情を把握したタシは、自分の身を危険に晒しながらもラムダンを逃がそうとします。 ラムダンは村へと逃げ帰りますが、村の者は彼の帰還に快い反応を示しませんでした。富豪との縁談がなくなれば、村の財政が厳しくなると諭され、そのまま瓜二つのラムダンを再度ウルジの元へ戻そうとしたのです。 最後に頼った父にも同じことを言われ、ラムダンは村を飛び出します。ララに会いに行こうとしたラムダンでしたが、道中で男たちに襲われ危機に陥りました。間一髪のところで助けられますが、救助に来た相手はウルジでした。 ウルジは最初からずっとラムダンだけを見ていたことを告げ、屋敷へと戻ることになったのです。
ウルジの兄、バドマが現れる
帰る場所を失ったラムダンは、ひとまずウルジの元で妻のふりを続け、どうにかしてララと再会しようと決意します。 相変わらずウルジはラムダンを求めてきますが、ラムダンはなぜ彼が自分と結婚したのかが分からないままでした。 しっかり向き合って話をしようとした矢先、ウルジの父が訪ねてきて二人は共に挨拶へ向かいます。そこでラムダンは、ウルジが親との間に確執を抱えていることや、自分に対する気持ちを知ることとなるのです。 少しずつ、自身の気持ちが変化していくことに困惑するラムダンでしたが、そんな彼をよそに、屋敷には新たな訪問者が現れます。それはウルジの兄である、バドマでした。
主要登場人物
『ララの結婚』は、主人公であるラムダンやその妹ララ、そしてラムダンを思うウルジやその兄バドマ、さらにはウルジを慕うアリアナなど、複雑に人間関係が絡み合っています。その中から主要な登場人物たちを紹介します。
ラムダン
本作の主人公で、ララの双子の兄です。本来はララがウルジの元へ嫁ぐはずでしたが、大切な妹のために身代わりとなり、男であることを隠し、ウルジと婚姻の儀を行います。 しかしウルジはラムダンが男であることを知っており、その上で彼を求めました。最初は戸惑っていたラムダンでしたが、ウルジと接しているうちに少しずつウルジへの気持ちが変わっていきます。 少々粗雑なところもありますが、他人思いで優しく快活な性格です。目的のため屋敷を抜け出す、というような大胆な行動力もあります。
ウルジ
富豪の跡取りであり、ラムダン(表向きはララ)と婚姻の儀を行いました。整った顔立ちや、懸命に仕事をこなす姿は周囲の女性からも高い評価を得ているようです。 口数が多い方ではありませんが、自分の欲するものを是が非でも手に入れるという情熱的な一面もあります。 婚姻については、相手がララではなくラムダンだと始めから気付いていました。後に第二婦人の話なども持ちかけられますが、ウルジはラムダン以外は不要と拒み続けます。
ララ
ラムダンの双子の妹で、本来であればウルジと結ばれるはずだった女性です。彼女には既に思い人がおり、一緒になれるようラムダンが計らったことにより、ララは思い人と一緒の暮らしを実現させました。 しかし実は、その裏で何やら企みがあったようですが、婚姻の儀から逃げた時点の彼女にそれを知る術はありませんでした。 外見はラムダンそっくりで、中身はラムダンに負けず劣らず、勝気な面があります。ラムダンのことは、大切な家族と思っているようです。
バドマ
ウルジの兄であり、屋敷を出てあちこちを遊び回っていました。女好きな性格で、飄々(ひょうひょう)としていますが、人を見抜く目は確かであり、物事の本質を見極めることに長けているようです。 1年以上姿を見せていませんでしたが、久しぶりの帰宅でラムダンを見て、「自分の嫁にする」とウルジに啖呵を切り、決闘で勝利した方がラムダンの夫になると民衆の前で宣言します。 しかしこの決闘を持ちかけたことには何やら事情がある様子で、後にその真相が明らかになるのでした。
アリアナ
子どもは作らない、と親の前でウルジが宣言したため、世継ぎを残そうとウルジの父が迎え入れさせた"第二婦人"です。 とはいえアリアナ自身も嫌々嫁ぎにきたわけではなく、昔からウルジに対して好意を持っていました。 婚姻の儀が行われる日、ウルジの元へ思わぬ人物が訪ねてきたことで婚儀は意外な方向へと向かいます。
物語の行く末は?
