※本記事はネタバレを含みます。ご了承ください。本作は『聲の形』『マルドゥック・スクランブル』の作者、大今良時さんにより『週刊少年マガジン』にて、2016年から連載中の作品です。不死をテーマにした作品で、『火の鳥』や『兎が二匹』が好きな方はもちろん、『蟲師』『宝石の国』といったファンタジー漫画ファンにも必見。そこで今回は、登場人物や見どころを中心にご紹介します。
『不滅のあなたへ』とは?
作品の舞台は地球と類似するが独自の文明を持つ異世界。 観察者と呼ばれる者によって、突如地上に投げ込まれた「不死の存在」が、地上のあらゆる情報を写し取り、周りの影響を受け、自分のアイデンティティを確立しながら成長していく物語。永遠と世界を旅する壮大なSFファンタジー大作となっています。
あらすじ
何者かによって“球”がこの地上に投げ入れられた。その球体は、情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられる。死さえも超越するその謎の存在はある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……刺激に満ちたこの世界を彷徨う永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。
見どころ
(1)壮大な世界観で広がる、「不死」がテーマのSFファンタジー大作
本作の主人公は、“不死のなにか”です。球体からはじまり、コピーした物体や生命の姿を借りながら、永遠と世界を旅していきます。たどり着く村・街・島では独自の文明があり、そこに宗教や教団などの信仰も加わり、非常に壮大な世界観になっております。 主人公のフシは不滅の存在として描かれています。フシ以外の人物や生物には普通に時が流れるため、彼と関わりを持った者たちはやがて年老いて、フシの前からいなくなっていく。 友の死という現実、フシの人格形成、そして関わった人物が皆いなくなっていくというやるせない気持ちなど、作品を読んでいて、考えさせられるシーンが多く登場します。
(2)秀逸な感情描写!
作家の大今良時さんといえば、代表作の『聲の形』でも映画化となるなど、秀逸な感情描写がとても魅力です。今作でも、感情の変化や心の移り変わり、そして自我の確立など人間らしく成長するキャラクターたちの感情をとても繊細に表現されています。 主人公のフシの生き物を写し取る能力の条件は“対象を強く思い出すこと”と“対象が死んでいること”。つまり、変身できる対象は全員フシと共に時間を過ごした者たちで、かつ全て死んでいるということなのです。 自分が慕い、愛した者の姿を借りながら、敵の「ノッカー」から人々を守ろうと戦い続けるフシの姿はとても繊細でやるせなく、心が震えるものがあります。
(3)成長するキャラクターたちが泣ける!
大人の女性になりたいと渇望するが、生贄に選ばれた幼女マーチ。 マーチを守るために奮闘するバロナ。 生贄の儀式を司り、フシの能力に執着するハヤセ。 バケモノと呼ばれ、“家族を持ちたい”孤児のグーグー。 無秩序な監獄島で暮らす“作家になりたい”少女のトナリ。 そんな人物たちと出会うフシ。 本作は様々な魅力的な登場人物が非常に重要な役割を担っています。序盤、フシは言葉すらまともに話せず、生きる術も何も身につけていない、生物としてとても不完全な存在でした。旅を進めていく中で、様々な出会いと別れがフシを成長させ、強くしていきます。
共通登場人物・キャラクター
フシ(主人公)
