公爵令嬢アルベルティーナの婚約者は、侯爵令息ベネディクト。けれど婚約後初めてのお茶会に現れたのは、婚約者本人ではなく「代理」と名乗る伯爵令息レヴィンだった。それ以来四年間。婚約者は一度も姿を見せることなく、毎月訪れるのはいつも代理のレヴィン。真面目で誠実な彼は、身代わりという立場でありながら誰よりも彼女を気遣い、静かに寄り添い続ける。やがて二人は、婚約者同士よりも長い時間を共に過ごし、互いの好きな紅茶や花、何気ない笑顔を知っていく。一方、本来の婚約者であるベネディクトは、彼女を顧みることもなく女性遊びを繰り返していた。「今は貴方が婚約者だから」そう口にした日から、身代わりだったはずの距離は少しずつ変わり始める。けれど二人を隔てるのは、貴族社会の政略結婚という現実。彼は”代理”でしかなく、彼女には正式な婚約者がいる。この想いは許されない。それでも、心が選んでしまった相手は。身代わりから始まる、じれ甘すれ違いロマンス。本当に隣にいるべき人は誰なのか。切なくも優しい恋が、静かに動き出す。
