神楽坂の路地のいちばん奥、老舗料亭「水無瀬」。店を継ぐのが怖いと震えていた頼りない若女将の私に、祝言を挙げたその晩、旦那さまはそっと指輪をはめた。板場では「鬼の板長」と恐れられる寡黙な人が、藍色の作務衣をまとい、私の前でだけ、その目の奥に違う温度をにじませる。お見合いの席で震えた細い声、慣れない手つきで暖簾を出す背中――彼が腹を括ったのは、まぎれもなくそのときだった。この人と、この店と、この暮らしを、一生かけて守ろう、と。暖簾を狙う者も、私を侮る者も、彼は淡々と片づけていく。病みでも執着でもない。ただ大切なものを、当たり前に大切にする。やがて生まれた娘と、出汁の匂いと、お揃いの夫婦茶碗。「あなたの隣以外を、ただの一度も考えたことがない」――鬼の板長が若女将だけに注ぐ、不器用で深い溺愛。和の情緒あふれる料亭ラブ、温かなハッピーエンド。#現代TL #和風 #料亭 #年の差 #寡黙ヒーロー #溺愛 #ハッピーエンド
