『炎炎ノ消防隊』は2015年より『週刊少年マガジン』で連載しているマンガで、世界発行部数は累計1500万部を突破しています。2期に渡って全48話でアニメ化されていて、マガジンを代表するヒット作の一つと言えるでしょう。そんな『炎炎ノ消防隊』に登場する個性的なキャラクターたちを、所属する消防隊を中心に解説します。簡単なあらすじも紹介しますので、興味のある人はチェックしてみてください。
『炎炎ノ消防隊』は2015年より『週刊少年マガジン』で連載されています。累計発行部数1500万部を突破し、全48話でアニメ化されているヒット作です。消防隊という実際の職業にSF要素を組み合わせた斬新な設定が話題を呼んでいます。 "東京皇国"という架空の都市を舞台にしています。人体発火現象"焔(ほむら)ビト"は、発火した本人と周囲を焼き尽くすという驚異的な災害です。この災害に対応するために組織されたのが、主人公が所属する"特殊消防隊"になります。 主人公であるシンラもまた、焔ビトによって母親と弟を失った被害者でもありました。家族のような犠牲者を生まないため、家族を殺したという自身への濡れ衣を晴らすために、特殊消防隊として活動しながら、物語の謎へと迫っていきます。
主人公が所属する"特殊消防隊"にはいくつもの部署があり、部署によってスポンサーや構成員の経歴などでそれぞれ特色があります。主人公はその中で"第8特殊消防隊"に所属しています。 第8特殊消防隊の個性的なメンバーも、本作の面白さの一つです。どのようなメンバーが所属しているのか見ていきましょう。
本作の主人公です。刈り上げた黒髪、鋭い目つきが特徴の容姿をしています。炎に関する能力者の中でも"第三世代"に属し、足から炎を出して、戦闘や移動など幅広く活用できます。 幼い頃、火事で母親と弟を亡くした際に、自身が能力者であったことから出火原因とされて周囲から批難されました。自分のような犠牲者を生まないこと、そして家族を殺した本当の犯人を捜すことを目的としています。 火事の一件がトラウマで感情と表情の制御ができなくなり、緊張や恐怖を感じた際に笑っているような表情を浮かべてしまうクセがあります。そのことで"悪魔"と影で呼ばれています。
シンラが第8特殊消防隊に配属された直後に配属されました。シンラと同じ第3世代の能力者であり、訓練学校の同期です。自身を騎士と称し、人々を守ることを目的として戦っています。 訓練学校時代にシンラから「騎士はしょぼい」と言われたことを気にしており、また目的の違いからシンラとは反りが合わずに喧嘩する姿がたびたび見られます。 自ら発した炎を超高温状態で剣化して戦います。剣術もたしなんでいて、高い戦闘能力を有しています。その一方で頭脳労働が苦手で、作中では常識外れの発言や空気を読まない言動でバカ扱いされることも少なくありません。
第8特殊消防隊の大隊長で、大黒柱的な存在です。特殊能力は持っておらず、出勤のたびに30kg以上の装備をしなければなりません。しかしながら普段から鍛えている筋力・体力は一般人をはるかに凌駕していて、能力者に劣らない働きができます。 元々は普通の消防隊員でしたが、焔ビトの謎を追うために特殊消防隊に入隊しました。シンラたちをたびたび食事に連れて行くなど面倒見が良く、また遺族に対する配慮や思いやりも人一倍強いため、人望を集めている人物です。
第8特殊消防隊の中隊長で、"第2世代"の能力者です。重火器の火薬の威力を調整することができ、弾道や弾速を制御できます。 後輩に対しては厳しく接する面もあり、普段は冷静沈着な性格ですが芯は熱く、桜備が捕まった際には反逆者になるリスクを顧みず躊躇(ちゅうちょ)なく救おうとしました。
火縄によってスカウトされて入団しました。第2世代の能力者で、大量の炎を自由に操作ができます。炎でマスコットを作り出し、"メラメラ"などの名前を付けて可愛がったりする乙女チックな一面もあります。 体術が得意で、筋力も優れていますがそのことを指摘されるとキレます。イメージが能力に影響するため、物語途中からは消防士のヘルメットではなく魔女の帽子を被るようになりました。
第8に新たに入隊した技術者で、無能力者ですがメカニックとしてかなりの腕前を持っています。元々は消防官を嫌っていましたが、シンラたちに救われたことをきっかけに考えを改め、入隊を決意しました。 持ち前の技術を活かして次々と新装備を開発しています。
灰島重工から派遣されてきた科学捜査官です。大学に飛び級し主席で卒業するなど、優秀な頭脳を持っています。灰島からシンラの監視を命じられていて、スパイ活動をしている一方で、火災現場での消火方法の選択や指揮など、優秀な能力を発揮しています。 "正解"を知りたいという強い信念を持っていて、第8特殊消防隊に肩入れすることもたびたびあります。
焔ビトになってしまった人の魂を鎮めるため祈りを捧げるシスターとしての役割を担っています。穏やかで優しい性格ですが行動力があり、思ったことはすぐに行動に移してしまいます。 第5特殊消防隊の大隊長である火華とは同じ修道院で育ち、彼女のことを「義姉さん」と呼んでいます。実質的な消火活動や戦闘は行いませんが、チームのムードメーカー的な存在でもあります。
