地方の港町・波止場町。樽井造船の船大工・舟越漣は、親方について、大手海運「綱島汽船」の老朽貨物船の木部修理に上がった。父を亡くし、船を継ぎ直す手だけを頼りに生きてきた、平凡で堅気な毎日。だが漣の目は、その船体に、妙な"新しさ"を見つけてしまう。古い船腹に隠された、誰かが後から入れた溶接痕と、狂った喫水線。──これは、事故じゃない。誰かが、この船を、わざと沈めるつもりだ。その真実に触れた瞬間、漣は綱島汽船の跡目と港湾利権の陰謀に巻き込まれる。そして、漣の前に立ったのは、綱島汽船の御曹司にして専務。黒服の大男・綱島慈。決して沈まぬ経営者として業界に「不沈」と恐れられた男。冷徹なはずのその男は、なぜか堅気の漣にだけ、不器用なほど甘い。「二度と、この手を、沈ませねえ」。ただ船を直しに来ただけの俺を、なぜこの男は、こうも必死に囲うのか。──十年前、嵐の夜。兄を失い、海を捨てようとした男に、割れた小舟を継ぎ直して漕ぎ出して見せた少年がいた。慈は、あの日から、漣だけを忘れなかった。海運御曹司×船大工の企業格差×見初められ囲われ×重執着溺愛、現代格差BL長編。シリーズ第1巻・全10章完結。

