【ネタバレ注意】『妖怪アパートの幽雅な日常』のワケあり物件が優良(?)物件すぎ!

【ネタバレ注意】『妖怪アパートの幽雅な日常』のワケあり物件が優良(?)物件すぎ!

『地獄堂霊界通信』『大江戸妖怪かわら版』などの原作者である香月日輪先生の人気小説『妖怪アパートの幽雅な日常』。本作は深山和香先生によって漫画化され、『月刊少年シリウス』(講談社)にて連載されています。「寿荘」という不思議なアパートに暮らすことになった主人公の稲葉夕士と、奇妙な住人たちとの愉快で心温まるお話です。読んだあと、きっと誰かとごはんが食べたくなるはず。

  • 妖怪アパートの幽雅な日常(1)

    少年・青年マンガ
    4.7
    690

    『妖怪アパートの幽雅な日常』とは?

    『ゲゲゲの鬼太郎』『不機嫌なモノノケ庵』など、人間と妖怪の不思議な日常がお好きな方にぜひオススメしたい今作。 このアパートには、個性的な人間といろんな姿形をした精霊、何らかの理由で成仏できない幽霊たちが住んでおり、“死んでからでは遅い”、“生きているからこそできる”ことを教えてくれます。 生きていく中で八方塞がりに陥ったり、人間関係で困難なことにぶつかった時にヒントを与えてくれる作品だと思います。

    あらすじ

    妖怪と幽霊と人間が仲良く同居? ――3年前に両親が他界し、伯父の家に引き取られた稲葉夕士(いなば・ゆうし)16歳。高校からは寮に入り自立して……と思った矢先、寮が火事で焼けてしまった!なんとか探し出したアパートは、家賃2万5000円!という破格物件。……どうやらこの物件、”オバケ”が出るらしい…!?人情味あふれる「クセ者」入居者に囲まれて、夕士のフツウの!?高校生活が始まる!

    登場“人”物

    主人公:稲葉 夕士

    両親を亡くし、伯父の家に引き取られたが、どことなく息苦しさを感じていた夕士。高校入学を機に家を出るが、生まれ持った霊能力の素質からか、幽霊が出るという妖怪アパート「寿荘」に引き寄せられる。 引っ越し当初は得体のしれないオバケの姿に気を失ったりして慌ただしいスタートであったが、ひょんな出来事から魔導士に選ばれてしまい、日々鍛錬して霊力を上げていく。

    長谷 泉貴

    稲葉夕士の小学校からの親友。顔良し、頭良し、喧嘩も強く正義感に溢れている。更に、周囲に気が利く完璧な男。名門校に進学したため夕士と高校は別れたが、それでも手紙や電話のやり取りをする仲。 夕士が住む「寿荘」に初めて訪れた時も、そつがない振る舞いで住人の心を掴んだ。が、内心では幽霊や妖怪の姿にびっくりしていた。「寿荘」が気に入った長谷は、無理矢理にでも暇をつくって、夕士が不在だろうがお構いなくアパートにやってくる。

    久賀 秋音

    妖怪アパートに住む女子高生。気さくで明るく元気でよく食べる。実は除霊師で、妖怪病院の夜勤のバイトをしている。夕士の霊力UPに向けての修行を先導してくれる。

    一色黎明

    妖怪アパート「寿荘」に住む男性。詩人にして、童話作家。糸目で髪を一つに結んでおり、いつも作務衣を着ている。夕士は元々、一色黎明の作品のファンであり、アパートに入居するときに本人に出会えて感動している。 淡々と言葉を発し、抽象的だが的を得た文学的な解釈で夕士にヒントを与える。

    龍さん

    自称「しがない霊能力者」の男性。美しい佇まいでミステリアスな雰囲気。彼が寿荘に足を踏み入れると、幽霊や妖怪が静かになる。夕士が日常に行き詰まった時、ふと龍さんの言葉を思い出し、導かれることが多々ある。夕士にとって影響力のある人物。

    深瀬 明

    画家。一見、ヤンチャで若々しく荒々しいが、実年齢は48歳。 夕士が修行に耐えられなかった頃はよくお姫様抱っこをしてお風呂に連れて行ってあげるなど、意外と人情に厚く面倒見が良い。狼犬のシガーを連れている。シガーは人懐っこくて、大きな体で夕士や長谷にダイブしたりする。

    古本屋

    妖怪アパート「寿荘」の住人。世界中の希書や珍本を収集しながら秘境を放浪している。長期不在が常だが、忘れた頃に登場する。ある日「プチヒエロゾイコン」という魔導書を入手してアパートに持ち帰り、夕士の手に渡ることで夕士の新しい扉が開かれる。

