絶海の孤島にある国立研修センター《花の家》。ここは、人知を超えた感覚を持つ若者たちが集められた小さな学校だ。「他者の感情を読み取る」能力を持ち、人付き合いを避けて生きてきた少年・飛嶋唯斗は、ある日、転入生の少女・上堂薗咲良に突然告白される。遠巻きに笑う同級生達を見つけ、質の悪い悪戯だと見抜くが、当の少女からは悪意を一切感じない。その少女はかつて島の土地神《タシラカさま》に仕えた巫女であり、「未来を視る」という稀少な力の持ち主だった。純真すぎるがゆえに同級生に踊らされた彼女と、唯斗はひょんなことから付き合うことになってしまう。そんな奇妙な日常が、ある朝、一変する。島の大人たちが忽然と姿を消したのだ。孤立した九人の生徒たちに疑心暗鬼が広がるなか、さらに一人の同級生が消える——。この島で、いったい何が起きているのか。孤独を愛する少年と、人懐こく天真爛漫な少女。正反対のふたりが紡ぐ物語が、今動き出す。

