コミックス累計発行部数全世界1700万部突破(最新17巻時点)の「約束のネバーランド」は、白井カイウ先生(原作)、出水ぽすか先生(作画)の2人組みによる、週刊少年ジャンプにて連載中の作品です。略称は「約ネバ」。オトナなサスペンス感が「ジャンプらしくない」と大反響を受け、「このマンガがすごい! 2018」オトコ版1位にも選ばれており、ジャンルはサスペンス・ファンタジーにカテゴライズされています。
『約束のネバーランド』とは?
※ネタバレあり 物語はとある孤児院GF(グレイス=フィールド)で、子どもたちが幸せな生活を送る場面から始まります。 母と慕う"ママ"とは血はつながっていないけれど、お互いをとても大事に想いあっている38人の兄弟たち。最年長のエマも、施設-ハウス-を"家"だと思い、家族を大切に想っていました。 しかし、幸せな日常はある日突然一転。偶然知ってしまった一つの事実が「現実」を覆します。 大切な家であり楽園だと思っていた施設は、実は子どもたちを監視し、"鬼"に餌として献上するための「飼育小屋」であり「監獄」だったのです! 2019年1月から放送されたアニメも完成度の高さが更なる話題を呼び、注目の作品である今作。今回はそんな「約束のネバーランド」の魅力をご紹介します。
あらすじ
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。それでも、エマ・ノーマン・レイの三人はこの小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げる。真実を知った彼らを待つ運命とは…!? 目を背けたくなるような現実と向き合い、「戦略」を駆使して敵から逃げる脱出劇が今、幕を開ける!
魅力ポイント
(1) ジャンプらしくない衝撃的な設定
里親が見つかり、外の世界に出ることになったコニーがお気に入りの人形を置き忘れていたため、届けてあげようと後を追ったエマとノーマン。しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃してしまう──。 人間の子どもをランク付けして食う"鬼"という設定、信じていた孤児院のママが実は鬼とグルで子どもたちを鬼に食わせるためだけに愛情をかけて育てているという異常さ…。 物語冒頭ののどかで平和な日常風景からのこの展開が本当に怖い! 他にもホルマリン漬けっぽい女の子の絵がドドンと出てくるなど、これはジャンプで掲載して大丈夫なのか…?と心配になるような描写もありますが、この「少年ジャンプ」という巨大なブランドの中にあっても、そのカラーに縛られない自由な作風と独自の路線こそが最大の魅力。 海外ドラマを思わせる壮絶な心理戦描写に引きこまれる人が続出中です。 これ以上の驚きがあるのか?と思うほど1話からショッキングな場面が登場しますが、ご安心ください。回を追うごとに明らかになる事実と新展開に息つく間もない程のめりこまされてしまうはず。 残酷な事実に気付いたことを隠して逃げようとする子どもたちと、気付かれたことを察してそれを阻止しようとする"ママ"との駆け引きにもゾクゾクします!