    千晶 直巳

    夕士が通う条東商業高校に赴任してきた、簿記と情報処理の教師で生活指導のベテラン。お金持ちで、かなりのヘビースモーカー。スタイル抜群で背広は着用せず、ラフな格好+オールバックというイケメン感満載の容姿で女子生徒から絶大な人気を誇る。

    見どころ

    (1) 寿荘に住む妖怪・幽霊たち

    クリとシロ

    子供と犬の幽霊。クリは生前から一緒に暮らしていたシロと仲良しで、シロはいつもクリを見守るように側にいてくれています。クリとシロが成仏できずに幽霊になった背景には壮絶な過去があり、生前の話には思わず目を背けたくなります。妖怪アパートに来た時は、まさに「無」の状態であったクリが、今では寿荘の住人をはじめ、夕士と長谷に心を開き、人懐っこく甘える姿は何度見ても癒されます。この寝顔をもうしばらく見ていたいです。

    るり子さん

    寿荘で住人のごはんを作ってくれる手首だけの幽霊。生前はホステスをしていましたが、夢だった小料理屋を開く直前に、ホステス時代からつきまとわれていた客によって殺されてしまいました。志半ばにして死んだるり子さんが最後に見たのが、自分の両手だったそうです。妖怪アパートで季節の旬な食材をふんだんに使って栄養満点な最高のごはんを住人に振る舞い、そのごはんをみんなが美味しそうに食べる姿を見ているとこちらも幸せな気分になれます。そして何より、その「手」が本当に美しいのです。

    大家さん

    寿荘の大家さん。体が大きく、いつも着物を着ている丸々とした姿は見ていてほっこりします。 温和でおとなしく、寿荘と異世界をつないでくれる懐の深い妖怪です。家賃催促の時はいつもよりちょっと強くなります。

    まり子さん

    寿荘に住み着いている幽霊。スタイル抜群で幽霊とは思えないほど明るくさっぱりしているお姉さんです。人目を気にせず、風呂上りに下着1枚で徘徊したり、男湯の方が広いからという理由でタオルなしで乗り込む大胆な女性です。でも、そんなまり子さんにも、生前の苦しい過去があるのです…。

    華子さん

    玄関で「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言ってくれる、心あたたまるオバケ。 夕士には引っ越し当初は声だけしか聞こえなかったのですが、徐々に姿が見えるようになっていきます。大正ロマンを感じさせる奥ゆかしい女性です。

    3羽の青い鳥

    よく寿荘の庭の木にとまっている青い鳥さんたち。夕士の部屋の外から様子を伺って声をかけてきたりしてとても可愛いです。

    フール

    夕士に封印を解いてもらったことで夕士を主人と認めるフールは、魔導書「プチヒエロゾイコン」に宿る妖魔のうちの一匹です。魔導書に宿る他の妖魔と主人を仲介してくれます。常に夕士のポケットやかばんの中に勝手に入り込み、ピンチの時などに主人を導こうと奮闘してくれます。ただ、仲介する妖魔が思いのほか自由すぎて使いものにならず、苦戦することもしばしば…。使い方は主人次第というところでしょうか。

    (2) るり子さんお手製の美味しそうなごはん

    朝ごはんからお昼のお弁当、そして豪華な夜ご飯。思わず毎回ため息が出てしまうほどに美味しそうなるり子さんのお料理たち。季節の旬な食材を使い、素材を活かしたレパートリーの品々にうっとりしてしまいます。一度でいいからるり子さんのごはんが食べたい…! 単行本の巻末に「るり子さんのお料理メニュー紹介♪」が細かく描かれているので、こちらも必見です!!

    (3) 龍さんの名言

    『肩の力を抜いていこう』 これって実は凄く難しいことですよね。人は無意識のうちに欲張って頑張りがちです。学校では努力することばかりを注視されがちで、力の抜き方は教えてくれません。夢や理想を思い描き、行動することはもちろん大切だと思いますが、時には深呼吸して全身の力を抜いてみましょう。 何かに執着してしまっているとき、ふと思い出したい名言だと思います。

    メディア化

    テレビアニメ

    2017年7月~12月まで「あにめのめ」枠で放送されました。アニメーション制作は『ドラえもん』を制作しているシンエイ動画が担当。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか!『妖怪アパートの幽雅な日常』は現在18巻まで配信中です。 読めばきっと、 「生きてりゃ色々ある」「生きてりゃどうにかなる」 「明日、昨日よりは少し頑張れるかも」 そんな風に思わせてくれる、優しくてあたたかい作品だと思います。定期的に読みたくなること間違いなしのオススメ作品です。

  • 香月日輪の他作品

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