『ゴミ屋敷とトイプードルと私』は、池田ユキオ先生が描く人生崩落漫画。『通常編』・『港区会デビュー編』・『ラブと癒やしとホントの私編』と続き、次もゾクゾクする女の転落を匂わせています。泥沼系・腹黒系などと呼ばれる、見栄と嫉妬により人生を狂わせていく主人公たちの人間ドラマを描いた作品です。
『ゴミ屋敷とトイプードルと私』とは?
シリーズの中でも初期の作品である『ゴミ屋敷とトイプードルと私』。 『波乱万丈の女たち』(ぶんか社)、『ストーリーな女たち』(ぶんか社)や、昨年吉岡里帆主演のドラマ化でも話題になった『きみが心に棲みついた』(天堂きりん・祥伝社)のような、“ちょっと心が病んでいる女性の精一杯”といった作品が好きな方はハマってしまうと思うのでおすすめです。
あらすじ
トイプードル、1匹30万円。撮影用のペット衣装7千円。高級ブランドのクッション3万×2。 そしてSNS依存症の私とゴミ屋敷。 この状況だけでも大体のストーリーは想像がついてしまうが、期待を裏切ることなくイメージ通りに展開していく。 主人公の明日香は幼いころから可愛がられ、甘やかされた人生を歩んできた。 子どものころから欲しいものは姉からも奪い、20代のときはまわりの男たちが何でもプレゼントをしてくれた。300万の借金を作ってしまっても、親が何とかしてくれた。 しかし今は34歳。キャリアウーマンに成長した私は、なかなか声をかけ辛いらしい。だけど欲しいバッグや行きたいレストランのランクは絶対に下げられない。 鏡は嫌い。なぜなら加工ができないから。いつだって本当の写真はSNSの私。身の丈以上の暮らしを続けていくにはお金が必要だが、クレジットカードをいくら使っても当然のように親が払ってくれる…はずだった。 ある日、くも膜下出血のため父親が倒れ、働くことができない体に。 父の体よりなにより、収入はどうするんだと心配をする明日香。「勘弁して…」先が見えず精神的にも限界の母。 今まで妄想で固められた自分の生活が、徐々に崩壊していく…。 見栄と虚栄、そして嘘で固められた生活が失われ、父の介護を余儀なくされるのであった。
登場人物・キャラクター
明日香(あすか)
「ニューオープンのホテルでランチビュッフェはどう?」 某大手広告代理店勤務で34歳のOL。 幼いころから可愛いを武器にあらゆる欲求を満たしてきたが、アラサーごろからキャリアウーマンに成長をしたため声をかけづらくなってしまったらしい。 『通常編』で落ちぶれ、『港区会デビュー編』では懐かしの先輩として登場するが、なんと『ラブと癒しとホントの私編』では…。
ソラ
明日香が飼っているトイプードル。 飼われてはいるが、ほとんどSNSの道具として利用されている。親と姉がゴミ屋敷になった明日香の部屋を片付けようとした際に、飼育放棄されてグッタリした状態で見つかる。
西村沙耶(にしむら さや)
『港区会デビュー編』 「もっと見て! あたしはみんなとは違うの…!」 某大手広告代理店勤務で25歳のOL。『通常編』では“お金のない先輩におごってあげる後輩”として出演するが、残念なことに港区編では主人公に抜擢されてしまう。 明日香とは違い一時は六本木のセレブなパーティーに呼ばれるまで上り詰めるものの…。
林田詩織(はやしだ しおり)
『港区会デビュー編』 某大手広告代理店勤務。 上司に媚びず仕事もでき、常に凛とした立場でいる誰もが憧れる女性。 しかし、タダでは仲間に引き入れないところが港区女子の鉄則。後半になるにつれて様々なことが見えてくる。
中山泉(なかやま いずみ)
『港区会デビュー編』 某大手広告代理店勤務。 沙耶と同時に営業部に入ってきた、アシスタントの派遣社員。 地味・手料理のお弁当など、沙耶の行いとの対比で頻繁に出演。
児玉(こだま)
『港区会デビュー編』 大手アパレルブランド・ZUZUCITYの社長。 沙耶のパパとなり、肉体関係を迫る。年商5千億の大金持ちだったが事業が転落し、沙耶のヒモに。
純深叶(すみか)
