【ネタバレ注意】少女漫画の金字塔『ガラスの仮面』を読んで、どこかに置き忘れた情熱を取り戻そう!

【ネタバレ注意】少女漫画の金字塔『ガラスの仮面』を読んで、どこかに置き忘れた情熱を取り戻そう!

『妖鬼妃伝』『アマテラス』などの作者である美内すずえ先生の代表作『ガラスの仮面』は作品累計発行部数が5,000万部を突破した大ベストセラー作品です。なぜ『ガラスの仮面』がこれほどまで多くの人の心を掴んで離さないのか。その魅力と見どころをご紹介します。

  • ガラスの仮面 (1)

    少女・女性マンガ
    4.4
    400

    『ガラスの仮面』とは?

    これといった取り柄はないが、演劇にだけ天才的な能力と天が与えた本能的感性を発揮する北島マヤと、演劇界のサラブレットである姫川亜弓が幻の名作「紅天女」の主役の座を巡って競い合う本作。1976年に連載がスタートし、未だ完結していない少女漫画の超大作です。 「カーテン・コール」「伝説の少女」など、普通の女の子が舞台の頂点を目指して成長していくマンガが好きな方にオススメです。

    あらすじ

    港町・横浜の裏通りにある小さな中華料理店に住み込みで働く母親と暮らす、13歳の少女・北島マヤ。美少女でもなく、成績も普通で平凡なマヤだが、その瞳の奥には激しく燃え盛るような炎がくすぶっていた。映画やテレビドラマが大好きですぐに夢中になってしまうマヤは、今日も出前の途中で映画を覗き見し怒られる。しかしある日、近所の子どもたちに最近見た映画の内容を演じてみせていたマヤを見た謎の女性から、あなたのような千の仮面を持つ少女を探していたと声をかけられ…。

    登場人物

    主人公:北島マヤ

    決して美少女でもなければ勉強ができるわけでもない、これといった取り柄もなく、貧しい家庭で育ったみそっかすみたいな少女。 だが、ドラマや映画など『演劇』をこよなく愛しており、一度見た作品のセリフや動作は全て覚えるという本能的な力を持っていた。ある日、かつての大女優・月影千草に、その突出した演技の才能を見い出され、大女優を目指すようになる。

    月影 千草

    名作といわれる「紅天女」を演じた唯一の大女優。「紅天女」の劇作家が亡くなるときに月影に上演権利が渡されたが、舞台の上のライトが落下する事故で顔に整形不可能なほどの大ケガを負ってしまい、女優生命を絶たれた。 ある日、北島マヤと出会ったことにより「紅天女」の主演女優に育てようと劇団つきかげを立ち上げる。心臓病を抱え入退院を繰り返しながら、北島マヤら劇団員に厳しい演技指導を行っていく。

    姫川 亜弓

    母親は大女優、父親は有名監督というサラブレッド。華やかな美貌とオーラをまとい、幼い頃から映画や舞台で活躍してきた生まれながらの天才少女。平凡で冴えない北島マヤの舞台上での豹変を目の当たりにし、その存在に脅かされる。月影千草からマヤと共に幻の名作「紅天女」の主演後継者候補に指名され、生涯のライバルとなる。

    速水 真澄

    大手芸能事務所の大都芸能社長。幻の作品「紅天女」の上演権を手に入れたいがために月影千草に交渉を続けている。仕事のためなら冷酷な手段もいとわない。北島マヤに惹かれるようになり、正体を隠して紫のバラに一文を添えて送ったり、1輪の紫のバラに舞台のチケットを添えて贈ったりしている。マヤにとっても、どこの誰かは分からない「紫のバラのひと」が精神的な支えとなっている。

    桜小路 優

    姫川亜弓も所属する劇団オンディーヌの若手人気俳優。初めて北島マヤに会った時、一目惚れをする。マヤのアルバイト先に行ったり、デートに誘ったりと、幾度のアプローチも重ねるが、マヤの気持ちが自分には向いていないことをし痛感し、一度はその恋を諦める。

    北島 春

    北島マヤの母親。夫に先立たれ、女手一つで中華料理屋に住込みで働きながらマヤと貧しい暮らしをしていた。生活が圧迫され、気持ちに余裕のない母親はマヤが女優を目指すなどと大それた夢を抱いたことに大反対した。母親に理解してもらえないマヤは、それでも女優への道を諦めきれず、家出をしてそのまま離別する。その後、貧しさから結核を患い、失明してしまう。

    見どころ

    (1)月影先生とマヤの壮絶な稽古

    マヤに類い稀な才能を見た月影先生。 彼女の腹の底からの『怒り』を引き出すため、見ているこっちがハラハラするほどに容赦なく本気でマヤに手を上げます。頬が赤く腫れる姿が痛々しいマヤ。しかし、月影先生の手も真っ赤になっているのです。

    『亜弓さんのほうが才能があってうまいとわかっているのに...』 演目「たけくらべ」で亜弓と同じ役をすることになり、その到底かなわない実力差を目の当たりにして泣き出すマヤ。 『たたかう前から投げ出すくらいなら演劇なんてやめておしまい!』 めざわりだとマヤを物置に閉じ込めた月影先生。この時、マヤになにもしなくていいと言いながらも、たけくらべの台本を一緒に放り込みます。 物置の中で過ごすこと2日目、もう一度「演劇」そのものに向き合うマヤ。マヤは自分に必要なことは「役になりきる」のではなく、「役をつくる」ことだということに気づき、物置の中一人で、新たな役作りに励むのです。 雪の降る中、月影先生は物置の扉の前でマヤと向き合い、そこから壮絶な演技指導が始まります。 もはやどちらが先に倒れるか、眠る時間どころか命さえ削りながら稽古を重ね、マヤは自分にしかできない役を作りだすことを習得するのです。