ウルジの兄であるバドマが登場するまでが1巻の内容ですが、それ以降、物語はどう展開していくのでしょうか。2巻以降のストーリーを紹介していきます。
ウルジに第二夫人を迎える話が出る
ラムダンと度々関係を持つウルジでしたが、男同士で子どもができないことも重々承知しています。それでもラムダンさえいればいい、とウルジは主張しますが、父は血筋を途絶えさえてはいけないと叱ります。 家を案じた父が取った手段が、第二婦人という存在です。ラムダンが子作りをしないのであれば、もう1人嫁を迎えて子を作らせようと目論みました。その第二婦人として現れたのがアリアナです。 婚儀の準備も着々と進む中、ウルジはアリアナに対しきっぱりと婚姻の儀に行けないことを告げます。たとえ結婚しても幸せにはできないと言うウルジの頭には、ラムダンが浮かんでいました。
ララの駆け落ちの真相が明らかに
ラムダンが身代わりになったことで駆け落ちできたはずのララでしたが、そこには別の者の思惑があったことが明らかになります。 ララが駆け落ちした相手、ロサンは、ウルジのいとこでした。昔からララに惚れていたロサンは、ウルジがララと結婚すると知ったとき、償うことを誓いながら婚約解消を望みます。 偶然にもその願いは、ラムダンを思うウルジと利害が一致していました。つまりララの駆け落ちは、ウルジとロサンの計画の元で行われた予定調和の出来事だったのです。 真実を知り激昂するララでしたが、ロサンはすべてを吐露し、ララを愛する気持ちには偽りがないことを告げます。そしてウルジもまた、愛ゆえの行動であったことを認めたのでした。
ララの結婚の基本情報
ためこうさんの描く『ララの結婚』は、最初、短編マンガでのスタートでした。連載が始まったのはいつか、また掲載されていた本なども併せて紹介します。
短編マンガが連載化
『ララの結婚』は最初、短編マンガとして2017年、読み切りアンソロジーに掲載されていました。 続きが気になる、という読者からの人気もあり、雑誌『ビーボーイゴールド』にて2018年から、連載が開始されています。 現在も連載中であり、今後のラムダンとウルジの関係がどうなっていくのか、目が離せません。また、連載中ということで今から読み始めてもリアルタイムで追いつけるのもありがたいです。
ララの結婚の魅力
『ララの結婚』にはいくつも魅力がありますが、特筆すべきは主人公のラムダン、そして相手のウルジたちとその周りで展開していく人間模様でしょう。もちろん他にもたくさんの魅力がありますので、それらを紹介していきます。
絵がきれいでストーリーも面白い
BLマンガではありますが、男性にも受け入れられやすいきれいな絵柄が『ララの結婚』のポイントです。 また、ラムダンとウルジの関係はもちろん、兄と妹の絆や親子の確執など、登場人物たちが複雑に絡み合う人間ドラマも見どころになっています。BLの枠を超え、ヒューマンドラマとしても楽しむことができるでしょう。 序盤に意味深な場面が描写されていたり、その真相が後になって判明したりと、ストーリー自体も読み応えがあります。
ウルジの一途な愛情に胸キュン
ララの身代わりで嫁いだつもりのラムダンでしたが、実はウルジが好意を寄せていたのは最初からラムダンの方でした。 ラムダンを手に入れるため、ウルジは強引な行動に出ることもあります。普段は仕事もできて完璧とまで評されるウルジですが、ラムダンを思うあまり、取り乱したり、暴走したりといった一面も垣間見えます。 すべての言動が褒められるようなものでは決してありませんが、"これほどまでにラムダンを好きなのだ"ということがウルジの言動を通して痛いほど伝わってくるのです。 好きになるとその人しか見えなくなってしまうタイプの人、嫉妬深いタイプの人などは読んでいて共感するかもしれません。また、一途に思われたいという気持ちが強い人は読んでいてキュンとさせられるでしょう。
『ララの結婚』は現在も連載中の作品
『ララの結婚』は、登場人物たちの思惑が絡み合ったストーリー展開と、きれいなビジュアルが魅力のBL作品です。 現在も連載中なので、ラムダンとウルジがこの先どうなるか、わくわくしながら読むことができます。双子の妹と偽った男と、最初からその男を思っていた男。二人の禁断の恋の行方を、ぜひその目で確かめて見てください。