『ラブと癒やしとホントの私編』 ハイアーセルフヒーリングサロン・アンジェリングルのスーパーヒーラー。HPでも「奇跡の50歳」と謳われる広告塔でもある。しかしこのサロン、実は傷ついた人や疲れた人をカモとし、その心の隙につけ入り金を巻き上げるいわゆるネズミ講のようなもの。「アンジェウォーター」というただの水を1本1万円で会員に売りつける。自身の“どん底からの復活劇”をアピールして支持を集めているが、その実態は…。第1巻に登場した明日香もこのサロンのヒーラーとなっており、物語の展開は壮絶を極めていく。
魅力ポイント
(1)あまりにもねじ曲がった主人公たちの欲求
明らかに身の丈以上の暮らし、そしてそれに全く違和感を感じない主人公たち。 完全にコメディタッチで、主人公に完全には共感できないものの、程度はあれど自分の中にもこういった見栄がある部分を重ねてしまいます。そういった部分が「この主人公どうなってしまうんだろう?」と先を読み進めてしまい、その恐ろしい惨劇に衝撃を受けること必至です。
(2)悪者は必ず罰せられる
主人公のまわりには、これでもかと言うほど悪者が出てくるが、必ず最後には罰せられるため非常に安心して読めます。 下は『港区会デビュー編』で、中山を階段から突き落とし、主人公の沙耶に濡れ衣を着せた、林田詩織先輩。 主人公の沙耶の人生崩壊はもちろん、林田詩織先輩もちゃんと真実を暴かれ、周囲から冷ややかな目を集めることになります。その醜態は必見です。 (ゴミ屋敷とトイプードルと私 港区会デビュー編 7巻より)
(3)自己顕示欲で塗り固められた嘘の姿と、転落後の姿のギャップ
例1, 明日香(あすか)
高級ブランドで全身を固め、綺麗にセットした髪、元読モ感を彷彿とさせる洗練されたファッション…どこからどうみても「イケてるOL」だった明日香。転落後は父の介護を余儀なくされ借金を親に援助してもらえることもなく、肥え太り醜い姿になってしまいます。自信に満ち溢れたオーラも消え去っていますね。同じ人間がここまで変わってしまうものでしょうか。改めて、女は“作り上げられた”生き物なのだと痛感してしまいました。 例2, 西村沙耶(にしむら さや)
某大手超有名会社総合職のキャリアウーマン。見た目も美しく、婚約者も将来有望なイケメン。“THE 港区女子”の勝ち組だった沙耶。転落後、枕営業が周囲にバレ、会社での地位も失います。同時に婚約も破棄されてしまい…。それでもSNSに固執することを辞められない彼女は、身も心も崩壊していきます。いきすぎた自己顕示欲の成れの果て、といったところでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回ピックアップした女性たち以外にも、欲に溺れ転落していく登場人物の様子が次々と展開されていきます。 インスタグラムやFacebookなど、SNSが当たり前の現代。その中に映るキラキラ輝いた女性たちの生活は、はたして“本物”なのか。この漫画を読むと今までとその見え方が変わってくるかもしれませんね。そして、写真加工はほどほどに。あなたの真実の姿は、スマホの中にあるのではなく、現実の生活に存在していることを忘れないようにした方が懸命です。嘘のキラキラを作り上げ続けると、ここに出てくる女性たちのような恐ろしい末路が待っているかもしれませんよ(怖)。
私は子連れおっパブ嬢 1
少女・女性マンガ我が子の笑顔を守るために私は今日もおっパブ嬢になる。 歌舞伎町のおっぱいパブ嬢、はるか。男好きするランジェリーを身にまとい、安ウィスキーに酔う男たちの欲望のままに揉まれ、しゃぶられ…。幼い我が子を託児所に預け、お腹の子の出産費用を稼ぐ日々にも終わりが見えてきた頃、どうしようもない悲劇がはるかを襲う。すがりついた毒親にも拒まれ、たった1人で現実に立ち向かおうとするが、大きくなったお腹では店にも出られない…。途方に暮れるはるかに差し伸べられた救いの手は、妊婦専門のAV出演だった…!? 身体をさらけ出し、極限に立ち向かいながら生きるヒロインを描く大人気シリーズ!!