『ストロボ・エッジ』『思い、思われ、ふり、ふられ』など、思春期の恋心と友情を繊細に描いた咲坂伊緒先生の代表作です。「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」の3位に入賞し、アニメ・映画化も果たした本作は、青春漫画の代名詞と言っても過言ではございません。今回は、そんな『アオハライド』の魅力的なキャラクターと見どころポイントをご紹介します!
『アオハライド』とは
【ネタバレ注意】 男子に苦手意識を持つ吉岡双葉と、彼女の初恋の相手・馬渕洸の恋愛を中心に取り巻く友人たちとの、青春と友情を描いた恋愛漫画です。 『ハニー』など、初々しい初恋や恋をする少女の心を丁寧に描いた漫画が好きな方にオススメ! ちなみに、タイトルの「アオハライド」は、「青春(あおはる)」と「ライド(ride:乗る)」というふたつの単語を組み合わせた造語のようです。「青春に一生懸命乗っていく」という意味が込められています。
あらすじ
高1の双葉には中学時代から忘れられない初恋の人、「田中くん」がいる。中学のとき女子に、はぶられた経験から自分を偽って日々過ごしていたとき、「田中くん」を思わせる男子に出会うが、彼はーー⁉️熱く青く一生懸命にぶつかりあう高校生活グラフィティ!
キラキラと輝く登場人物たち
主人公:吉岡 双葉(よしおか ふたば)
本作の主人公。 中学2年のときに女子から「猫をかぶっている」と疎まれ、卒業まで孤立していた過去をもつ。 高校入学当初は、そんな中学時代のトラウマから、なるべく男子に避けられるようにガサツなフリを続け、友達の輪の中に自分の居場所を確保していた。 しかし初恋相手である馬渕洸の一言で、そんな行為に意味がないことを気づいた。 それまでの演技を辞め、ありのままの自分で学園生活を送ろうと努力している。
馬渕 洸(まぶち こう) ※別称:田中 洸
吉岡双葉と、同じ高校に通っている爽やかな青年。中学生時代は吉岡双葉と同級生だった。 同校の教師である田中陽一の実の弟。 元は田中姓だったが、両親の離婚を機に母親の名義である馬渕に名字が変わっている。 吉岡が唯一嫌悪感を抱かない男子だったが、中一の夏休みに長崎に転居してしまったのが原因で、疎遠の関係に。 その後、母親の死をきっかけに双葉と同じ高校に通うようになる。
槇田 悠里(まきた ゆり)
吉岡双葉のクラスメイト。ショートカットの可愛らしい女の子。 男子の前だと緊張して、ついぶりっ子ぽくなってしまうタイプ。 それが周囲の女子の反感を買いクラスの中で孤立していたが、同じような経験を持つ吉岡双葉が話しかけてきたことから友情が生まれ、その出来事以来、親友のひとりとなる。
村尾 修子(むらお しゅうこ)
吉岡双葉の高校二年生のときのクラスメイトで、凛然とした雰囲気を持つ美人さん。 周囲との関わりに興味がなく、自ら壁を作り孤立していた。 本来の優しくて女の子らしい一面が表に出るようになったのは、双葉らと仲良くなってから。 また、馬渕洸の兄である田中陽一のことがお気に入り。彼の前では感情的になることが多い。
小湊 亜耶(こみなと あや)
吉岡双葉の高校二年生のときのクラスメイトで、感情豊かで楽天的なキャラクターである。 女性っぽい名前だが、性別は男性。フランス人とのクォーター。 馬渕洸とは高校で実施された研修で親しくなり、それ以降親友の間柄である。 また、高校一年のときからの同級生である村尾修子のことを好いている。 果敢にアプローチしては、あしらわれることを繰り返している。
菊池 冬馬(きくち とうま)
図書室で起きたちょっとした事故で双葉と出会った男子生徒。吉岡双葉と同学年だが、学級は異なる。その後、度々彼女と遭遇するうちに好意を抱くようになった。 双葉と馬渕洸の関係が上手く行っていない時期に告白したが、その後…。
見どころ
