鍛炉山の麓の鏡工房で、火を扱えぬ半端者として育った俺、ミロ。炉のそばに立てぬ俺は、鏡を磨く道だけを選んで、二十歳になった。ある日、熔宮への鏡の納品に上がった火宴の席で、俺は突然、発情期に襲われる――自分がオメガだと、その日まで知らなかった。フェロモンに群がるアルファたちを、朱い炎ひとつで散らしたのは、炎神カルドの血を引く炎帝イグナート。触れる者を灼くと畏れられるその男が、俺に触れても、俺は灼けなかった。「灼けぬ者。お前が、俺の運命の対だ」。炎帝の腕に攫われ、熔炉宮の奥に囲われた俺は、火を扱えぬ俺だけが炎帝の暴走する炎を鎮められる"映し身の血"を宿していたことを、やがて知る。番化、熔炉評議の政争、隣火峰の火将による略奪――逃げ場のない熔宮で、俺は炎帝の独占愛にゆっくりと灼かれていく。BL異世界オメガバース長編・全10章完結。