第1特殊消防隊の隊員でしたが、ある事件をきっかけに第8特殊消防隊に無期限研修という形で配属させられています。猫の尻尾や耳、爪を炎で生成し、俊敏に動くことができる第3世代の能力者です。 ちょっとしたハプニングでラッキースケベを提供してしまう"ラッキースケベられ体質"です。元々はシスターを志願していました。
特殊消防隊には第8以外にも1~7までの別の消防隊もあります。他の特殊消防隊の中でも、物語に深い関わりを持つ人物を紹介しましょう。
第1特殊消防隊の大隊長で50歳という年齢ながら、体は鍛えてあって精悍な見た目をしています。右目を失っていて眼帯をしているのも特徴です。 体内で炎を燃やし、その熱エネルギーで身体能力を高めるという第3世代の能力者でもあります。かつてシンラの家が燃えた際に消防官としてその場に居合わせました。何かを知っているようですが、シンラに対してそのことを黙っています。
第5特殊消防隊の大隊長で、褐色肌の美人です。性格はサディスティックで、部下を日常的に踏みつけています。 アイリスと同じ修道院で育ちましたが、火事で仲間を失ってからは人体発火の謎を追い、特殊消防官となりました。熱を操って熱失神をおこしたり、華を模した炎で攻撃する第3世代の能力者です。
第7特殊消防隊の大隊長で、第2世代と第3世代両方の能力を有しています。炎の出力も精度も群を抜いているため、"最強の消防官"とも賞される人物です。 口が悪くてけんかっ早いものの人情に厚い、江戸っ子気質の人柄で、皇国や"太陽神信仰"を嫌っています。浅草を守ることを第一に考えていて、浅草に住んでいる人から慕われています。
第2特殊消防隊の大隊長です。はげた頭部から炎を発火できる第3世代の能力者で、発火させた状態から頭突きを放って攻撃します。 尾瀬大将の指令で第8と共に地下の調査を行い、"伝導者一派"の企てを阻止したことによって第8特殊消防隊に協力するようになりました。
特殊消防隊と敵対している"灰焰騎士団"のメンバーの中でも、作中で特に重要とされる人物を紹介します。
灰焰騎士団の団長であり、シンラの実弟です。赤ん坊の頃の火事によって生き別れたために、シンラのことを覚えていません。 シンラと同様に"アドラバースト"を有していて、異界アドラと高い純度でつながっています。自身の周囲の膨張熱を奪うことで時間の流れを相対的に速くするという強力な能力を持って、兄であるシンラと戦います。
ヴァルカンによって保護されて共に生活していましたが、その正体はスパイであり、"灰焰騎士団”の一員です。炎を触手状にして操る能力を持っています。 桜備と戦うも敗れ、その後はヴァルカンに助けられて和解し、正式に第8特殊消防隊に入隊することになりました。
作中でも正体を明かされていないものの、物語に深く関連している重要なキャラクターを紹介します。
特殊消防隊の新人大会に乱入し、シンラと意味深なやりとりをするなど、神出鬼没で不気味な男です。東京皇国とは完全に敵対しています。炎で作り出したトランプを武器にしています。 シンラの家を襲った悲劇やシンラの弟についても知っている節があり、ときおりシンラの前に姿を現しては、シンラに対して物語に深く関与する情報を与える謎の人物です。
"アドラバースト"の能力を持つ者は"〇柱目"と呼ばれます。アドラリンクを使ってシンラの精神を暴走させました。見た目はアイリスにそっくりの女性です。 シンラの精神を暴走させた際には「人間なんて全部燃やしてしまえ」と言っており、人間を憎んでいる様子がうかがえます。
『炎炎ノ消防隊』には、能力も個性も千差万別なさまざまなキャラクターが登場し、物語を動かします。それぞれのキャラクターは炎に対する何かしらの思い入れがあり、信念を持って戦っているのです。 そうした信念のぶつかり合いが、物語をいっそう魅力的にしています。キャラクターの立場や能力を把握した上で読むと、物語をより面白く読むことができるでしょう。
炎炎ノ消防隊(29)
少年・青年マンガ全人類は怯えていた──。何の変哲もない人が突如燃え出し、炎の怪物“焔ビト”となって、破壊の限りを尽くす“人体発火現象”。炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、現象の謎を解明し、人類を救うことが使命! とある理由から“悪魔”と呼ばれる、新入隊員の少年・シンラは、“ヒーロー”を目指し、仲間たちと共に、“焔ビト”との戦いの日々に身を投じる!! 燃え上がるバトル・ファンタジー、始動!! 回されてしまった“天照の鍵”。世界滅亡の“大災害”が始まる……。シンラたち柱不在の中、“天照”防衛戦に挑む第8。伝導者一派の攻勢は止まず、カロンは命を賭した最期の力を解き放つ。聖女への無償の愛を込めた一撃は、終末の時計をまた一刻進めてしまうのか。星を浄化する終末の炎の燃料は“絶望”。ならば、それに抗うエネルギーは…。それが救世の答えと信じ、特殊消防隊は“希望”をもたらす最後の戦いに挑む!!