(2) 圧倒的画力で魅せる画面展開
ファンタジー感あふれる緻密な背景描写と、アメコミを想起させるダイナミックで独特な構図など、作画担当・出水ぽすかさんの画力の高さにも注目が集まっている今作。 元々イラストレーターとしても活躍されていたこともあり、作中での大コマを使った迫力のある見せ方や、視線誘導をうまく使ったキャラクターたちの躍動感のあるアクションシーンは思わず見入ってしまうほど。 今にも動き出してこちらに走り出してきそうな、キャラクターたちの生き生きとした表情も魅力的です。
(3) 伏線の多さと予想のつかないストーリー
「約束のネバーランド」では、失敗すれば即出荷、常に死に繋がる危機的状況なこともあり、ギリギリの心理戦攻防劇が売りの一つとなっています。 毎話驚くほどたくさんの伏線が張り巡らされており、言葉だけでなく表情や仕草、行動すべてが判断材料になることが作中でも明らかになっているため、読者自身で推理しながら読み進める楽しさもあったり。 たくさんある伏線は、よくある「読者自身でご自由に感じて受け止めてください」ではなく、物語が進むときちんと丁寧に説明され回収してくれます。 大きな伏線は残されたままになっているものもまだたくさんあるので、これからどんな展開になってどの伏線がどんなふうに回収されていくのか、一緒に推理していく楽しさも味わえます。
個性豊かな登場人物たち
エマ
本作の主人公。グレイス=フィールドハウスに住む、孤児で最年長の一人。抜群の運動神経と驚異的学習能力を持つ11歳の女の子。認識番号は63194。 明るく活発で、誰よりも家族を大事に想っている。ノーマンと共に衝撃的事実を目撃し、一時は取り乱すも"家族全員で生き残る方法"を考え抜く。周りを惹きつける強い意思を持っている。
ノーマン
孤児最年長の一人。11歳の男の子。テストは常にフルスコアの戦術派で、脱獄に関する実質的なリーダーとなる。認識番号は22194。 鬼ごっこでは戦略を駆使してエマに勝つほど、断トツの頭脳を持つ天才。エマと共にショッキングなシーンを目の当たりにするも、冷静沈着に状況を分析・整理し、次のアクションへと皆を導く。
レイ
孤児最年長の一人。11歳の男の子。テストも度々フルスコアを出しており博識な読書家。認識番号は81194。 天才ノーマンと唯一互角に渡り合える博識・知恵者。「策士」と称されるに値し、冷静で的確。常に先を読んで最善の判断を下す。 エマとノーマンに状況を打ち明けられ、脱出するための仲間になるが、実は鬼のことを幼少時から知っており、ママと内通しつつずっと一人で駆け引きを繰り広げていた。 GFでは唯一、イザベラ(ママ)と本当に血の繋がりがある子ども。
ギルダ
10歳の女の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。認識番号は65194。 今いるGFの子どもたちの中で唯一眼鏡を掛けている。内気だが、芯の強く優しい性格。エマとは共に年少者の世話をする係で、仲がいい。ドンと同じく、脱獄計画にはレイの後に引き入れられる。 おしゃれに興味があり、ハウスから支給される衣類が白の一色であることを嘆いていた。 ノーマンには及ばないが、優れた洞察力と冷静な思考力を持っており、以前から里親に出された兄弟姉妹たちが音信不通になることに疑問を感じていた。
ドン
10歳の男の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。認識番号は16194。 明るく負けず嫌いな性格で、ノーマン達に比べるとやや短絡的で状況判断能力に劣るが、兄弟たちを思う気持ちは強いナイスガイ。コニーのことも気にかけ、よく助けていた。 手先が器用なのかスリの特技があり、脱出準備の際、必要な物を倉庫からくすねてくるなどして活躍した。同年齢のギルダと親しく、よく一緒に行動している。
マム・イザベラ / ママ
31歳。GFで母親代わりをしており、とても穏やかで優しく、子どもたちからは"ママ"と呼ばれ慕われている。 しかし、裏では鬼の冷酷な手下として人間農園を管理する飼育監(ママ)。認識番号は73584。 後に、子供のころに農園の秘密を知って脱獄しようと塀に登った過去が明らかになる。 イザベラ自身の回想では、その時に農園の周囲が高い崖であることを目の当たりにし、脱獄を諦めている。
シスター・クローネ/シスター