観察者と呼ばれる者が作り出した不死の物体。刺激を記憶し、その記憶をもとにあらゆる存在へと変身できる能力を持つ。 はじめはただの球体だったが、長い年月を経て、岩・コケに姿を変え、たまたま側で息絶えたレッシオオカミの姿となる。レッシオオカミの飼い主だった少年と共に生活をしていたが、少年が志半ばで息絶えると彼の姿を写し取り、以後はその少年の姿で過ごし、「フシ」と呼ばれている。過去に姿を写し取った物であれば、自分の意志で任意に変化する事が可能で、傷を負ってもたちまちに自己再生する治癒能力を持つ。序盤では会話すらまともにできなかったが、旅の中で、様々な人達と不慣れながらコミュニケーションを重ね、行動を共にする事で、徐々に言葉を覚え、自我に目覚めていく。
観察者(私)
世界を保存するためにフシを作り出し、世界に投げ入れた人物。黒いローブに身を包む人間の姿をしているが、フシ以外には見えず、かつ触れない謎多き存在。 人間の男性のような姿をしており、基本的に姿は見せずナレーションとしてだけ登場するが、ごくまれに自ら姿を現し、フシにアドバイスを行うこともある。助言はするが、フシに行動を強制することはしない。
少年
レッシオオカミの飼い主だった白髪の少年。名前は不明である。フシがレッシオオカミになった後、しばらく一緒に暮らしていた。昔は雪原の中の村にみんなで暮らしていたが、みなが食料を求めて旅立って以来、レッシオオカミのジョアンと厳しい雪原の中で生活をしていた。旅立った仲間を追いかけていく道中で事故で命を落としてしまう。フシの人間の姿のモデルになった人物。
ノッカー
フシの敵とされる存在。観察者と反対する勢力が遣わしたと観察者が語っている。 フシ同様に自在な変身能力を持つ。一定の周期でフシの周りに出現し、その都度姿を変え、フシの命を狙う。フシが持つ記憶を奪う能力も持つ。フシは記憶を奪われると、姿を変えるモデルとなる人物が思い出せなくなってしまうため、その人物への変身ができなくなる。
マーチ
ニナンナに住む、幼い少女。顔を墨でペイントし、民族衣装を着用している。明るく活発なで、フシと森で出会い、まだ言葉をうまく話せないフシの世話をする。 パロナと仲がよく、「ねーね」という愛称で呼び慕っている。ニナンナの儀式で、巨大な大熊「オニグマ」への生贄に選ばれる。大人になれずに死ぬことを知り絶望するが、フシによって儀式が失敗に終わり、ヤノメ国へと逃亡する。パロナへの矢を庇って、幼い生命を落としてしまう。
パロナ
ニナンナに棲む部族の女性。マーチとままごと遊びをするなど、仲が良い。マーチを妹のように思っていて、マーチからは「ねーね」という愛称で呼ばれている。オニグマの生贄に選ばれたマーチを救おうと奮闘する。マーチが死んだ後、追って命を絶とうとするがフシに止められ、ニナンナへ帰還する。
ハヤセ
ヤノメ人の女性でニナンナの生贄の儀式を司る。フシの能力を目にして以来、彼に執着する。ニナンナ以降は、ジャナンダ島でも現れ、フシと対峙する。自由自在に変化し、死なないフシに興味を抱き、フシをヤノメ国の監獄に収監し人体実験を行う。その後子孫を残し、彼女の子孫達はフシの守護団となり、何度もフシの前に姿を現す。
ビオラン
ヤノメに囚われている罪人であり、生け贄の儀式で巫女役をつとめる老婆。フシたちとともに監禁される。その後、フシに人間の言語や生きる術を教えた。フシと共にジャナンダ島から脱出した後、しばらくしてフシと合流する。フシと共に生活をする中で、日常会話できるまでフシに言葉を教えた。その後老いに蝕まれ、やがて死亡する。死ぬ前にフシの傍に生まれ変わりたいと観察者に願った。
グーグー
バケモノと呼ばれる“家族を持ちたい”孤児。タクナハに住む少年。幼い頃にリーンに密かな恋心を寄せており、リーンをかばって事故に遭い、顔に大きな傷が残っている。それ以来、顔を怖がられるため、普段は仮面をかぶって生活をしている。
リーン
タクナハに住む少女。ロングヘアで、明るく愛嬌のある女の子。裕福な家庭で育ち、厳しい両親に育てられた。その反動からか自由な生活にあこがれを抱いている。幼い頃に市場でグーグーと知り合う。不慮の事故に見舞われ、グーグーに助けられたものの、身体に大きな傷を負っている?
