『神様はじめました』は白泉社の『花とゆめ』にて2008年から2016年にわたり連載された『悪魔とドルチェ』『カラクリオデット』などを代表作にもつ、鈴木ジュリエッタ先生の人気作。2012年にアニメ化、2015年には舞台が上演され大きな話題となりました。王道の少女漫画らしい恋愛模様だけでなく、神話や妖怪の伝説をふんだんに盛り込んだ和風ラブコメとして人気の作品です。
『神様はじめました』とは
この作品は、ひょんなことから女子高生の奈々生が“神様”になってしまったことから始まる物語です。その題名の通り神様を題材にした作品で、様々な妖怪や神様たちが登場します。 いろいろな神様や妖怪との出会いの中で、恋をして、少しずつ成長していく奈々生。“神様”であっても等身大の女子高生らしい姿の奈々生がまぶしく、個性的な作品にも思えますが、王道の少女漫画らしいまっすぐな展開も楽しめます。 『神のみぞ知るセカイ』をはじめ『彼女がフラグをおられたら』や『こはるびより』、『はいからさんが通る』など和風ラブコメや主従ものなどが好きな方にオススメです!
あらすじ
ギャンブル好きの父親と二人暮らしをしていた高校生の桃園奈々生は、ある日、父親の家出により家を差し押さえられホームレスとなってしまう。 公園で謎の男・ミカゲと出会い家を譲り受けるも、そこは家ではなく廃れた神社・ミカゲ社――。怪しい男の正体は、人間ではなく、土地神・ミカゲだった。 奈々生は住む場所として神社を譲られるかわりに、土地神としての仕事を任されてしまって…!?普通の女子高生から、突如土地神になってしまった奈々生。戸惑いながらも神使の巴衛とともに、土地神として日々奮闘していく。
個性的な登場人物たち
桃園奈々生(ももぞのななみ)
父親の借金が原因でホームレスとなってしまった女子高生。ミカゲに神社を譲られ土地神としてミカゲ社で暮らし始める。明るく前向きな性格で何事にも一生懸命。出会った当初は巴衛と衝突することも多かったが、巴衛の本来の優しさに触れ少しずつ恋をしていく。
巴衛(ともえ)
ミカゲ社の土地神・ミカゲと契約して以来、神使として長い間神社を守ってきた。もともとは野狐の妖。ミカゲに土地神の印を与えられ、新たな土地神となった奈々生に初めは反発するが、奈々生のがんばりを見て考えを改めていく。ミカゲ社の神使になる前に人間の女性に恋をしたことがあるらしく…。
瑞樹(みずき)
ミカゲ社のもう一人の神使。本来の姿は白蛇。もともとはヨノモリ社の神使として仕えており、ヨノモリ社がダム湖に沈み奈々生を新しい祭神にしようとしたが、奈々生に誘われてミカゲ社にやってきた。
鬼切・虎徹(おにきり・こてつ)
ミカゲ神社に憑いている鬼火童子。つねにおかめ・ひょっとこの面をかぶっているため素顔が見えない。未熟な奈々生をサポートし、ともに生活している。
ミカゲ
ミカゲ社のかつての土地神。20年以上ミカゲ社には帰っていない。奈々生にミカゲ社を譲る。
鞍馬(くらま)
「地獄の堕天使」という異名をもつ大人気のビジュアル系アイドルKURAMAとして芸能活動をしているが、その正体は鞍馬山の烏天狗。奈々生の通う高校に編入してくる。ナルシストだが優しい一面も。
沼皇女(ぬまの ひめみこ)
ミカゲの代からミカゲ社に縁がある、多々良沼の主である元はナマズの化身の高等妖怪。人間時は姫美子と呼ばれる。10年前に出会った人間の少年・小太郎のことが忘れられず、奈々生のもとに縁結びを頼みに来る。小太郎と気持ちを通じ合わせる事に成功し、奈々生とは友人となった。
魅力ポイント
(1)ひたむきな主人公の成長過程
主人公・奈々生(ななみ)は、父親が借金を抱えたまま奈々生をおいて逃げてしまい、普通の女子高校生にもかかわらず突然家も家族も失うという不遇な目にあってしまいます。 さらには慣れない神社での土地神としての生活…。そんな状況でも明るく、前向きに他人のためにがんばれる強さを持っている、とても魅力的な主人公です。 最初は巴衛の傍若無人な振る舞いにより反発し、素直に頼れず無鉄砲な行動をしてしまうこともありましたが、巴衛の優しさや思いやりに触れて、徐々に彼に惹かれていきます。 あっさり失恋してしまっても、めげずに心の中で一途に思い続ける姿には心を打たれた読者も多いはず。そんな奈々生が少しずつ土地神として、一人の人間として成長していく姿は大きな魅力のひとつです!
