山あいの終着駅前で、祖母から継いだ小さな食堂を切り盛りする三代目店主・柚木灯里、三十四歳。その大切なローカル線が、いま廃線の危機に立たされている。沿線住民の足を守るため、灯里は大手私鉄・天霧電鉄の本社へ乗り込む。そこで彼女を迎えたのは、経営戦略を統べる「氷の常務」と呼ばれる冷徹な御曹司だった。にべもなく廃線の合理性を語る彼に、けれど灯里はどこか見覚えがあった――六年前、大雪の朝の無人駅。終電を逃してホームで凍えていた一人の男に、彼女はただの握り飯と温かい緑茶を分けただけだった。そのたった一度の接点を、冷徹なはずの常務は、六年間、片時も忘れていなかった。「あの朝、君に救われたんだ」――氷の表情の奥に隠された、執着にも似た一途な想い。湯気の立つ握り飯の温もりが、凍てついた男の心を溶かしていく。不器用で甘い大人の溺愛オフィスTL、全十章完結。一杯の緑茶からはじまる、六年越しの恋の物語。#現代TL #御曹司 #冷徹ヒーロー #年の差 #溺愛 #執着 #ハッピーエンド #TL
