読んでいて気分が沈んでしまう、創作であっても救いのない暗いマンガは、独特の重厚な世界観を持っているものが多くあります。そんなダークなマンガの中でも魅力を持った作品を紹介します。読んでいて思わずトラウマになってしまうようなシーンや、救われないバッドエンドのストーリーが満載です。鬱展開なのになぜか何度も読みたくなってしまうマンガを見ていきましょう。
どこにでもいる普通の少年だった春日高男(かすが たかお)はある日、出来心で女子の体操着を盗んでしまったことを、クラスメイトの仲村佐和(なかむら さわ)に目撃されてしまいます。それから高男は、佐和の言いなりになって無茶な要求をされるようになりますが、次第に佐和との行動に奇妙な快楽を覚えていくようになります。 人の心の内にある"悪"にスポットを当てた作品で、高男と佐和以外に、高男が体操着を盗んだ相手の佐伯も、徐々に行動がおかしくなっていきます。そんな3人の結末は、お世辞にもハッピーエンドとは言いがたいものでした。 テレビアニメも公開され、2019年には実写映画も公開されました。人間の心の悪に対する憧れと闇に迫った作品です。
僕の名前は「少年A」
貴志祐介さんの小説をコミカライズした作品で、映画化もされています。教師である主人公が、裏では自分の都合のいいように人を操り、罪を犯すというサイコ・ホラーです。 主人公の蓮実聖司(はすみ せいじ)は生まれつき他者への共感能力が一切なく、他人の痛みや感情を理解することができませんでした。そんな彼は、学校生活の中で自分の地位をおびやかす可能性のある者や、都合の悪い者を殺人を含むあらゆる手段で排除にかかります。 しかし、彼の行為がふとしたきっかけで隠蔽不可能になってしまうと、彼は恐るべき凶行に出るのでした。 他人に共感能力がなく、自分の都合のために殺人すらいとわない主人公の心理描写は圧巻です。主人公の思考が読めないだけに、結末が気になる作品と言えるでしょう。
犯罪を犯しても決して反省しない最低の人間に対し、被害者からの依頼を受けて復讐を代行するという"復讐屋"の2人を主人公として描いた作品です。 犯罪を犯しても裁かれず、反省もしない人間たちに行うグロテスクな内容の復讐は、暗いながらも爽快感を与えてくれます。 本作は2016年から第二部『外道の歌』というタイトルで、同じ設定で引き続き連載されています。犯罪者によって苦しめられる被害者たちの様子と、復讐を遂げたときの達成感・快感はやみつきになってしまいます。
不能犯
九条の大罪 1
少年・青年マンガ法とモラルの極限ドラマ、開幕! 国民的ダークヒーロー漫画『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平、最新作! なぜか厄介な案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(くじょうたいざ)。 鼻炎持ちのバツイチで、ビルの屋上で テント生活をしている偏屈な弁護士だ。 主な顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、きな臭い人だらけ!? ネットでは悪徳弁護士と罵られながらも、 イソ弁の烏丸(からすま)と共に、依頼人の擁護に務める。 ある日、飲酒して轢き逃げをした半グレが、 先輩の壬生に連れられて、九条のもとを訪ねる。 そこで九条が授けた策は、弁護士にはあるまじき教唆で――!? 交通事故ひとつですら、常識がひっくり返る。 知ってるだけで、人生が変わる。 神か悪魔か弁護士・九条! 法とモラルの極限ドラマ、ここに開幕!
『闇金ウシジマくん』の作者である真鍋昌平さんによる新連載です。本作の主人公は弁護士という職業ですが、ひき逃げ犯や麻薬の不法所持者など、加害者側の弁護を担当する様子が作品で描かれています。 犯罪者と分かっていて弁護する主人公が法律の穴をつく弁護の手口、犯罪者の身勝手な理屈に振り回される被害者など、読んでいて不快になるはずの内容をなぜかすらすら読むことができます。法律に関する作者の適切な知識や、弁護士である主人公の仕事に対するひときわ変わった職業観がそう思わせるのかもしれません。