『王家の紋章』の作者、細川智栄子あんど芙~みんは、姉・細川智栄子先生と、5歳年下の実妹・芙~みん先生の2人組です。1958年、「少女クラブ 夏休み増刊」に掲載された『くれないのばら』でデビューしました。現代と古代を行き来するタイムスリップロマンス『王家の紋章』は少女漫画界の歴史に残る超大作であり、読む人の心を捉えて離しません。
『王家の紋章』とは
細川智栄子あんど芙~みんの代表作で、少女漫画の金字塔として長年にわたり幅広い層の読者の支持を受けています。「月刊プリンセス」1976年10月号より連載スタート。 作者の病気などにより一時中断を経て、現在も連載が続いています。 『王家の紋章』の連載が開始された当時は、『ポーの一族』の作者:萩尾望都先生や『風と木の詩』の作者:竹宮惠子先生など、いわゆる「花の24年組」が活躍していました。
あらすじ
【ネタバレあり】 3000年の時空を超え、愛を誓い合ったメンフィスとキャロル、二人の行く手には数々の苦難が待ち受けている!! アメリカの大富豪の娘であるキャロル・リードは、エジプトのカイロ学園高等部に留学し、大好きな考古学を学んでいた。父親のリードが事業PRの一環として行っていた王家の谷の発掘作業において、新たな王墓が発見されたことで、彼女の運命は一変する。その王墓は、18歳の若き王が眠っていた墓であった。 おお 王の眠りを妨ぐる者 呪われてあれ 何者かによって王のミイラが盗まれてしまい、王家の墓をあばく者を呪って若き王の姉・女王「アイシス」が現代に蘇ったのである。 アイシスは王の墓をあばいたリード家を苦しめるため、ライアン・リードの妹であるキャロルを巻き込み、古代エジプト王国へと連れ去ってしまう。
紀元前1200年のエジプト王国にタイムスリップしてしまったキャロルは、なんとか現代に帰ろうと行動を開始し、エジプト王国の若きファラオ「メンフィス」と出会う。 当時のエジプトにはまだ見ぬ金髪、碧い瞳、白い肌のキャロルに興味を持つメンフィス。 ある日、コブラに噛まれて瀕死になったところを、キャロルの持っていた現代の解毒剤により助けられたことで、メンフィスはキャロルに惹かれていく。アイシスは姉でありながら、弟のメンフィスを男性として愛するがゆえに、キャロルへの嫉妬に狂い、彼女を亡き者にせんと暗躍する。 そんな中、水の濾過や製鉄の技術、未来予知としか思えない歴史の情報など、当時では知りえない知識を持つキャロルは「ナイルの娘」と崇められるようになっていく。キャロルの能力を欲しがるヒッタイト王国のイズミル王子やアッシリア王国のアルゴン王など、メソポタミア周辺の各国の王たちに狙われる。度重なる危機に陥っては現代に帰り、また過去に戻ることを繰り返しながら、キャロルは現代に生きる家族に想いを馳せつつ、古代で愛するメンフィス王と共に生きる覚悟を決めるのだった。 おお・・・ わがエジプトは 永遠に・・・・・・ 御身の流れと ともにあり・・・・・・
主人公:「キャロル」
カイロ学園高等部に通う、16歳の女子生徒。大好きな考古学を学ぶためにアメリカからエジプトに留学している。明るく活発で無邪気、考古学のことになると周りが見えなくなる。 若き王メンフィスの姉・アイシスの呪いにより、古代エジプト王国にタイムスリップしてしまう。キャロルの持つ知識は幅広く、歴史に関する事はもちろんのこと医学的なものまで多岐にわたる。「ナイルの娘」として民より崇められている。 メンフィス王と出会い、彼を愛することで幾度となく命の危険にさらされ、彼女の人生は波乱に満ちたものとなる。
「キャロル」を我が手に...5人の素敵なプリンスたち
エジプトの若きファラオ「メンフィス」
