ラテン・ギリシア・イスラムが一国に併存
「文明の十字路」で栄えた王国の謎を解き明かす
「それぞれが信じる神に祈れ」
イスラム教徒やギリシア正教徒など、異なる信仰を持つ人々に向けて、キリスト教徒のシチリア王はそう語ったと言われる。
12~13世紀、地中海世界の中心で隆盛を極めたシチリア王国。キリスト教徒の王のもと、宮廷ではラテン語・ギリシア語・アラビア語の三言語が公用語として用いられ、異邦人や異教徒が王に仕えていました。キリスト教会には、華麗なイスラム風装飾やビザンツ様式の黄金のモザイク画が今も残されています。
世界史上でも稀な、多文化が一国に併存する社会。
なぜ、この王国だけが違ったのか。
単なる「王の寛容」の賜物だったのか?
中世史の世界的権威である著者が、多文化の宮廷、精緻な行政制度、異宗教の共存、交渉によって聖地を回復した無血十字軍など、七つのテーマから王国の実像を読み解きます。
中世ヨーロッパ像を塗り替える、知られざる中世地中海史。
人種や宗教をめぐる対立が続く現代社会を考えるうえでも、多くの示唆を与える一冊です。
【目次】
第一章 中世シチリア王国の歴史
第二章 多文化の宮廷――東方的なのか、ヨーロッパ的なのか?
第三章 精緻な行政制度――近代国家の起源なのか?
第四章 先進的な官僚組織――高度な専門化は存在したのか?
第五章 異宗教の併存――「寛容」の典型例か?
第六章 多言語史料から見える農民像――二つの階層があったのか?
第七章 異文化の交流と衝突――なぜ異教徒との戦闘を回避できたのか?

