都内の下町・宮ノ杜にある明星記念病院。両親を亡くしたあと、夜間救急の看護師として夜を守るのが俺・凪沢律の毎日だ。運ばれてくる命に、堅気も裏もない。母(元・訪問看護師)に叩き込まれた信念だけを頼りに、俺は今夜も蛍光灯の下で手を動かす。ある土砂降りの夜、腹を撃たれて血まみれの大男が搬送されてきた。名前は鷹峯剛。組織犯罪対策課で「猟犬」と恐れられる、危険な事案を単独で追う一匹狼の刑事だった。俺は夜通し処置に付き添い、その命を繋いだ。だが、それが全ての始まりだった。あの狙撃は事故でも強盗でもない——警察内部の誰かが仕組んだ内通の口封じで、居合わせて手当てをした俺は、たった一人の"証人"になってしまった。回復した男は、なぜか俺の側を離れない。冷酷なはずのその刑事は、俺にだけ、不器用なほど甘い。「六年前、お前は俺を救った。今度は、俺がお前を守る番だ」。やがて内通する上層部の手が、病院の俺にまで伸びる。俺は看護師の目で、改竄されたカルテと記録の矛盾を暴いていく——暴力ではなく、記録で。堅気に戻れと言いながら離してくれないこの男は、六年前から、俺だけを見ていたらしい。危険な刑事×堅気の看護師の格差×重執着溺愛、現代守護BL長編。全10章完結。
