戦争の時代への危機感、学生運動活動家から研究者への転身、そして進行する病とともに日常を生きること。徹底して情感を排した31文字から、なけなしの抒情が滲みでる。万葉集の研究者、短歌評論家による異色の第一歌集。
【収録歌より】
冬のゴジラよこの国を蹴飛ばせ人は踏むな建物も壊すな
われに思想はあったのかと問うどんより曇る日なり晴れ間を待つ
過激派被告研究者短大教授そして今ただの老人
この世が幻ならこの底知れぬ悲しみは何 リアルすぎるぜ
争いの絶えない世界ではあるがせめてわれらは静かに眠れ
俺の乗る船が今日も来ない穏やかな波を見ながら船を待つ

