「できるだけ家で暮らしたい」
そんな親の願いにどう向き合いますか?
在宅看取りを45年間サポートしてきた医師が伝える、
親子で後悔のない最期を迎えるための
「生活支援」「介護」「在宅医療」「ターミナルケア」を
1冊にまとめました。
【CONTENTS】
PART1 住み慣れた自宅で暮らす老後のススメ
PART2 自宅暮らしを支える在宅医療
PART3 ぼくが続けている在宅医療
PART4 親を見送るとき
【著者より】
医師だった父の死をきっかけに、ぼくが生まれ育った島根県益田市で小さな診療所を開業したのは、1982年、今から40年以上も前のことです。
長く田舎の地域医療に関わりつくづく思うのは、「田舎の高齢者は強くたくましいなあ」ということです。人口も少ない交通も不便な土地で暮らすには、まずは体が元気で、仕事でも家事でも役回りでも、なにかしら「やること」があり、「日々の楽しみがあること」です。
これがこの地域で暮らす高齢者の「強さ」「たくましさ」「明るさ」の源にあるように思います。
そして多くの人が、長いこと「住み慣れた家」で暮らしています。独居の人もいれば夫婦、家族で暮らす人もいますが、隣近所がお互いの家を行ったり来たりしながら、地域ぐるみで高齢者の暮らしを支えています。
そしてぼくは、この地域の人々ができるだけ長く住み慣れた家で暮らせるように、在宅医療を続けています。
こうした地域の特色は、田舎ではさして珍しくもないのでしょうが、
「うちのお母さん(お父さん)、『老後はずっと自宅で暮らしたい』と言っているけど、大丈夫なの?」
「足腰立たなくなったらどうするの?」
など、高齢の親を持つ、特に都会やその郊外で暮らす人にすれば、年老いた親がこの先も自宅で暮らすのは、ちょっと不安かもしれませんね。
でも、親がずっと自分の力だけで自宅生活を続けるわけではありません。今は介護保険制度や在宅医療も普及して、社会全体で高齢者を支えるしくみができています。
また、親の「心と体が健康である」ことは、自宅で暮すためにはとても大切です。これについては、ぼくの居る地域の高齢者の暮らしぶり、健康管理のポイントや高齢者を支える在宅医療のあり方などを参考にして頂きたいと、詳しくまとめました。
そして、読み進めて頂くうちに、
「人は、人の温もり」と「つながり」があれば生きられる―。
そんなことを思うきっかけになり、みなさんの親の満足した老後に活かして頂ければと思います。
令和4年度の厚労省の調査では、「自宅で最期を迎えたい」と回答した人が43.8%に上り、叶うものなら最期まで住み慣れた家で過ごしたいと思っている人が実に多いことがわかります。
在宅での看取りは、言葉でいうほど簡単なことではありません。でも、もしあなたの親が「最期は住み慣れた家で見送ってほしい」と希望するなら、看取りについて様々な知識をつけ、理解を深めておくことも必要です。
そう思い、ぼくの長い在宅医療における看取り経験から、お話しできることを最後の章にまとめました。
いくつになっても子どもを心配し、心を寄せてくれた親を、最期まで住み慣れた家で過ごさせてあげたい――。
そんな思いでこの本を手に取ってくれたみなさんのお役に立てることを、著者として、高齢者医療に取り組む医師として、心から願います。
著者 松本祐二
医師。医療法人たいじん堂理事長・松本医院院長。1979年昭和大学医学部を卒業、同大学に勤務。1982年父の死を機に江戸時代から続く松本医院を継承(8代目)。内科、小児科、アレルギー科を標榜して地域医療に取り組む傍ら、学校保健、産業保健や終末期医療などにも携わる。労働衛生コンサルタント、認知症サポート医。(公財)日本尊厳死協会中国支部副支部長、国際ロータリー・ポリオ根絶コーディネーター、浄土真宗本願寺派参与。NPO法人島根糖尿病支援機構理事長、(公社)益田市医師会会長、(一社)島根県医師会常任理事、島根県性教育連絡協議会会長、島根大学医学部臨床教授などを歴任。

