2018年に逝去した美学者キム・ジニョン、待望の第二作。ハン・ガンが3回読んだ本として日本でも大きな反響を呼んだ前作『朝のピアノ』が死を目前にした「生」の横溢を描いたとするならば、その原点となる1冊。本書は書き溜められてきた「愛」にまつわ思索の断章を編んだ散文集である。美学者の知性が「愛」や「別れ」を経験し、「不在」という普遍的なテーマと向き合う。バルザック、ロラン・バルト、プルーストといった先人たちの言葉を杖にしながら、日常の風景や身体感覚の中に潜む「愛の痕跡」を読み解こうとする軌跡は、時代を超越し、読む者の心に深く響くする。悲しみが消えるのではなく「深まる」ことでしか到達できない至高の静寂とは。別離の孤独を知るすべての魂に寄り添う。解説:岸見一郎氏(哲学者/『嫌われる勇気』著者)
