ヴェスタリア王国の名門・セランクール侯爵家の嫡子エミールは、稀有な舌を見込まれて王の毒見役に任じられていた。味と毒を舌ひとつで見抜く才を持ちながら、「所詮は毒を舐める役」と地味な才ゆえに軽んじられて生きてきた。ある晩餐、王の膳に潜まされた毒を見抜いた私は、逆にその毒を盛った張本人に仕立て上げられる。厨房頭と毒味頭の捏造により、王殺しの大罪人として断罪――侯爵家は取り潰し、身柄は売り立てにかけられた。モノのように値をつけられた私を、大金で買い取ったのは、「王盾卿」と恐れられる近衛騎士団長・ボードワンだった。慰みものか使い潰しを覚悟した私に、苛烈なはずの武人は、驚くほど丁重に――いや、宝物のように接する。「五年前、お前は俺の命を救った。ずっと、迎えに行きたかった」。過小評価された毒見の才が砦で花開き、戦火で味を失った男の飢えを満たしていく。やがて私は、王に毒を盛った真犯人の物証を舌で掴む――冤罪を暴き、自分を売り飛ばした者たちを見返す時が来る。断罪ざまぁ×身売り落差×重執着溺愛のロイヤルBL長編、全10章完結。
