※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。2010年代以降、スーパーシティ構想やデジタル田園都市国家構想をはじめとして、国・自治体・民間企業による多様なスマートシティの取組が進められてきました。こうしたスマートシティの次なる発展において重要なのは、先進的な技術を導入すること自体ではなく、その技術によって住民の暮らしがどれだけ豊かになり、幸福度が向上するかという点です。私たちは、このような視点に立脚し、デジタル技術を活用しながらも、人間らしさを大切にした新しい都市と社会の姿を描くことを目指しました。本書は、東京大学と日立製作所による「日立東大ラボ」が、世界有数のメガシティである東京都をショーケースに、こうした新しい都市と社会のあり方を具体化すべくまとめた研究報告書「東京計画2030」を書籍化したものです。「スローデジタル」や「Well-being」といったデジタルに偏りすぎない最新の思想をベースに、市民のQOL(生活の質)向上や社会的受容性をどう高めるかという、人間側の心理や合意形成のプロセスを深く掘り下げています。第1章では、「東京計画」が求められる背景から、人工都市としてのメガシティ形成の歴史、都市計画におけるビッグピクチャーの系譜、そしてスマートシティの本来の定義を解説します。また、明治の文豪たちの文章から江戸~東京の移り変わりを紹介する別項も収録しています。続く第2章では、地理的特徴、人口動態、産業構造といった基礎データにとどまらず、防災、交通、グリーン化、労働、医療・福祉、教育、ダイバーシティ、パブリックライフなど、多岐にわたる切り口のデータから「東京の今」を精緻に分析します。そして第3章では、これらの分析を踏まえた具体的な4つの戦略・提言を展開します。「アーバンウェルビーイング」の指標化、都市構造を改編する「イノベーションクラスター」、サイバー空間と現実を融合する「東京24区(サイバー特区)」、そして環境配慮と人間中心の技術活用を目指す「“Slow Digital” Tokyo」です。スマートシティ関連事業に参入を検討している企業や、次世代のまちづくりを牽引する自治体関係者にとって、技術と人間の幸福が調和する未来の都市像を描くための大きな指針となる一冊です。