(1)甘くて切ない…。恋愛の醍醐味が味わえる
こういう青春時代を過ごしたいという同世代の目線と、こんな青春を過ごしたかった!と懐かしむ世代と、いろいろな世代に愛されているのが、この漫画の魅力です。 うまくいきそうで、うまくいかない、別れてしまいそうで別れない、青春を青春らしく生々しく描いています。 そんなハラハラでドキドキな関係が、より一層と女性心をくすぐるのかもしれません。 きっとあなたも、共感必至の甘く切ないラブストーリーにどっぷりハマってしまいますよ。
(2)ツンデレすぎてずるい、「馬渕洸」がやばい
突き放したと思ったら甘えたり…。彼のそんなツンデレな行動に胸キュンが止まらない! 頼りがいがあり、優しい。しかも、とても一途で純粋な少年らしい一面もグッときます。 このギャップがまた乙女心をくすぐるのです。
(3)グッと心掴まれる、台詞や心情表現の数々
★「目が合うと必ず一度そらして、また合わせる」(吉岡双葉・馬渕洸) 吉岡双葉と馬渕洸が一緒にドロケーで遊んでから、お互いが意識するように⁉️ この「一度そらしてまた合わせる」がなんだかリアル!甘酸っぱいシーンです! ★「私の事きらいって事はさ・・・あなたたちの関心の内側に私がいるって事だよね?ざまみろ」(槙田悠里) ブリッコが理由で悪口を叩かれる槙田だが、その悪口に対して双葉が言い返したあとの槙田の一言は必見! ただほんわかしてるだけじゃなくて、結構男前なこと言ってる槙田にスカッとします! ★「急に降ってきたよね」(馬渕洸) 双葉と洸にとって、重要ワードとなる台詞。 中学時代に神社で雨宿りしたときに交わしたこの言葉が、高校生になって再会したときも、登場するのです! 双葉に気付かせるためにこの言葉をチョイスした馬渕、素敵すぎる! ★「洸が何かに夢中になったり心から笑ったりしても誰も責めない。もしそんな奴いたら、私がぶっとばす」(吉岡双葉) 母親を亡くしてから心を閉ざしてしまった馬渕洸。心の底から笑ったり意味のある毎日を送るのが怖かったのです。 その心の扉をぶち破ろうと双葉がぶつけた言葉。馬渕にとって双葉は勇気をくれるヒーローのような存在。
メディア情報
TVアニメ
原作の4巻までの内容を、2014年7月より、TOKYO MX、MBS、BS11にて同名のアニメ化作品(全12話)が放送。加えて、アニメ最終話から続く花火大会のエピソードを収録したDVD付単行本12巻(『アオハライド 12 OAD同梱版』)が発売。監督は吉村愛、主要キャストは吉岡双葉役・内田真礼、馬渕洸役・梶裕貴(幼少期は白石涼子)、槙田悠里役・茅野愛衣、村尾修子役・小松未可子、小湊亜耶役・KENN。
映画
全国東宝系にて2014年12月より公開。 公開初週の土日で約21万人を動員、全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場1位を記録。最終的に興行収入は19億円に達した。監督は三木孝浩、主要キャストは吉岡双葉役・本田翼(中学時代は田爪愛里)、馬渕洸役・東出昌大(中学時代は板垣瑞生)、槙田悠里役・藤本泉、村尾修子役・荒川優愛、小湊亜耶役・吉沢亮。
TVドラマ
2023年にWOWOWで連続ドラマ化。「Season1」と「Season2」の二部作で放送・配信された。ドラマのキャストは吉岡双葉役・出口夏希、馬渕洸役・櫻井海音が務めた。10年越しのドラマ化となりファンからは喜びの声も。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 「好き」という気持ちが背中を押してくれたり、相手のことで悩んだり涙したり。 この漫画を呼んで、恋は人は強くし、成長させると、改めて考えさせられました。 咲坂先生の可愛らしい絵柄と、繊細な心理描写にグッと心引き込まれること間違いなしの傑作漫画。ぜひ、読んでみてください。