厨房の下働きから王の毒見役に成り上がった俺、セオ。あらゆる毒を舌で見分け、飲んで生き延びる――それが、誰にも惜しまれぬ捨て駒の役目だった。孤児の俺は、Ω性を抑えの毒草で隠し、βと偽って夜の王宮に生きてきた。だが毒杯の間の夜会で抑えが切れ、露わになったフェロモン。殺到するΑたちの中、たった一人、毒に灼かれぬ鼻でそれを嗅ぎ分けた男がいた。夜の宰相――「毒杯の宮廷長」ヴァレリオ・カルミア。「お前は俺の番だ」。感情を殺した沈黙の毒使いの、氷のような瞳が、俺だけを暴いていく。逃げ場のない王宮で、俺はゆっくりと堕とされ、囲われていく。やがて明かされる、二つに分かれた古き毒祖の血の秘密――毒を統べる血と、毒を浄める血。抗えぬ運命の対と、王位を巡る夜の陰謀。BL異世界オメガバース長編、全10章完結。
