八つで火事に家族を奪われ、隊商に拾われて十二年。砂海の交易都市の隅で香を焚き続ける薫物の調合師・ナディアは、名簿に名も載らず、「使えるな、孤児」と投げられる言葉だけを糧に生きてきた。火に近づいても火傷をしない――誰にも言えなかったその力の意味を、彼女はまだ知らなかった。けれど灯火の泉の境で、ナディアは赤狐族の族長と出会う。「お前の中の火が、俺を呼んでいる」――炎に守られた者だけが結ぶ、焔の縁。それは赤狐族の族長がただ一人の番に出会った証だった。大商人の経済的な策謀も、隊商組合の妨害も退けて、孤独な族長はナディアを「唯一の番」と望み、焔の砂里の女族長として、もう二度と独りにはしないと誓う。見捨てられ続けた女が、運命にただ一人望まれる。砂と火と香の温度に満ちた異世界を舞台にした、熱く甘い獣人運命番TL、全十章完結。奪う暁ではなく、与える暁が、二人に明ける。#獣人 #運命の番 #溺愛 #独占欲 #異世界 #シンデレラ #ハッピーエンド #TL

