金砂と黄金に満ちた、獣人の王国キナハ。家も国も持たず、母の形見「金弦の竪琴」ひとつで各地を渡ってきた俺、ソハル。膝を屈することを知らぬ気高い渡り者の俺の人生が、金鬣の祝祭で狂った。手すさびに掻き鳴らした竪琴の音が、砂岩の獅子宮を統べる者の本能を底から揺さぶったのだ。その夜、俺は生まれて初めての発情期に襲われる。母が遺した日輪の腕環が、陽の傾く刻に砕けた。押し寄せるΑの群れから俺を腕に囲ったのは、キナハ王家の血を引く長命の白獅子の獣王──黄金の鬣と金の瞳を持つ、獅子宮の支配者アウレスだった。「お前は俺の番だ」。百年、獅子座の盟を掲げて運命の対を待ち続けたという王が、俺だけを見据える。金鬣の間に留め置かれ、番の儀式、金鬣評議の政争、獅子神ラーハの血の系譜に晒されながら、俺は気高く選び取る──屈してではなく、俺自身の意志で。BL異世界獣人オメガバース長編、全10章完結。