こんなにも美しくエキゾチックで猛々しい、若きファラオに見初められるキャロル! タイプスリップした当時のキャロルは古代エジプトの壮大さに感動するものの、ちょっぴり強引で自分勝手なメンフィスを拒絶し続けて、初めてメンフィスからくちびるを奪われた際には、とっさのことで思わず彼の頬をぶってしまいます。 「まさか・・・メンフィス王を打つなんて・・・」と周囲は凍り付いてしまうのですが、メンフィスはキャロルの気持ちが自分に向くまで耐えるのです。 エジプトの民より「ナイルの娘」と崇められ、度々危険にさらされるキャロル。ピンチに陥るタイミングで現代に帰ったかと思いきや、また突然ナイル川で発見されるなど、目を離した隙に自分の目の前からいなくなってしまうキャロルを我が腕の中から片時も離したくないメンフィス。 そして「もうダメかもしれない・・・」と危険な時に必ず助けにきてくれるメンフィスのことを、キャロルはいつしか愛してしまっていたのです。幾度の困難を乗り越え、古代エジプトの王妃になることを決意します。 メンフィスに一度言われてみたい言葉。 「愛いやつ」
ヒッタイト王国 「イズミル王子」
ヒッタイト人特有の美しく長い髪をお持ちのイズミル王子。聡明で常に冷静沈着な出で立ちでありますが、キャロルを見つめる時の心からのうっとりされているイズミル王子のその表情からキャロルへの溢れんばかりの愛が、湧き出る泉の如く伝わってきます。 心からキャロルを愛し、妃にしたいと熱望するイズミル王子は、彼女を手に入れるために手段をも選ばないほどに我を忘れて動き出すのです。 「エジプトに帰りたい」と申すキャロルを優しく見つめながら片膝を立てて横たわるイズミル王子。ほほ笑みながらマスカットに口づけをする様子は絵画のようです!
キャロルの護衛 「ルカ」
ヒッタイト王国のイズミル王子の命令により、エジプト王国に潜入し、スパイとしてキャロルの護衛をしているルカ。いつもキャロルを守りながら、イズミル王子のもとにお連れするチャンスを今か今かと窺っています。 しもべであるルカに対し、優しく時に自分のために涙を流してくれるキャロルに強い忠誠心を抱いてます。ルカの愛らしいところは、いかなるときもキャロルの盾になり、守り抜く姿、そして不思議な力で未来を切り開くキャロルに惹かれながらも、その先にいる我が主・イズミル王子にはやくキャロルを妃として迎え入れていただきたい一心で健気に戦っていく姿です。 ルカ自身にも幸せになってほしいです。
現代に生きるキャロルの兄「ライアン・リード」
これほど美しく煙草をふかす男性がいるのだろうかと悩ましくなるほどの美男子です。キャロルとは正反対のサラサラの黒髪ロングでスーツが似合う佇まい、そして男らしい性格でありながら、愛する妹・キャロルに対しては過保護でその溺愛っぷりのギャップがたまりません。 キャロルが古代から現代に戻る度に、キャロルがまた消えてしまうのではないかと不安で仕方がないのです。心配で胸が張り裂けそうなのに、現代の恋人ジミーから「キャロルをください」と言われても「まだはやい」と簡単に首を縦に振ってくれないライアン兄さん。 尊いです。
現代に生きるキャロルの恋人 「ジミー」
現代を生きている時のキャロルの恋人ジミー。好きな子にちょっかいを出すいじめっ子のようにチャーミーな彼は、キャロルとの距離を縮めていき情熱的なアプローチを仕掛け、相思相愛の恋人同士になっていくのです。二人の将来を誓うほどに・・・ キャロルを想う気持ちは、あの手強いライアン兄さんよりも強く、誰よりもキャロルを大切に愛でている様子がとっても初々しく誠実であるからこそ、キャロルが消えてしまった時のジミーの気持ちを考えると胸が苦しくなります。 そんなジミーの気持ちに後ろ髪を引かれながら、キャロルは古代エジプトで、若きメンフィス王の妃として生きることを決意してしまうのです―――。来世こそは・・・!
まとめ
いかがでしたでしょうか。まだ読んだことがない方には少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。 ナイルの水を飲んだ者は いつの日かふたたび ナイルに帰る・・・・・・ この言葉を胸に、エジプトに行ってしまった先輩の紹介で出会った『王家の紋章』。私にとってもそれはそれは衝撃の作品となり、今もまだその炎が燃え尽きるところを知りません! そこにナイルがある限り、『王家の紋章』は語り継がれるのでしょう。
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