(2)魅力的な男性キャラクター
少女漫画といえば、惹かれるのはかっこいい男性キャラクターたちですよね。もちろん『神はじ』にも素敵なキャラクターがたくさん登場します。ほかの少女漫画と違うのは、彼らが"妖怪"や"神様"であるということ。 天邪鬼だが本当は優しく家事炊事完璧な野狐・巴衛。 甘えん坊でいたずら好きで心から慕ってくれる白蛇・瑞樹。 ナルシストだが優しい一面もあるアイドルとして活動する烏天狗・鞍馬。 厳格に強さを求める鞍馬山の烏天狗・二郎。 ほかにもたくさんのキャラクターが登場します。特に和装男子好きのひとは必見です!
(3)沢山の神様や妖怪たちの活躍
『神はじ』の物語の中には、古事記に登場する神様たちや、日本各地に伝わる伝説の妖怪たちがたくさん活躍します。例えば、出雲大社の主祭神である大国主は、なんと『神はじ』では美形のプレイボーイとして描かれています。 ほかにも人間に恋をする妖怪や、奥さんの尻に敷かれる妖怪も登場したり。古事記のような神話を知っていても知らなくても、神話の神様たちに親しみをもって楽しく読み進められること間違いなしです。
名言紹介
〈奈々生〉 ・その一言で わかってしまった こんなにも好きになってしまってる ・こんなに 優しくて強くて温かいのに 諦めろなんてずるい 〈巴衛〉 ・神使にとって お前以上に優先すべきことなどない 自覚しろ ・好きだとも これで お嫁に来てくれるかい? 〈瑞樹〉 ・君のせいで僕は 前よりもひとりじゃなくなったよ
メディア情報
TVアニメ
2012年10月から12月までテレビ東京、AT-Xほかにて『神様はじめました』のタイトルで放送された。TVアニメの続編として、単行本第16巻オリジナルアニメDVD付き初回限定版(完全受注生産)が2013年8月に発売された。スタッフ・キャスト・主題歌はテレビアニメ版と同様。 2015年1月より3月まで『神様はじめました◎』のタイトルで第2期が放送された。単行本第22巻(2015年8月発売)から4巻連続(最終巻となる25巻まで)でTVアニメ第2期の続編として、オリジナルアニメDVD付き初回限定版に『神様はじめました 〜過去編〜』のOVAが収録。原作の最終話までが描かれている。 主要キャストは、桃園奈々生役・三森すずこ、巴衛役・立花慎之介、瑞樹役・岡本信彦、ミカゲ役・石田彰ほか。
ミュージカル
2015年3月21日から3月29日まで、『神様はじめました THE MUSICAL♪』のタイトルで全13公演が上演された。一部はWキャストで単行本第2巻までのストーリーを取り上げた。 2016年1月15日から同年1月21日まで、『神様はじめました THE MUSICAL♪2016』のタイトルで第2弾全11公演が上演された。第1弾より一部キャストが変更されている。 主要キャストは、桃園奈々生役・寺島咲、巴衛役・八神連、鞍馬役・南圭介、瑞樹役・高崎翔太(第1弾)樋口裕太(第2弾)ほか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 原作が魅力的なのはもちろんのこと、気軽にみられるTVアニメをみるもよし、ミュージカルのDVDを見てみるもよし。どこから入っても楽しめるのが『神様はじめました』の魅力の一つです。TVアニメでもOVAでもミュージカルでも、見るとついつい原作も読み返したくなってしまいます。
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