トナリ
無秩序な監獄島ジャナンダで暮らす“作家になりたい”少女。 7歳の頃に父親が犯人ではないかという疑いをかけられ、父親と一緒にジャナンダへと島流しとなる。ジャナンダにいる少年少女の孤児達と、監獄島から脱出することを夢見て、計画を立てながら暮らしていた。
トナリの仲間たち
ジャナンダ島に住み、トナリと一緒に島から脱出を計画する。
ウーロイ ジャナンダ島で暮らす少年。大柄な体格。好きな食べ物は鶏肉。弓矢の扱いに長けている。動物をたくさん飼うことが夢。 ミァ ジャナンダ島で暮らす少女。木製の折りたたみ椅子を持ち歩き、武器として使用している。絵描きのモデルになることを夢見ている。 サンデル ジャナンダ島で暮らす褐色肌の少年。島外へ脱出後は医者になる夢を持っている。 ウーパ ジャナンダ島で暮らす少女。頭に布を巻き、いつも左目を隠している。島生まれで、太陽がどこからくるか知りたがっていた。まったく外の世界を知らないでいる。
ヒサメ
ハヤセの孫で、9歳だがフシを神のように崇める守護団団長である。フシにを探し当て、一緒にいるとくっつきたがり、同じ布団で寝ようとする。左腕にはノッカーが寄生している、侵食はせず共存関係にあるが、刺激すると暴れ出し、ヒサメがコントロールできなくなる。ハヤセの生まれ変わりと呼ばれている。
オウミ
ヒサメの娘。ヒサメと同じく、フシにくっついたりする。
ウシオ
オウミの娘。ヒサメに次ぎ、ハヤセの継承者の2代目。ヒサメやオウミに比べるとやや遠慮がち。
カハク
ハヤセの6代目の継承者。守護団初の男性。継承者は女性のみであるが、継承者の女性がいなかったため、やむなく後継した。先祖たちのようにフシにつきまとう癖は見られなかったが、バロナの姿になったフシに一目惚れして、以降は先祖同様につきまとっている。左腕のノッカーとはかなり同調しており、自らの意思で自在に操れるまでになっている。
ボンシェン・ニコリ・ラ・テイスティピーチ=ウラリス
ウラリス王国の第1王子。ボン様、ボン王子の愛称で国民に慕われている。 気さくで尊大だが、性格の幼さゆえに王位継承が叶わず、弟のトルタに次期国王の座を奪われてしまう。そこで巷で尋ね者になっていたフシを捕らえて、手柄を立てて、国王にふさわしいのは自分だと、認めてもらうために躍起になっている。幽霊・死者の魂と不自由なく会話できるほど強力な霊媒能力の持ち主であり、幼少期から王宮に居つく幽霊たちに様々なことを教わりながら過ごしていた(本人も自覚はない)。
国王と王女
現ウラリス王国国王は、穏やかな表情の男性で、ボンとトルタとポコアの父親。トルタを次期国王に選んだ。女王はボンとトルタとポコアの母親。
トルタとポコア
トルタはボンの弟。ボンからは鼻たれトルタと呼ばれる。小遣いを孤児院や病院に寄付するという人格者の面が評価され、次期国王に選ばれた。ポコアは愛らしい容姿の女性。ボンの妹。舌足らずな話し方をする。
フェンとニクソン
フェンはウラリスの城のキッチンに住む男性。坊主頭に刀剣が突き刺さっている。ボンにしか姿が見えない。ニクソンはみすぼらしい装いの男性で、左腕がない。ボンの剣の練習相手をしていた。こちらもボンにしか姿が見えない。
トド
ボンシェンに仕える小太りな女性。四つん這いになり、ボンシェンの椅子になる仕事を与えられている。幼い頃宮殿でボンシェンと出会っており、その頃は太っていなかった。幼いボンシェンはトドに一目惚れするが、その後宮殿を追放される。ボンシェンの側にいたい一心で今の仕事についている。
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