「役立たずの嫁を、鷹司の家に置く謂れはない」――子をなさぬという理由で、嫁いで三年の朝に離縁状を投げられ、伯爵家の娘・澄は嫁ぎ先を追われた。半刻のうちに発て、と。実家に戻り、香を焚き、墨を磨り、ただ静かに身を律して生きる日々。けれど三年後、帝国劇場の御招待桟敷で、澄はひとりの貴公子と再会する。氷室侯爵家の当主・敦房。彼は離縁の朝、戻り車の中の澄を一目見たあの日から、ずっと澄を「本物の妻」にすると決めていたのだという。家門の体面を律儀に守りながら、澄が自分の値打ちに気づくその日を、三年、待ち続けた男。冷ややかな硬質の眼差しの奥に隠された、底知れぬ独占の焔。捨てられた女が、こんどは選びなおされる。昭和初期の和風華族を舞台にした、せつなくも甘い溺愛ヒストリカルTL、全十章完結。香の煙の向こうで、本物の夫婦の物語がはじまる。#ヒストリカル #和風華族 #離縁 #年の差 #溺愛 #独占欲 #ハッピーエンド #TL