    (2)亜弓の女優魂

    平凡でこれといった取り柄のないマヤですが、舞台に上がることで発揮されるその演技力の高さと、人々を魅了する才能に、兼ねてより彼女に対して危機感をもっていた亜弓。 「北島マヤには絶対に負けたくない」と、生まれた時から天才少女と言われていた亜弓が正面からマヤと戦おうと努力を惜しまない姿に芯の強さを感じます。 将来を期待されている大女優の亜弓をそこまで奮い立たせるマヤの才能も恐ろしいですが、亜弓のこのスポーツマンシップのように汚れなき真っ向勝負の精神が、読んでいるこちらも不思議と2人のことを応援したくなるのです。

    (3)紫のバラのひと

    いつも会えない正体不明の「紫のバラのひと」。 その正体は大都芸能の若社長・速水真澄であるのですが、そうとは知らないマヤは彼のことを月影先生を脅かす存在として拒絶し続けています。 ひどく嫌われていると分かっていながらも、マヤに惹かれていくのを止められない速水。マヤの演技から伝わる情熱に胸を締め付けられた速水は、思わず車を止めて珍しい「紫のバラ」をありったけの花束にしてマヤに贈るのです。 なんてことだ このおれが花束だと? いままでどんな女性にも花など贈ったことのないこのおれが...! しかも10いくつも年下の少女に...... 自分自身でも己の感情に驚きを隠せない速水真澄。紫のバラと一緒に「あなたのファンより」とメモ書きを残してその場を去ります。 それからも舞台が終わる度に「紫のバラ」が贈られてくることに歓喜し、幸福を噛みしめながら、とても愛しそうにバラを抱えるマヤ。その姿をそっと影から見ている速水真澄の姿にグッときます。マヤに早くその正体に気づいて欲しい!と思いながらも、マヤに恋する桜小路くんの気持ちを考えると、もうちょっと気づかないでもいいのかな...と複雑な気持ちで見守ってしまいます。 速水真澄の冷徹で氷のような心さえ溶かすマヤ。こちらも恐るべし才能です!

    メディア化

    TVアニメ

    テレビ東京版は、梅の谷で月影千草が最後の「紅天女」を披露するところまでを描いています。また、ギャグアニメとして2013年に『ガラスの仮面ですが』と『ガラスの仮面ですがZ』が放送されました。こちらは原作でもお馴染みのキャラクターの性格はそのままに、設定をレディースやOLなどにチェンジし、コントのようなギャグストーリーを繰り広げて話題となりました。

    映画

    2013年にギャグアニメ『ガラスの仮面ですが』の映画版『ガラスの仮面ですが THE MOVIE 女スパイの恋!紫のバラは危険な香り!?』が公開されました。内容は、悪の組織に誘拐された伝説の女スパイ「ザ・ムーン」(月影千草)を北島マヤと姫川亜弓の2人が「ザ・ムーン」の後継者として救出に向かい、速水真澄、桜小路君、源造さんも加わってドタバタになるというもの。

    TVドラマ

    テレビ朝日にて、1997年7月~1997年9月『ガラスの仮面 Part1』(全11回)、1998年4月~1998年6月『ガラスの仮面 Part2』(全12回)、1999年9月に『ガラスの仮面 感動の完結編スペシャル』を放送。3作とも北島マヤ役を安達祐実、速水真澄役を田辺誠一、月影千草役を野際陽子が演じました。

    舞台

    1979年、香坂みゆきらを主演に『ミュージカル ガラスの仮面』の公演が行われました。1988年には、演出・坂東玉三郎、主演・大竹しのぶで舞台化。2008年には音楽劇『ガラスの仮面』、2010年には音楽劇『ガラスの仮面~二人のヘレン~』が行われています。 また、『ガラスの仮面』本編にとどまらず、2013年には、本作の劇中劇『女海賊ビアンカ』が、劇団つきかげプレ旗揚げ公演『女海賊ビアンカ』として舞台化されました。 2014年8月には、貫地谷しほりを主演に、青山劇場で全22公演が行われました。

    作家情報

    美内すずえ:1951年2月20日生まれ。大阪府出身。16歳の時、『山の月と子だぬきと』で集英社「別冊マーガレット」で金賞を受賞し、高校生漫画家としてデビュー。以後、次々に意欲作を発表し、人気漫画家となる。主な受賞歴は、『妖鬼妃伝』にて1982年度講談社漫画賞、『ガラスの仮面』にて1995年度日本漫画家協会賞優秀賞。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。マヤと亜弓がお互いにライバルとして切磋琢磨して大きく成長していく様子が美しく、どちらが「紅天女」を演じようとそれはそれは素晴らしいものになるんだろうなぁと夢が膨らみます。できれば2人の「紅天女」が見たい...! 私自身は小学生の時に40巻まで読んでいて、そこから20数年が経ち、社会に揉まれながら大人になった今読み直してもめくる手が止まらず、改めてのめり込んでしまいます。 空前絶後の超大作『ガラスの仮面』は現在49巻まで配信中です!

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