満たされない恋と人生。珠玉の恋愛短篇集。
「きょう、いま、わたしは愛する人にやさしくされたいのだ」
満たされない恋とままならぬ人生を情感豊かに綴った、珠玉の恋愛短篇集。
はじめはただの推しだった。ファストフード店の飄々とした店員。非常識だけれど情緒はある男に、振り回されながらも、わたしは恋を愉しんでいる。愛されているかどうかってそんなに重要なんだろうか。自分が相手を好きかどうかよりも?(「パーソナルスペース-9.8cm」)
日菜は24年生きてきてはじめて知った。空白ができると好きと言いたくなること。セックス後の彼氏はセックス前の彼氏より百倍恰好よく見えること。なのに彼氏は言う。「俺の優先順位を、もう少し下げてくれない?」。なぜそんなことを言われなければならないのか。(「恋と厚顔」)
あのとき彼と結婚していたら、もっと違う現在があったのだろうか。「そんな結婚、変」。5年前はそうとしか思えなかった。ふっと、彼の香りが蘇る。あの不思議な二人はいま、幸せに暮らしているだろうか。(「卵とキウイ、あるいは跨線橋」)