イザベラからの監視強化の要請により、本部から派遣された補佐役。26歳。 エマ達のいる第3プラントとは別のプラント出身で、彼女も鬼の手下。認識番号は18684。 イザベラの弱みを握り「ママ」の座から失脚させ、その地位を奪おうと画策するが、イザベラに先手を打たれ、権力争いに敗れる形で死亡・出荷されてしまった。 登場人物の中で一番表現が豊かで、特に顔芸は必見。
ウィリアム・ミネルヴァ
エマたちを農園の外まで導いた人物。本名はジェイムズ・ラートリー。 食用児たちに犠牲を強いる理不尽な仕組みに耐えかね、ウィリアム・ミネルヴァという偽名を名乗り、食用児に未来を選ぶきっかけを与えるため農園に納める本に細工を施し寄贈していた。 ラートリーは1000年前に鬼と「約束」を結んだ一族で、二世界間の調停役として代々約束を受け継いできた。ジェイムズは第35代当主。 子供達に安全なシェルターや集落、人間の世界へ渡る為のエレベーターなどを提供しようとしたが、腹心だった弟に裏切られ、一族に命を狙われる身となってしまった。現時点で生死は不明。
オジサン(ユウゴ)
エマ達が農園から脱出し、辿りついたシェルターで出会った大人の男性。長らく名前を明かさず、エマ達からは「オジサン」と呼ばれていたが、96話にてついに名前が判明。 認識番号はETR3M8。出身農園はグローリー=ベル。識別番号はお腹にある。 脱走した食用児という意味では、エマたちの「先輩」。 13年間たった一人でシェルターにこもっており、出会った当初は素行が悪く、助けを求めたエマたちを追い出そうとする。
グランマ(大母様)
複数のプラントを統括する立場で、イザベラたち飼育監の上司と思われる人物。イザベラの手腕を高く評価しており、彼女が管理する第3プラントを頼りにしている。 現時点では、鼻から上の容姿は詳しく描写されておらず、年齢なども一切不明。 イザベラが子供のころに農園で彼女の「ママ」をしており、当時のイザベラに農園の秘密を知られて脱獄されかけた描写が存在するが、それも「グランマ」が仕掛けた罠だったのではと思われる。
鬼
人間を食料とする種族。 「鬼」とはエマ達が外見から便宜上つけた呼称で正式名称は不明。想像上の生き物として語られてきたが、実は施設の外の世界に存在していた。 種類は多種多様で、上位の鬼に従う下級な鬼や、仮面を着けている鬼、人語を話す知能を持つ鬼など、様々な種類が存在している。鬼の中にも階級があるようで、質の良い人間を食すことができるのは、上級貴族の鬼だけらしい。
メディア情報
アニメ化
アニメは1期~2期までの全23話が放送。「エルフェンリート」や「君と僕。」などを手がけた神戸守が監督を務める。アニメーション制作は、アニプレックスがアニメコンテンツ供給の安定化を目的として設立したA-1 Picturesの高円寺スタジオを改称し、ブランド化したCloverWorks。「PERSONA5 the Animation」や「抱かれたい男1位に脅されています。」のアニメーション制作も手がけている。初のジャンプ×ノイタミナ作品であることも話題に。 アニメ1期は原作漫画5巻37話までの内容となっています。 アニメ2期は原作漫画の内容と若干異なっており、アニメオリジナルの展開となっています。
実写映画化
2020年12月には実写映画化。監督は、映画『僕だけがいない街』などを手掛けた平川 雄一朗(ひらかわ ゆういちろう)監督で、メインのキャストには浜辺 美波(はまべ みなみ)さんや城 桧吏(じょう かいり)さん、板垣 李光人(いたがき りひと)さんらが抜擢。孤児院の先生役では渡辺 直美(わたなべ なおみ)さんや北川 景子(きたがわ けいこ)さんが出演し話題となりました。
ノベライズ
七緒(著)・白井カイウ(原作)・出水ぽすか(作画) ジャンプジェイブックスより、ノーマン達のGFハウスでの温かくも切ない日々を描いた『約束のネバーランド 〜ノーマンからの手紙〜』、エマたちの前に立ち塞がった“飼育監”の誕生秘話が描かれた『約束のネバーランド 〜ママたちの追想曲〜』の2冊が出版されている。
ゲーム化
SCRAP主催の体験型ゲームイベントであるリアル脱出ゲーム化が決定し、2019年3月より偽りの楽園(ネバーランド)からの脱出としてアジトオブスクラップ全国5店舗にて開催することが決定した。キャッチコピーは「仲間との約束を信じて、脱獄せよ。」。
最後に
週刊少年ジャンプ連載の作品としては異例の超本格ファンタジー・サスペンス作品である『約束のネバーランド』、いかがでしたでしょうか?エマたちの命をかけた冒険や謎解きなど、これからの展開にも期待が膨らみます。